学習塾の月10万円検索広告|季節講習と通常入塾を分けてムダ打ちを防ぐ配信設計

学習塾の集客において、リスティング広告(検索広告)は「今まさに塾を探している保護者」に直接アプローチできる、費用対効果の高い手段です。しかし月10万円前後の限られた予算で運用している塾の多くが、夏期講習・冬期講習といった季節講習の申込と、年間を通じた通常入塾の獲得を、同じキャンペーン・同じ指標のまま一緒に回してしまっています。この「混ぜて配信する」構成こそが、少額予算のムダ打ちを生む最大の原因です。
講習を探す保護者と、転塾や新規入塾を検討する保護者では、検索する言葉も、申込までの検討期間も、獲得後の売上規模もまったく異なります。短期の講習申込は単価が数万円で完結する一方、通常入塾は月謝が継続するためLTV(顧客生涯価値)が講習の何倍にもなります。この2つを同じ目標CPA、同じ評価軸で回すと、自動入札の学習が歪み、本来もっとも価値の高い入塾リードの獲得機会を取りこぼします。
本記事では、月10万円前後の小予算で学習塾のリスティング広告を運用する前提に立ち、季節講習と通常入塾をキャンペーン・キーワード・評価指標のレベルで分離する配信設計を、年間の予算配分カレンダーまで含めて具体的に解説します。教育業界全体の集客論ではなく、「小予算の塾が明日から直せる設計」に絞ってお伝えします。
目次
学習塾のリスティング広告は月10万円で成立するのか
最初に押さえておきたいのは、月10万円という予算が学習塾のリスティング広告において「十分に戦える金額」だという事実です。塾の商圏は基本的に教室から通える範囲に限られるため、全国配信が前提の業種と違い、配信対象を狭く絞れば絞るほど1クリックあたりの競争は緩やかになります。予算の少なさは、商圏の狭さと組み合わせれば弱点ではなく設計条件になります。
検索広告が塾集客に向いている構造的な理由
塾を探す保護者の行動は、チラシやSNSで認知してから動くケースよりも、「地域名 塾」「中学生 個別指導 ○○駅」のように検索から始まるケースが目立ちます。特に転塾検討や成績不振をきっかけにした塾探しは、思い立ったその日に検索し、数日以内に問い合わせまで進む短期決戦になりやすい行動パターンです。検索連動型の広告は、この「探し始めた瞬間」に教室のページを提示できる唯一の手段といえます。
また、Google広告の地域ターゲティングを使えば、教室から半径数キロメートルの範囲だけに配信を限定できます。学習塾の場合、通塾可能圏の外からのクリックはほぼ確実にムダになるため、配信半径を通塾圏(自転車や徒歩で通える2〜5km程度)に絞るだけで、予算の消化効率は大きく変わります。地域設定の仕様はGoogle広告ヘルプのキャンペーン設定ガイドでも詳細に公開されており、市区町村単位・半径単位のいずれでも指定可能です。
チラシや看板といった従来型の販促と比べたときの検索広告の強みは、成果が数字で分解できる点にもあります。何回表示され、何回クリックされ、何件の問い合わせにつながり、1件あたりいくらかかったのかがすべて記録されるため、「今月は反応が良かった気がする」という感覚論から脱却できます。月10万円という限られた投資だからこそ、効果を検証できる媒体に集中させる意味は大きいといえます。
月10万円予算で見込める獲得件数の目安
学習塾関連のキーワードのクリック単価は、地域や競合状況によって幅があるものの、地方都市の通塾圏配信であれば1クリック150〜400円程度、都市部の激戦区でも500〜800円程度に収まるケースが多く見られます。仮に平均クリック単価300円・月10万円なら約330クリックを獲得でき、LPのコンバージョン率が3%であれば月10件前後の問い合わせ・資料請求が見込める計算です。
ここから体験授業や入塾面談への着席率、そして入塾率を掛け合わせると、月10万円の広告費で月2〜4名の新規入塾が現実的なラインになります。個別指導塾の年間LTVが1名あたり40〜60万円程度とすれば、入塾2名でも広告費は十分に回収できます。重要なのは、この計算が成立するかどうかは予算の大小ではなく、後述する「講習と入塾を混ぜない設計」ができているかに大きく左右されるという点です。
