LINEヤフー広告 スクリプトのランタイム互換性点検|廃止ENUMと自動更新失敗に備える改修手順

スクリプトのランタイム互換性点検

LINEヤフー広告 スクリプトの新しいランタイム「V202612」が、2026年12月9日(水)にリリースされる予定です。LINEヤフーは2026年10月28日付のお知らせで、あわせて旧ランタイム「V202510」の提供を2027年1月12日(火)に終了する予定だと発表しました。レポート出力や予算通知、配信の自動切り替えをスクリプトに任せている広告主や代理店にとっては、期限のはっきりした保守作業になります。

今回の変更で注意したいのは、検索広告で「提供終了済みの広告タイプを表すENUM」が削除される点です。コードの中に古い広告タイプの値を文字列で書いている場合、新ランタイムで実行したときにエラーになったり、条件分岐が想定どおりに動かなくなったりするおそれがあります。一方、ディスプレイ広告の変更内容は「リリース時に案内」とされており、2026年11月4日時点では詳細が公表されていません。

この記事では、AIによる運用支援や入札の自動化といった話題には踏み込まず、すでに稼働しているスクリプトの互換性点検に絞って解説します。稼働コードの洗い出し、廃止ENUMの参照確認、テスト実行、自動更新失敗メールの受信先確認、旧版終了前の完了判定までを、そのまま使える判定表と日程表で整理しました。

この記事の要点

  • 新ランタイムV202612のリリース予定日は2026年12月9日、旧ランタイムV202510の終了予定日は2027年1月12日です。
  • 検索広告では提供終了済み広告タイプのENUMが削除されるため、広告タイプを直書きしたコードは改修候補になります。
  • ディスプレイ広告の変更点は未公表のため、リリース後にリファレンスで差分を確認します。
  • 自動更新に失敗すると、最後にスクリプトを承認したビジネスIDにだけメールが届きます。
  • 過去の例では新版公開から旧版終了までが12〜35日しかなく、11月中の棚卸しが安全です。

LINEヤフー広告 スクリプトのランタイム変更で起きること

ランタイムが切り替わると、スクリプトが呼び出せるサービスや項目、指定できる値の一覧が新しい版の仕様に置き換わります。旧版の提供が終わると、その版で動いているスクリプトの自動実行は止まります。まずは変更の範囲と、止まるものを正しく押さえておきましょう。

LINEヤフー広告 スクリプトのランタイムとは、スクリプトを実行するときの基盤となる版のことです。公式の「ランタイムについて」(LINEヤフー広告 スクリプト Developer Center)では、機能追加や改善のために定期的にバージョンアップされること、使用中の版はスクリプト編集画面の「ランタイム」で確認できることが説明されています。

V202612で公表されている変更点

2026年10月28日付の「LINEヤフー広告 スクリプト 新しいランタイム(V202612)のリリース、および旧バージョン終了のお知らせ」(LINEヤフー for Business)によると、検索広告では提供終了済みの広告タイプを表すENUMが削除されます。お知らせでは、該当する広告タイプのデータは2025年8月に削除済みだと説明されています。

関連する2025年6月25日付のお知らせでは、2017年以前に提供を終えた短いテキスト広告や旧URL形式の広告などが、2025年7月22日から8月5日にかけて削除されたと案内されています。ただし、V202612でどのENUM値が削除されるかという具体名は、執筆時点では公式に示されていません。値の特定はリリース後のリファレンスで行う前提で準備を進めてください。

旧ランタイムの終了で止まるものとディスプレイ広告の扱い

公式ガイドでは、利用停止となったランタイムを使うスクリプトは自動実行も停止すると明記されています。毎朝のレポート出力や予算超過の通知が止まっても、管理画面の配信そのものは動き続けるため、気付くのが遅れやすい点に注意が必要です。

ディスプレイ広告(運用型)については、一部機能のインターフェースなどが変わると告知されていますが、詳細はランタイムのリリース時に案内される予定です。2026年11月4日時点では変更内容が公式に未公表のため、この記事では推測で差分を埋めず、確認の手順だけを示します。

