産業用ロボットSIerでBing広告が効くのは 自動化構想段階の相談を指名外で取りにいけるから

産業用ロボットのシステムインテグレーションを手がける企業から広告のご相談をいただくとき、最初に共有される課題はほぼ共通しています。展示会と既存取引先の紹介で案件は回っているものの、新規の引き合いが年々細くなっている。Web経由の問い合わせを増やそうとGoogle広告で「産業用ロボット 導入」や「ロボットSIer」といったキーワードを買ってみたが、届くのは学生からの質問と同業他社の営業メールばかりだった、という状態です。
この行き詰まりの原因は、広告文やランディングページの出来ではありません。発注側の企業がロボットSIerを探すとき、社名やSIerという業界用語で検索していないことにあります。彼らが最初に打ち込むのは「箱詰め 人手不足 自動化」「バリ取り 自動化 事例」といった、自分の工程で起きている困りごとそのものです。しかもその検索が起きるのは、要件が固まってRFPが出る段階ではなく、社内でまだ「自動化できないか検討してみよう」と話し始めた構想段階です。
この記事では、広告運用代行の実務でBtoB製造業の案件を扱ってきた視点から、Microsoft広告(Bing広告)を使って図面確定前の構想相談を指名外キーワードで取りにいく配信設計を解説します。あわせて、設備更新案件と新設ライン案件で検索語句もコンバージョンの価値も分けて管理する方法まで、アカウント構造とレポートの持ち方に落とし込んで整理します。
この記事の要点
- ロボットSIerの指名検索は母数が構造的に小さいため、社名指名だけを買っても商談は増えない
- 狙うべきは図面確定前の構想段階で、工程語と課題語を掛け合わせた指名外キーワードで拾いにいく
- Microsoft広告は業務用Windows端末とEdgeの既定検索という導線を持ち、生産技術部門の日中の検索に乗りやすい
- 設備更新案件と新設ライン案件は検索語句が異なり、受注金額もリードタイムも違うためキャンペーンを分けて評価する
- 評価指標は問い合わせ総数ではなく、構想相談の件数と受注までのリードタイムで見る
産業用ロボットSIerの新規商談が増えない原因は 指名検索の母数が構造的に小さいこと
新規商談が増えない最大の原因は、産業用ロボットSIerに対する指名検索の母数がそもそも小さいことです。自社の社名や「ロボットSIer」という業界用語で検索してくる人は、すでに業界内で自社を知っている相手か、同業の関係者か、就職活動中の学生に偏ります。ここに広告費を積んでも、新しい発注企業には届きません。新規の引き合いを増やしたいなら、指名検索の外側にある工程課題の検索を取りにいくしか道がないというのが出発点です。
産業用ロボットSIerとは、ロボット本体メーカーと発注企業の間に立ち、生産工程の分析からハンドや治具の設計、周辺装置の選定、ティーチング、安全柵や制御盤を含めたライン全体の構築、稼働後の保守までを一括で請け負う専門企業を指します。一般社団法人日本ロボット工業会(https://www.jara.jp/)が業界統計や資格制度の情報を公開しているとおり、ロボット導入は本体を買えば動くものではなく、工程に合わせた設計が価値の中心にあります。この構造が、広告の設計にもそのまま影響します。
発注側は社名ではなく自分の工程の困りごとで検索している
実際に発注企業の担当者にヒアリングしていくと、彼らがロボット導入を意識し始めるきっかけは、ほとんどが現場側の切実な事情です。特定工程の作業者が採用できない、熟練者の退職が近い、夜勤シフトが組めない、品質のばらつきをこれ以上許容できない。こうした状況が先にあり、その解決手段としてロボットという選択肢が浮上します。
したがって最初の検索語句には、工程名と困りごとがそのまま出てきます。「パレタイジング 人手不足」「溶接 自動化 中小企業」「検査工程 目視 自動化」といった組み合わせです。この時点でSIerという言葉を知っている担当者はむしろ少数派で、業界用語で検索できるのはある程度調べ進んだ後になります。指名外キーワードで先回りすることが、競合が動く前に接点を作る唯一の方法です。