なお、月10万円の予算をGoogle広告とYahoo!広告に分散させるのはおすすめできません。媒体を分けるとそれぞれの学習データが半減し、どちらの自動入札も安定しなくなるためです。保護者層の検索ボリュームが大きく、地域ターゲティングと自動入札の精度が高いGoogle広告に全額を集中させ、成果が安定して予算を増やす段階になってからYahoo!広告の追加を検討する順序が、少額運用の定石です。少額予算での運用設計の全体像は、以下の記事でも詳しく解説しています。
講習と通常入塾を混ぜると起きるムダ打ちの正体
月10万円運用の塾アカウントを診断すると、もっとも頻繁に見つかるのが「夏期講習」「冬期講習」「入塾」「体験授業」のキーワードが1つのキャンペーンに同居している構成です。一見すると管理がラクで学習データもまとまるように思えますが、実際には自動入札と予算配分の両面で損をしています。
講習検索と入塾検索は意図がまったく別物
「夏期講習 ○○市」と検索する保護者は、7月から8月の短期プログラムを比較しています。判断材料は日程・料金・科目の3点が中心で、検討期間は短く、申込のピークは6月中旬から7月上旬に集中します。一方「塾 ○○駅 中学生」と検索する保護者は、これから何年も通う可能性のある塾を探しており、講師の質・指導方針・合格実績・教室の雰囲気まで含めて比較検討します。検討期間は数週間に及ぶことも珍しくありません。
この2つの検索意図に対して同じ広告文・同じLPを返すと、どちらのユーザーにとっても「探している情報と微妙にズレたページ」になります。講習を探す人に年間カリキュラムの説明を見せても離脱しますし、じっくり塾を選びたい人に「今なら講習半額」の訴求をぶつけても刺さりません。広告文とLPは検索意図ごとに専用で用意するのが、CVRを落とさない最低条件です。
混在の弊害はレポートにも及びます。講習と入塾のCVが同じキャンペーンに混ざっていると、「今月の問い合わせ12件」という数字の中身が見えず、講習の波なのか入塾ニーズなのかを区別できません。その結果、講習シーズンの好成績を通常期の実力と誤認して予算判断を誤ったり、逆に閑散期の数字だけを見て広告を止めてしまったりします。数字の中身を分解できないアカウントは、改善の打ち手も選べないのです。
1キャンペーン混在が自動入札の学習を歪ませる
より深刻なのは自動入札への影響です。講習申込と入塾面談予約を同じコンバージョンとして1キャンペーンに集約すると、Google広告のスマート自動入札は「どちらのCVも同じ価値」として学習します。講習シーズンには講習系キーワードのCVが急増するため、システムは講習語への配分を強め、その裏で年間を通じて価値の高い入塾系キーワードの入札が相対的に弱まります。
その結果、9月に講習の波が引いた後、「なぜか問い合わせが止まった」という状態に陥ります。講習CVで学習した入札モデルが、意図の異なる入塾検索に対して適切な入札を組めなくなっているためです。月10万円の少額予算では学習データが元々少ないぶん、この歪みからの回復にも時間がかかります。コンバージョン設定をどう分けて学習させるかは、以下の記事で体系的に整理しています。
月10万円を講習期と通常期で分けるキャンペーン設計
ここからが本題の設計です。方針はシンプルで、「講習キャンペーン」と「通常入塾キャンペーン」の2系統を常設し、季節に応じて予算の配分比率だけを動かします。キャンペーンを都度作り直すのではなく、講習キャンペーンを一時停止と再開で使い回すことで、過去の学習データを翌年も活かせます。
キャンペーン2系統の基本構成
通常入塾キャンペーンは年間を通じて稼働させる主軸です。コンバージョンは「入塾面談予約」「体験授業申込」「資料請求」を設定し、目標は面談・体験の獲得単価に置きます。一方の講習キャンペーンは、夏期・冬期・春期の各シーズン前後だけ稼働させる短期集中型で、コンバージョンは「講習申込」と「講習の問い合わせ」に限定します。