管理画面側の仕様変更もあわせて点検したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

過去のランタイム移行から読む猶予期間

過去の告知を並べると、新ランタイムの公開から旧版の終了までは短いときで12日、長いときでも35日程度しかありません。リリースを待ってから点検を始めると、改修とテストに使える時間がほとんど残らない計算になります。

次の表は、LINEヤフー for Business(旧Yahoo!広告)で公開されたランタイムのお知らせを、2026年11月4日時点で編集部が整理したものです。日付はいずれも各お知らせの記載に基づきます。

新ランタイムリリース日終了した旧版旧版の終了日公開から終了まで
V2025102025年10月16日V2025012025年11月5日20日
V2026022026年2月26日V2025032026年3月10日12日
V2026072026年7月22日V2025072026年8月26日35日
V2026122026年12月9日(予定)V2025102027年1月12日(予定)34日(予定)

出典はV202510のお知らせ、V202602のお知らせ、V202607のお知らせです。今回の34日間には年末年始の休業期間が含まれるため、実際に作業できる営業日はさらに少なくなります。

V202607の移行では、ディスプレイ広告のレポート項目の削除や数値項目の型変更(LONGからDOUBLE)も行われました。ENUMの削除だけでなく、型や項目名の変更でも既存コードは壊れるため、毎回の移行で同じ点検を繰り返せる仕組みにしておくと効率的です。

改修が必要かを判定する互換性確認表

改修の要否は、コードが「何を文字列で直接指定しているか」で大きく分かれます。次の確認表を稼働中のスクリプト1本ずつに当てはめ、どれか1つでも該当すれば改修候補として扱ってください。

この表は、公式のランタイム仕様とお知らせに書かれた変更範囲をもとに、編集部が点検用に作成したものです。判定は最終的にリリース後のテスト実行で確定させる前提で使います。

確認項目該当する書き方の例判定対応
広告タイプの値を直書きadTypesに配列で値を列挙改修候補削除値を除外し定数に集約
広告タイプで分岐switchやifで値ごとに処理改修候補想定外の値の分岐を追加
広告タイプを集計キーに使用シートの列見出しに固定要確認出力先の列構成を見直す
ディスプレイ広告のサービスを利用Display配下の取得や更新保留リリース後に差分を確認
レポートの集計だけ広告タイプを指定しない影響小テスト実行のみ

判定表の使い方

判定は「改修候補」「要確認」「保留」「影響小」の4段階で付けます。改修候補はリリース前に修正案を用意しておき、保留はディスプレイ広告の詳細が公表されてから判定し直します。影響小のスクリプトでも、旧版終了前に一度は新ランタイムで実行して確かめてください。

判定結果は、スクリプト名、対象アカウント、実行頻度、担当者、最後に承認したビジネスIDと同じ行に記録しておくと、移行後の完了判定にそのまま使えます。代理店の場合は、広告主ごとにシートを分けておくと引き継ぎがしやすくなります。

廃止ENUMの参照を洗い出す検索語

コードの洗い出しは、スクリプト本文をテキストとして書き出し、検索で探すのが確実です。スクリプトリファレンスでは、検索広告の広告取得条件に「adTypes」という項目があり、広告タイプのENUMとして「APP_AD」「RESPONSIVE_SEARCH_AD」などの値が並んでいます。

現行のリファレンスでは「EXTENDED_TEXT_AD」「TEXT_AD2」に「現在は入稿できません」と説明が付いています。これらが今回の削除対象かどうかは公式に未公表ですが、検索語として「adTypes」「adType」「_AD」「TEXT_AD」を使えば、広告タイプに触れている箇所はほぼ拾えます。