相談が生まれるのは図面が確定する前の構想段階
もう一つ見落とされやすいのが、案件が動き出すタイミングです。ロボット導入の検討は、社内で予算化される前の構想段階が最も長く、ここでどのSIerに相談するかが実質的に決まります。仕様書と図面が固まってから相見積もりに呼ばれる段階では、初期から関与していた一社が優位に立っており、後から参加しても価格勝負になりがちです。
だからこそ広告で取りにいくべきは、見積依頼のキーワードではなく構想段階の検索です。「うちの工程でロボットが使えるのか知りたい」という段階の相談を受け止められれば、要件定義の主導権を握ったまま案件を進められます。この記事のタイトルにある構想段階の相談とは、まさにこの図面確定前のフェーズを指しています。製造業全般のWeb集客をどう組み立てるかという全体像は、以下の記事で整理しています。
Bing広告が産業用ロボットSIerと噛み合う理由は 業務用PC上の検索行動に乗れること
Microsoft広告が産業用ロボットSIerと噛み合うのは、生産技術部門の検索が会社支給のWindows端末で、就業時間内に起きるからです。工場や技術部門で使われる業務用PCはWindowsが圧倒的多数で、標準ブラウザであるMicrosoft Edgeの既定検索エンジンはBingに設定されています。情報システム部門の方針で既定設定が変更されていない事業所では、担当者は意識しないままBingで検索していることになります。BtoBの検索広告において、この既定設定という導線は軽視できない量の接点を生みます。
検索エンジンのシェアそのものは、2026年8月時点でもGoogleが圧倒的です。StatCounterが公開している日本の検索エンジンシェア(https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan)では、全デバイス合計でのBingは一割前後で推移しており、デスクトップに限ると比率が上がるという傾向が続いています。ただし広告の判断に使うべきなのは市場全体の平均値ではなく、自社サイトに実際に来ている流入の内訳です。
自社サイトのEdge・Bing流入比率を先に確認する
Microsoft広告を始めるかどうかを決める前に、必ず自社のアクセス解析でブラウザ別とリファラー別の内訳を見てください。GA4であればブラウザのディメンションでEdgeの比率を、参照元でbingからの自然検索流入を確認できます。ここでEdge経由の訪問が全体の一定割合を占めているなら、同じ層に有料検索でも届けられる可能性が高いと判断できます。
産業用ロボットSIerのサイトでは、この比率が消費者向けサービスのサイトより明確に高く出ることが多く、案件によってはEdgeがChromeに次ぐ二番手になっているケースもあります。逆に、スマートフォンからの流入が大半を占めているサイトでは効果は限定的です。まずは実測してから配分を決めるという順番を守ってください。
入札競合が薄いぶん構想段階の語句を現実的な単価で押さえられる
もう一つの利点は、日本国内での出稿企業数がまだ少なく、入札競合が薄いことです。Google広告では「自動化 相談」「ロボット導入 補助金」といった語句にコンサルティング会社や商社が積極的に入札しており、クリック単価が上がりやすい状況があります。同じ語句でも媒体を変えると競合状況が変わり、構想段階の広いキーワードを現実的な単価で押さえられる余地が残っています。
ただし、安いから出すという発想では長続きしません。母数が小さい媒体なので、クリック数を追いかけると必ずどこかで頭打ちになります。Microsoft広告は主戦場を置き換えるものではなく、Googleで拾いきれない指名外の構想層を補う位置づけで設計するのが実務的です。予算配分の目安は次の表のとおりです。
| 媒体 | 産業用ロボットSIerでの役割 | 予算配分の目安 |
|---|---|---|