この分離により、それぞれのキャンペーンが自分の検索意図に対してのみ学習するため、入札の精度が上がります。また予算もキャンペーン単位で独立するため、講習の検索が急増する時期に入塾系の予算が食われる事故も、逆に閑散期に講習キーワードへムダに配信される事故も構造的に起きなくなります。2系統分離は、少額予算の塾がまず着手すべき最優先の改善です。
年間の予算配分カレンダーの作り方
塾の検索需要には明確な季節波形があります。夏期講習は6〜7月、冬期講習は11〜12月、春期講習と新年度入塾は1〜3月に検索が伸び、通常入塾はテスト返却後の6月・10月にも小さな山ができます。月10万円をこの波形に合わせて2系統に配分すると、次のようなカレンダーになります。
| 時期 | 通常入塾キャンペーン | 講習キャンペーン | 配分の狙い |
|---|---|---|---|
| 4〜5月 | 9万円 | 停止 | 新学期の環境変化による塾探しを取り切る |
| 6〜7月 | 5万円 | 5万円(夏期) | 夏期講習の検索ピークに乗せつつ入塾も維持 |
| 8月 | 8万円 | 2万円 | 講習終盤は縮小し、講習後の転塾検討を先取り |
| 9〜10月 | 10万円 | 停止 | 定期テスト後の駆け込み需要に全額投下 |
| 11〜12月 | 5万円 | 5万円(冬期) | 冬期講習と受験直前需要の両取り |
| 1〜3月 | 7万円 | 3万円(春期) | 年間最大の入塾シーズンに主軸を厚く |
ポイントは、講習キャンペーンに予算の大半を寄せる月を作らないことです。講習検索がピークでも通常入塾キャンペーンは最低5万円を維持します。講習をきっかけに塾を探し始めた保護者が、そのまま「塾 ○○市」と検索し直して入塾に至る動線が常に存在するためです。ここで入塾側を止めてしまうと、講習で温めた需要を刈り取れません。
月予算はキャンペーンごとに日予算へ換算して設定します。たとえば通常入塾に月7万円を割り当てるなら日予算は約2,300円です。日予算が1,000円を切ると、クリック単価300円の商圏では1日3クリック程度しか買えず、データ蓄積が極端に遅くなります。配分した結果どちらかの日予算が1,000円を大きく下回るようなら、その月は無理に2系統を並走させず、需要の強い側へ一本化するほうが合理的です。
地域と時間帯で配信をさらに絞り込む
2系統に分けたうえで、両キャンペーン共通の絞り込み設定を施します。地域は教室からの半径指定を基本とし、電車通塾が現実的な駅前立地なら沿線の駅名を個別に追加します。デバイスは保護者のスマートフォン検索が中心のため、モバイルを基準にLPの表示速度と電話タップ導線を必ず確認してください。
時間帯については、保護者の検索は平日の夜21時以降と土日の午後に集中する傾向があります。少額予算では1日の予算が夕方までに使い切られてしまう「早朝からのダラダラ配信」が起きがちなので、広告のスケジュール設定で検索が集中する時間帯に配信を寄せると、同じ予算でも接触の質が上がります。設定を始める前に、次のチェック項目を確認しておきましょう。
キャンペーン分離の設計チェック
- キャンペーン構成:講習用と通常入塾用が別キャンペーンに分かれているか
- コンバージョン設定:講習申込と入塾面談予約が別のCVアクションとして登録されているか
- 地域設定:教室からの半径が通塾圏(2〜5km目安)に収まっているか
- LPの分離:講習専用ページと入塾検討用ページがそれぞれ用意されているか
- 予算管理:講習期でも通常入塾キャンペーンの日予算がゼロになっていないか
なお、講習キャンペーンの停止と再開を繰り返す運用では、再開直後に自動入札が学習を仕切り直す期間が発生します。講習開始の2〜3週間前には再開しておき、検索ピークに学習が間に合うよう逆算してください。季節要因で入札を調整する際の考え方は、以下の記事が参考になります。