稼働スクリプトが多く、社内で洗い出しの手が足りない場合は、稼働スクリプトの改修範囲の確認からご相談いただけます。

稼働スクリプトの棚卸しと点検手順

点検は、一覧画面での確認、受信先の確認、テスト実行の順に進めると漏れが出にくくなります。テスト実行は配信に影響しない対象で行うことが最も重要な注意点です。

一覧画面で警告マークとランタイム欄を確認

公式ガイドによると、古いランタイムで動いているスクリプトは、一覧画面のスクリプト名の横に警告マークが付き、ランタイム欄に「最新」が表示されません。編集画面では、スクリプト名の下に最新版ではない旨のメッセージが出ます。

Developer Centerの「仕様について」では、1アカウントあたり保存できるスクリプトは100件までとされています。使っていない古いスクリプトも残っていることが多いため、稼働中かどうかを実行履歴と実行頻度の設定で見分けてください。

承認したビジネスIDとメール受信先を確認

自動更新に失敗した場合、システムからのメールは「現在のスクリプトを最後に承認したビジネスID」に送られます。承認した担当者が異動や退職をしていたり、制作会社のIDで承認していたりすると、失敗の知らせが社内に届きません。

点検の段階で、各スクリプトを最後に承認したのが誰かを確認し、必要であれば現在の担当者のビジネスIDで承認し直しておきます。あわせて、スクリプト内のメール送信先に指定したビジネスIDが、操作対象アカウントの権限を持っているかも確認してください。

ビジネスIDの権限の整理手順について詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。

テスト実行は配信停止中の対象で

公式ガイドでは、ランタイムをプルダウンで「最新」に切り替え、「実行」ボタンでエラーが出ないか確かめる手順が示されています。1時間ごとなど高頻度で動いていて止められないスクリプトは、新しいスクリプトを作成して検証することが推奨されています。

LINEヤフーへの取材記事であるUnyooのインタビューでも、配信していない広告で動作を確認する前提が紹介されています。入札単価や配信状態を書き換えるスクリプトは、停止中のキャンペーンや検証用の広告グループに対象を絞ってから実行してください。

修正前後のコード例と影響の少ない書き方

改修の基本は、広告タイプの値を1か所に集約し、想定外の値でも処理が止まらない形にすることです。以下は実在のアカウントを使わずに編集部が作成した匿名の例で、実行結果を示すものではありません。

広告タイプを直書きしている修正前の例

修正前の例では、取得条件の配列と条件分岐の両方に広告タイプの文字列が書かれています。削除された値が配列に残っていると取得の段階でエラーになるおそれがあり、分岐側に残っていると処理が想定どおりに進まない可能性があります。

// 修正前(匿名化した例)
function main() {
  var selector = {
    accountId: 1234567890,
    adTypes: ['TEXT_AD2', 'EXTENDED_TEXT_AD', 'RESPONSIVE_SEARCH_AD']
  };
  var res = Search.AdGroupAdService.get(selector);
  // 取得結果の構造はリファレンスで確認してください
}

影響を受けにくい修正後の例

修正後の例では、使う広告タイプを定数に集約し、取得条件には現在も入稿できる値だけを指定しています。分岐を書く場合は、リファレンスに用意されている「UNKNOWN」のような想定外の値を受け止める分岐を必ず入れ、ログに残すようにします。

// 修正後(匿名化した例)
var AD_TYPES = ['RESPONSIVE_SEARCH_AD', 'DYNAMIC_SEARCH_LINKED_AD'];

function main() {
  var selector = { accountId: 1234567890, adTypes: AD_TYPES };
  var res = Search.AdGroupAdService.get(selector);
}

function labelOf(adType) {
  switch (adType) {
    case 'RESPONSIVE_SEARCH_AD': return 'RSA';
    case 'DYNAMIC_SEARCH_LINKED_AD': return 'DSA';
    default:
      Logger.log('想定外の広告タイプ: ' + adType);
      return 'その他';
  }
}

広告タイプを取得条件に指定しないレポート集計だけのスクリプトは、今回の検索広告の変更による影響は小さいと考えられます。それでも、スプレッドシートの列見出しを広告タイプで固定している場合は、出力が崩れていないかをテスト実行で確認してください。