| Google検索広告 | 工程課題キーワードの主力。母数が最も大きく、検証の軸になる | 60〜70% |
| Microsoft広告(Bing) | 業務用PCからの構想段階検索を補完。指名外の広い語句を安価に検証 | 15〜25% |
| Yahoo!検索広告 | 年齢層が高い層への到達。工程語での検索量は限定的 | 10〜15% |
| ディスプレイ・SNS | 導入事例の想起用。構想段階の相談獲得には直結しにくい | 0〜10% |
構想段階の相談を拾うキーワード設計は 工程語と課題語の掛け合わせで組む
構想段階の相談を拾うキーワード設計は、工程語と課題語を掛け合わせる二軸で組みます。工程語とは自社が実際に自動化できる作業の名前で、課題語とは発注側が抱えている困りごとの言い回しです。この二つを掛け合わせた語句は検索ボリュームこそ小さいものの、検索している人の状況が明確に絞り込まれており、無駄なクリックが起きにくいという性質があります。ボリュームの大きい単語を一語で買うより、掛け合わせの小さな語句を数十本並べるほうが結果的に安く商談に届きます。
設計の順序としては、まず自社が受注してきた案件の工程を棚卸しし、それを検索されそうな言葉に翻訳するところから始めます。社内で使っている呼称と、発注側が使う一般名称がずれていることは珍しくありません。この翻訳作業を営業任せにせず、実際の検索語句レポートと突き合わせながら進めることが精度を左右します。
工程語は自社が受注できる範囲だけに絞って並べる
工程語の候補は、パレタイジング、デパレタイジング、ピッキング、箱詰め、袋詰め、溶接、シーリング、バリ取り、研磨、ねじ締め、外観検査、寸法測定、搬送、供給といった具合に、作業単位で並べていきます。ここで重要なのは、自社が確実に実績を持っている工程だけに絞ることです。
受注できない工程のキーワードを買ってしまうと、問い合わせが来ても断ることになり、広告費と対応工数の両方を失います。産業用ロボットSIerは得意工程がはっきり分かれる業態なので、扱える範囲を正直に反映したキーワードリストのほうが最終的な成約率は高くなります。実績のない工程は、まず事例を作ってから追加するという順番にしてください。
課題語と制約語を掛け合わせて構想段階だけを切り出す
課題語には、人手不足、省人化、省力化、多品種少量、段取り替え、夜勤、熟練工、品質ばらつき、ヒューマンエラーといった言葉が入ります。制約語には、狭いスペース、既存ライン、後付け、小ロット、予算といった、現場の制約条件を表す言葉を並べます。工程語にこれらを掛け合わせることで、単なる情報収集ではない検索が浮かび上がります。
逆に、掛け合わせずに「産業用ロボット」「ロボット 自動化」といった単語を単体で買うと、学習目的の閲覧や学生の調べ物が大量に混ざります。同じ理由で「ロボット 価格」のような単価だけを見にくる語句も、構想段階の相談にはつながりにくい傾向があります。掛け合わせは面倒に見えますが、この作業を省略した分は必ず無駄クリックとして返ってきます。
マッチタイプは完全一致とフレーズ一致を軸に据える
マッチタイプの設定では、完全一致とフレーズ一致を軸に据え、インテントマッチ(部分一致)は検証用に限定して使います。BtoBの専門用語は自動拡張と相性が悪く、部分一致に任せると意図しない業界の語句に大きく広がってしまうためです。月間の検索数が少ない語句でも、フレーズ一致で押さえておけば近い言い回しは拾えます。
そのうえで、インテントマッチのキャンペーンを少額で一本だけ走らせ、検索語句レポートから新しい言い回しを発掘する運用にします。ここで見つかった語句を完全一致に昇格させていくサイクルを回すことで、キーワードリストは半年程度で実務的な厚みを持ちます。製造業における図面相談や技術問い合わせをMicrosoft広告で拾う考え方は、以下の記事でより広く整理しています。
設備更新案件と新設ライン案件は 検索語句もコンバージョン価値も分けて管理する