キーワードは「講習語」と「入塾語」で仕分ける
キャンペーンを分けたら、次はキーワードの仕分けです。少額予算では登録キーワードを増やすほど1語あたりの学習データが薄まるため、各キャンペーン5〜15語程度に厳選し、検索意図が明確な語だけを残します。
講習キャンペーンで拾うべき検索語
講習キャンペーンの中心は「夏期講習 地域名」「冬期講習 中学生 ○○市」「夏期講習 料金」といった講習そのものを指名する語です。これらは検索された時点で申込意欲が高く、シーズン中はCVRも高くなります。加えて「夏休み 勉強 遅れ」「夏休み 塾だけ」のような課題起点の語も、講習LPとの相性が良い準顕在層として少量テストする価値があります。
注意したいのは、講習語のマッチタイプです。部分一致で広げると「夏期講習 バイト」「夏期講習 とは」のような非見込み検索に消化されるため、少額運用ではフレーズ一致を基本とし、検索語句レポートを週次で確認して除外を積み上げるのが安全です。講習シーズン中の検索語句チェックは週1回を最低ラインとしてください。シーズンが短いぶん、ムダ配信の発見が1週間遅れるだけで予算の1割以上を失うこともあります。
通常入塾キャンペーンは地域名の掛け合わせが主戦場
通常入塾キャンペーンの主力は「塾 地域名」「個別指導 駅名」「中学生 塾 ○○市」といった地域掛け合わせ語です。ここに自塾の指導形態(個別指導・集団・自立型)や対象学年を掛けた語を加え、検索意図と教室の強みが一致する組み合わせだけを残します。県名単位の広すぎる語や、「勉強法」のような情報収集段階の語は、少額予算では原則見送ります。
掛け合わせ語を選ぶ際は、実際に保護者になったつもりで検索してみるのが確実です。検索結果に大手ポータルサイトばかりが並ぶ語は、個別の教室が広告で上位を取れてもLPの情報量で比較負けしやすい一方、地図と教室サイトが混在する語は個別塾にも十分勝機があります。机上のキーワードプランナーだけでなく、実際の検索結果面を見て戦う場所を選ぶ姿勢が、少額運用では特に効いてきます。
もうひとつ忘れてはならないのが自塾名の指名検索です。チラシや口コミで塾名を知った保護者が検索したとき、ポータルサイトや競合の広告が上に表示されていると、せっかくの指名流入を取りこぼします。指名語はクリック単価が数十円程度と安く、CVRは圧倒的に高いため、少額でも必ず確保しておきたい語です。
広告文もLPも検索した言葉に揃えて書き分ける
キーワードを仕分けたら、広告文もそれぞれの検索意図に合わせて書き分けます。講習キャンペーンの見出しには「夏期講習 受付中」「7月○日開講・全○日間」のように日程と募集状況を明示し、説明文で料金の目安と申込締切を伝えます。講習を探す保護者の関心は「いつ・いくら・間に合うか」の3点に集約されるため、抽象的な指導理念よりも具体的な開催情報のほうがクリック率は上がります。
通常入塾キャンペーンの広告文では、地域名と対象学年を見出しに含めたうえで、体験授業や入塾面談という次の行動を明確に示します。「○○市の中学生対象・個別指導」「無料体験授業 受付中」のように、検索語と広告見出しの言葉を一致させるほど品質スコアも改善し、同じ入札額でも表示順位と単価が有利になります。広告文とLPの見出しがズレていると、クリック後の離脱が増えて広告費だけが消えるため、検索語・広告文・LPの3点で言葉を揃える意識が欠かせません。
相互の除外キーワード設定で棲み分けを固定する
2つのキャンペーンを分けても、除外設定をしなければ検索語句の奪い合いが起きます。「塾 夏期講習 ○○市」のような両方の要素を含む検索に対し、どちらのキャンペーンの広告が出るかをGoogle側の判断に委ねることになるからです。通常入塾キャンペーンには「夏期講習」「冬期講習」「春期講習」「講習」を除外キーワードとして登録し、講習キャンペーンには入塾面談・月謝など通年語を除外します。