スクリプトを含む運用の自動化をどこまで任せるかの考え方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

自動更新に失敗したときの対応と日程の組み方

自動更新の失敗メールを受け取ったら、そのスクリプトは旧ランタイムのまま動いていると判断し、終了予定日までに手動で切り替えます。公式ガイドでも、変更内容によっては自動で適用されず、手動での変更が必要になる場合があると説明されています。

失敗メールが届いたら確認すること

まず一覧画面で該当スクリプトのランタイム欄を確認し、ランタイムを「最新」に切り替えてから実行します。エラーが出た場合は、ログ履歴の赤い部分に表示されるメッセージを控え、「エラーになった場合の対処法」とリリース時の変更内容を照らし合わせます。

ランタイムとは別の原因でも止まることがある点に注意してください。公式の仕様では1スクリプトあたりの最大処理時間は10分で、大量データを扱うとメモリ不足のエラーも起きます。ランタイムを切り替えた直後のエラーが、互換性の問題なのか処理量の問題なのかを切り分けてから修正に入ります。

注意しておきたい点

  • 日程は「予定」として告知されており、変更される場合があります。
  • ディスプレイ広告の変更内容は2026年11月4日時点で未公表です。
  • 旧版終了後に止まったスクリプトは、配信画面からは異常が見えにくいです。

2027年1月12日から逆算した日程

年末年始をはさむため、リリース前の11月中に棚卸しと判定を終え、12月9日のリリース後は検証と切り替えに集中する日程が現実的です。次の図と表は、その流れを週単位に落とし込んだ記入例です。

LINEヤフー広告 スクリプトのランタイム互換性を点検する6つの工程の流れ図
稼働スクリプトの一覧化から旧版終了前の完了判定までの点検手順
時期作業完了の目安
11月中旬まで稼働スクリプトの一覧化と判定全スクリプトに判定が付いている
11月下旬承認者の確認と修正案の準備失敗メールの受信者が現担当になっている
12月9日以降リファレンス確認とテスト実行ENUMとディスプレイ広告の差分を記録
12月中旬〜下旬修正と最新版への切り替え一覧で警告マークが消えている
1月上旬完了判定と自動実行の確認実行履歴にエラーがない

完了の判定は、一覧画面で警告マークが消えていることと、切り替え後の自動実行が実行履歴で成功していることの2点で行います。実行履歴は1アカウントあたり200件、6か月分まで参照できるため、切り替え前後の結果を残しておくと後から検証できます。

スクリプトが止まった際の初動の切り分けについて詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。

社内で対応しきれない場合の考え方

スクリプトを書いた担当者が社内にいない場合は、改修よりも先に「止まっても困らないスクリプト」を見極めることが近道です。使われていないレポート出力や、管理画面の自動ルールで代わりが利くものは、移行の対象から外す判断もできます。

一方、予算超過の通知や配信の自動停止など、止まると広告費の損失につながるスクリプトは優先して改修します。外部の制作会社が作ったコードの場合は、改修を依頼するのか、社内で引き取るのかを早めに決め、承認するビジネスIDも合わせて整理しておくと安心です。

移行で止まるデータを事前に残しておく考え方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

どのスクリプトを残し、どれを改修するかの優先順位付けに迷う場合は、スクリプトの棚卸しと改修の優先順位付けについてもご相談いただけます。

まとめ:旧版終了の前に互換性点検を終える

LINEヤフー広告 スクリプトの新ランタイムV202612は2026年12月9日にリリース予定で、旧ランタイムV202510は2027年1月12日に終了予定です。検索広告では廃止ENUMの削除が決まっており、ディスプレイ広告の詳細は未公表のため、リリース前の棚卸しとリリース後の検証を分けて進めることが確実な進め方です。

  • 稼働スクリプトを一覧化し、確認表で改修候補を判定する
  • 最後に承認したビジネスIDを確認し、失敗メールが現担当に届くようにする
  • テスト実行は配信停止中の対象で行い、警告マークと実行履歴で完了を判定する

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