設備更新案件と新設ライン案件は、同じキャンペーンで扱ってはいけません。両者は検索される言葉が違い、受注金額の桁が違い、意思決定にかかる期間も違うためです。これを一つのキャンペーンにまとめると、件数の多い設備更新案件に予算が吸われ、金額の大きい新設ライン案件の露出が落ちるという事故が起きます。案件タイプの分割は、単なる整理ではなく予算配分の主導権を握るための構造だと捉えてください。
分割の実装は、キャンペーンを二本に分け、それぞれに専用のキーワード群と広告文、着地ページを用意する形が基本です。予算とスマート入札の目標値も独立させます。同じ入札戦略を共有していると、機械学習が件数の多い側に最適化されてしまい、分割した意味が薄れます。
設備更新案件は既存設備の型式や老朽化の語彙で現れる
設備更新案件は、すでに稼働している設備を前提とした検索語句で現れます。「ロボット 入れ替え」「制御盤 更新」「ティーチング 見直し」「既存ライン 後付け ロボット」といった言い回しや、老朽化、サポート終了、部品供給終了といった言葉が混じります。この層は課題がはっきりしており、比較的短期間で見積依頼まで進みます。
一方で、受注金額は新設ラインより小さく、既存設備の制約に合わせた設計が求められるぶん技術的な難易度が上がる場合もあります。広告文では対応可能なメーカーや型式の幅を明示し、既存環境を活かせることを前面に出すと反応が上がります。着地ページには改造事例と対応可否の判断基準を置いてください。
新設ライン案件は工場新設や生産能力の語彙で現れる
新設ライン案件は、より上流の語彙で現れます。「工場 新設 自動化」「新ライン 立ち上げ ロボット」「生産能力 増強 省人化」といった検索や、設備投資、ものづくり補助金、省力化投資といった予算まわりの言葉が入口になります。中小企業向けの支援制度については、ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)が公募要領を公開しており、公募時期に検索が動く傾向があります。
この層は検討期間が長く、初回接点から受注まで一年以上かかることも珍しくありません。そのぶん受注金額が大きいため、同じ問い合わせ一件でも社内での価値づけを変える必要があります。実務では新設ライン案件の構想相談は、設備更新案件の三倍前後の許容獲得単価を設定するところから始めると、判断が破綻しにくくなります。
| 比較軸 | 設備更新案件 | 新設ライン案件 |
|---|---|---|
| 典型的な検索語句 | 入れ替え、後付け、老朽化、サポート終了 | 工場新設、増産、生産能力、設備投資 |
| 検討期間の目安 | 3〜6か月 | 9〜18か月 |
| 受注金額の傾向 | 比較的小さく、単一工程で完結しやすい | 大きく、ライン全体の設計を伴う |
| 主な相談相手 | 保全部門・製造部門 | 生産技術部門・経営層 |
| 広告での扱い | 件数を確保し、稼働の土台をつくる | 件数は少なくてよく、単価を高く許容する |
案件の期間や契約形態が違うものを同じ問い合わせ導線で受けると評価が濁るという構造は、産業機械の領域でも共通しています。近い論点を扱った記事を挙げておきます。
構想段階の相談を受け止める着地ページは 実績一覧ではなく検討材料を置く
構想段階の検索から来た訪問者に見せるべきなのは、会社案内や実績一覧ではなく、その場で使える検討材料です。まだ社内で自動化の是非を議論している段階の担当者は、発注先を選びに来ているのではなく、自分の工程がロボットで対応できるのかを確かめに来ています。ここで会社の沿革や取引先ロゴを並べても、判断の助けにならないため離脱します。着地ページの主役は、工程別の可否判断と概算の考え方に置いてください。
具体的には、対応工程の一覧に加えて、その工程を自動化するときの前提条件、難易度が上がるケース、概算費用のレンジと内訳の考え方、検討から稼働までのスケジュール感を掲載します。金額を出すことに抵抗があるかもしれませんが、レンジと前提条件を添えて示すほうが、問い合わせ後のミスマッチが確実に減ります。
事例は業種別ではなく工程別に並べ替えて見せる
多くのロボットSIerのサイトでは、導入事例が業種別や導入企業別に並んでいます。しかし構想段階の訪問者は自分の業種の事例を探しているのではなく、自分の工程と似た事例を探しています。食品業界のパレタイジング事例が、樹脂部品メーカーの担当者にとって最も参考になるということが普通に起こります。
そこで事例ページは、工程を第一階層、業種を第二階層にして並べ替えます。各事例には導入前の課題、選んだロボットの種類、周辺装置の構成、稼働までの期間を最低限記載してください。写真だけの事例は見栄えはよくても検討材料にならず、滞在時間は伸びても問い合わせにはつながりません。
フォームは図面添付を必須にせず相談の敷居を下げる
フォーム設計でよくある失敗が、図面やワークの仕様書の添付を必須項目にしてしまうことです。構想段階の担当者は、そもそも図面をまだ持っていないか、社外に出す承認を取れていません。必須にした瞬間、狙っていた層がまるごと落ちます。
入力項目は、会社名、氏名、メールアドレス、自動化を検討している工程、現在の作業人数と稼働時間程度に抑え、図面添付は任意にします。かわりに「図面がなくても、工程の写真か動画があれば一次判断ができます」と明記しておくと、スマートフォンで撮った現場写真が添付されてくるようになります。構想段階の相談では、写真一枚のほうが図面より会話を進めやすいというのが現場の実感です。導入をご検討の際は、お問い合わせフォームからアカウントの現状をお知らせください。
構想段階のフォームで外しがちな設定
- 図面・仕様書の添付を必須にする:まだ図面がない層が全員離脱する
- 予算欄を必須にする:社内で予算化される前の段階では答えられない
- 導入希望時期を選択必須にする:構想段階では未定が実態で、虚偽入力を誘発する
- 電話番号を必須にする:情報収集段階の担当者ほど入力を避ける傾向がある
- 自由記述欄だけで受ける:工程名が書かれず、社内での振り分けができなくなる
問い合わせ数だけを追いかけると質が落ちるという構造は、BtoB広告に共通する論点です。リードの質を指標としてどう管理するかは以下の記事で詳しく扱っています。
除外キーワードと配信面の管理で 就職検索と同業流入を先に落とす
産業用ロボットSIerの検索広告では、除外キーワードの整備を配信開始前に済ませておく必要があります。この領域は就職活動、資格取得、学習目的の検索がきわめて多く、放置すると初月の予算の相当部分がそこに流れます。特に「ロボットSIer」という業界用語は、発注検討より業界研究で検索される割合のほうが高いという特徴があります。除外リストは配信開始時点で最低五十語、三か月後には二百語規模になるのが健全な状態です。
除外の対象は大きく四つに分かれます。就職・採用関連、資格・教育関連、同業や商社の営業目的、そして自社が対応しない工程や地域です。このうち採用関連は、自社が採用広告を出している場合に社名指名と競合するため、キャンペーンレベルでの除外を丁寧に設計してください。
就職と資格の語彙は配信開始前に除外へ入れておく
具体的には、求人、採用、転職、年収、志望動機、ランキング、資格、講習、特別教育、免許、学科、専門学校、研修といった語をあらかじめ除外に登録します。産業用ロボットの操作には安全衛生に関する特別教育が法令上求められるため、教育関連の検索量が構造的に多いという事情があります。厚生労働省が所管する安全衛生関連の情報(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/index.html)にも関連する制度が整理されており、この検索需要は広告主が期待する発注検討とは完全に別物です。
さらに、ロボット本体メーカーの型式名も注意が必要です。特定メーカーの型式で検索している人は、SIerではなくメーカーの製品情報を探していることが多く、クリックしても直帰します。自社が正規に取り扱っているメーカーの型式だけを残し、それ以外は除外に回すという線引きが実務的です。
検索パートナーと地域設定は初期段階で締める
配信面の設定も早い段階で締めておきます。Microsoft広告には検索パートナーサイトへの配信があり、クリック単価は安いものの、BtoBの専門的な問い合わせにつながる比率は低い傾向があります。開始から一か月ほどはパートナー面のデータを取り、成果が伴わなければ配信対象をBing本体に絞る判断でかまいません。
地域設定については、自社が実際に据付とアフター対応に行ける範囲に限定します。ロボットSIerの仕事は据付後の調整と保守が前提になるため、片道で何時間もかかる地域からの問い合わせは受注しても採算が合いません。対応地域を正確に設定するだけで、無駄な問い合わせ対応の工数は目に見えて減ります。海外からの流入も、輸出案件を扱わないなら明示的に除外してください。
配信開始前に必ず確認する除外設定
- 就職・採用・資格関連の語句を除外キーワードに一括登録しておく
- 取り扱いのないロボットメーカーの型式名を除外に回す
- 地域ターゲティングを据付・保守の対応圏に限定し、所在地条件を「所在地または頻繁に訪れる地域」に固定する
- 検索パートナー面は初月のみ配信し、成果を見て継続可否を判断する
- 自動適用される推奨設定をオフにし、意図しないキーワード追加を防ぐ
評価指標は問い合わせ総数ではなく 構想相談の件数と受注リードタイムで見る
産業用ロボットSIerの広告を評価する指標は、問い合わせ総数ではなく構想相談の件数です。総数で見てしまうと、資料請求や採用問い合わせ、同業からの営業までが同じ数字に混ざり、良し悪しの判断ができなくなります。コンバージョン地点を分けて計測し、構想相談だけを主要指標として扱う設計が必要です。指標を分けていないアカウントは、改善の方向を誤ったまま半年を失います。
コンバージョンの分け方としては、構想相談フォーム、見積依頼フォーム、資料ダウンロード、電話問い合わせの四つに分割し、Microsoft広告側では構想相談と見積依頼だけを主要コンバージョンに設定します。残りは副次コンバージョンとして計測にとどめ、入札の学習対象からは外します。
コンバージョン地点を分けて構想相談と見積依頼を別に数える
構想相談と見積依頼を分けるのは、両者で商談の性質が大きく違うためです。見積依頼はすでに仕様が固まっていることが多く、相見積もりの一社として呼ばれている可能性が高い。一方の構想相談は仕様が固まっておらず、要件定義から関与できる可能性があります。件数は構想相談のほうが少なくても、受注率と粗利率では上回ることが少なくありません。
フォームを分けるのが難しい場合は、一つのフォームの中に検討段階を選ぶ項目を設け、送信後のサンクスページを分岐させる方法でも計測できます。いずれにせよ、送信された内容を後から人が読んで分類するという運用は続きません。入口の時点で機械的に分かれる仕組みを作ってください。
受注までの期間が長い前提で予算判断の物差しを置く
もう一つ重要なのが、評価期間の置き方です。産業用ロボットの導入は、初回接点から受注まで半年から一年半かかることが普通で、広告を始めた月の受注金額で判断すると必ず「効果がない」という結論になります。この業態では、月次で見る指標と四半期以上で見る指標を分けて管理する必要があります。
月次で見るのは構想相談の件数と獲得単価、検索語句の質の変化までです。受注金額や投資回収は、最短でも二四半期を経過してから評価します。2026年8月時点の実務感覚では、産業用ロボットSIerの構想相談一件あたりの獲得単価は数万円台に収まれば健全で、そこから受注に至る比率が一割を超えれば十分に採算が合う計算になります。短期のCPAだけで媒体の継続を判断しないことが、この業態で最も大切な原則です。より一般的なMicrosoft広告の運用代行の考え方は、以下の記事にまとめています。
運用体制は 生産技術の担当者を月一回の確認に巻き込めるかで決まる
この配信設計が機能するかどうかは、社内の技術者を運用に巻き込めるかで決まります。工程語のキーワードが適切かどうか、検索語句レポートに現れた語句が本当に受注可能な工程かどうかは、広告担当者やマーケティング部門だけでは判断できません。月に一度、三十分でよいので生産技術の担当者にレポートを見てもらう時間を確保することが、この設計の前提条件になります。
逆に言えば、技術者の関与なしに外部の代理店へ丸投げすると、一般的な製造業向けの当たり障りのないキーワードリストに落ち着き、指名外の構想相談を取るという狙いは実現しません。運用代行を使う場合も、月次の確認だけは社内の技術者が入る体制にしてください。
検索語句レポートは技術者の目で仕分ける
検索語句レポートの仕分けは、広告の知識より工程の知識が効く作業です。たとえば「異形ワーク ピッキング」という語句が現れたとき、それが自社の得意領域なのか、対応が難しく断ることになる案件なのかは技術者にしか判断できません。この判断を経てキーワードの追加と除外を決めることで、リストの精度が回を追うごとに上がります。
運用の実務としては、月次で新規に発生した検索語句を一覧にし、技術者に「対応可能」「条件付き」「対応不可」の三択で印を付けてもらうだけで十分です。この作業は慣れれば十五分ほどで終わり、代理店側の推測に頼るより圧倒的に速く正確です。印を付けた語句はそのままキーワードと除外リストに反映します。
問い合わせ後の一次返信を技術者が担う
構想段階の相談は、返信の内容と速度が受注確率を大きく左右します。営業担当が定型文で「詳しくお話を伺いたい」と返すより、技術者が写真や工程の記述を見て「このワーク形状なら吸着より挟持のほうが安定します」と一言添えるほうが、相手の信頼は比較にならないほど早く得られます。
実務では、問い合わせ受信から一営業日以内に技術者の所見を含む一次返信を出す体制を組んでいる企業が、同じ広告費でも明確に高い商談化率を出しています。広告の設計とページの改善で入口を作っても、返信の質が伴わなければ数字は伸びません。配信と受け皿は同じ一つの設計として扱ってください。現状の体制で対応できるかを含めて、無料の広告アカウント診断でご相談いただけます。
まとめは 図面確定前の構想相談を指名外で拾う設計が受注の起点になる
産業用ロボットSIerの新規商談を広告で増やすなら、社名や業界用語の指名検索ではなく、工程語と課題語を掛け合わせた指名外キーワードで構想段階の相談を取りにいく設計が起点になります。Microsoft広告は業務用Windows端末という導線を持つぶん、この層に届きやすい媒体です。そして設備更新案件と新設ライン案件を分けて評価し、技術者を運用に巻き込むところまでが一連の設計に含まれます。
- 指名外の工程課題キーワードで構想段階を狙う。社名や業界用語の指名検索は母数が小さく、学生と同業に偏る。工程語と課題語の掛け合わせで、図面が固まる前の担当者に先回りする
- 設備更新と新設ラインはキャンペーンを分ける。検索語句も受注金額もリードタイムも異なるため、同一キャンペーンでは件数の多い側に予算が吸われる。許容獲得単価を別々に設定する
- 評価は構想相談の件数と受注リードタイムで行う。問い合わせ総数と短期のCPAで判断すると、この業態では必ず誤った結論に至る。月次と四半期で見る指標を分けて管理する
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ハーマンドットでは、産業用ロボットSIerをはじめとするBtoB製造業の広告運用を支援しています。既存のGoogle広告アカウントの検索語句レポートを拝見すれば、構想段階の検索がどれだけ取りこぼされているか、除外キーワードの不足でどれだけ予算が流れているかは短時間で把握できます。Microsoft広告を新たに始めるべきかどうかも、自社サイトのEdge流入比率という実測値を根拠に判断してご提案します。
まだ広告を出稿していない場合でも、自社の対応工程からキーワードの候補を洗い出し、想定される検索ボリュームと獲得単価の目安をお伝えできます。展示会と紹介に依存した集客から一歩踏み出したい、あるいは代理店に任せた広告が業界の実態と噛み合っていないと感じている段階でのご相談を歓迎します。初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。