この相互除外によって、講習語は必ず講習キャンペーンから、入塾語は必ず通常キャンペーンから配信される状態が固定されます。レポートを見たときに「どちらの施策がいくら使い、何件獲得したか」が完全に分離されるため、翌シーズンの予算配分の判断材料としてもそのまま使えます。仕分けの際は次の点に注意してください。
キーワード仕分けの注意点
- 相互除外の登録漏れ:片方だけ除外しても棲み分けは完成しない。必ず両方向で設定する
- 指名語の扱い:「塾名+夏期講習」の検索は講習キャンペーン側で受ける設計にする
- 部分一致の拡張:少額予算ではフレーズ一致基本。部分一致を試すなら1語ずつ・検索語句レポート監視つきで
- 学年ズレの除外:高校生を教えない塾は「高校生」「大学受験」を最初から除外しておく
評価指標は短期売上とLTVの二本立てで分ける
キャンペーンとキーワードを分けたら、最後に評価の物差しも分けます。ここを分けないと、せっかくの分離設計が「講習のほうがCPAが安いから講習に寄せよう」という誤った意思決定に飲み込まれてしまいます。講習と入塾では、1件の獲得が生む売上の桁が違うからです。
講習はCPA、入塾はLTV基準で見る
講習申込は単価が明確な短期商品なので、評価はシンプルに獲得単価で構いません。夏期講習の単価が5万円・原価と人件費を引いた粗利が2万円なら、講習申込1件あたりの許容CPAは1〜1.5万円程度に置けます。シーズン終了時に「講習売上−広告費」が黒字かどうかで判定でき、翌シーズンの予算増減も即断できます。
一方の通常入塾は、体験申込1件あたりのCPAだけを見ると講習より高く見えるのが普通です。しかし月謝3万円の生徒が平均24ヶ月通うなら、入塾1名のLTVは72万円になります。体験申込CPAが2万円・体験からの入塾率が50%なら、入塾1名の獲得コストは4万円で、LTV比では広告費率6%以下という極めて健全な投資です。この計算を持たずに講習CPAと同じ物差しで入塾側を評価すると、「高い」と誤認して主軸の予算を削る判断ミスにつながります。
面談・体験授業までを計測してはじめて比較できる
指標を分ける前提として、コンバージョン計測の整備が必要です。フォームからの体験申込だけでなく、スマートフォンからの電話発信タップ、LINE登録からの問い合わせなど、保護者が実際に使う連絡手段をすべてCVとして拾えているかを確認してください。塾の場合、電話問い合わせが全体の3〜5割を占めるケースもあり、電話CVを取りこぼしたままでは講習と入塾の正確な比較ができません。スマートフォンのLPに設置した電話番号のタップをCVとして計測する設定は、Google広告の標準機能だけで完結するため、まだ入れていない場合は真っ先に整備すべき項目です。
さらに一歩進めるなら、申込後に「面談に来たか」「入塾したか」をオフラインコンバージョンとして広告データに戻す運用が理想です。ここまでできると、自動入札が「入塾につながりやすい検索」を直接学習するようになり、少額予算でも獲得の質が一段上がります。
少額予算でCVデータが月10件に満たない場合は、マイクロコンバージョンの活用も検討してください。料金ページの閲覧やアクセスマップの表示といった「申込の一歩手前」の行動を補助的なCVとして計測すれば、自動入札に渡せる学習材料が増えます。ただし主目標と混ぜると価値の低いCVに最適化が引っ張られるため、マイクロCVはあくまで観測用にとどめ、入札の学習対象は面談・体験・申込の主要CVに限定するのが原則です。2系統それぞれで見るべき指標を整理すると次のとおりです。
| 評価項目 | 講習キャンペーン | 通常入塾キャンペーン |
|---|---|---|
| 主要CV | 講習申込・講習問い合わせ | 体験授業申込・入塾面談予約 |
| 評価軸 | シーズン内の獲得単価と講習粗利 | LTVに対する獲得コスト比率 |
| 許容CPAの目安 | 講習粗利の50〜70% | LTVの10〜15%以内 |
| 判断サイクル | シーズン終了ごと | 四半期ごと |
| 翌期への活かし方 | 予算増減と開始時期の前倒し判断 | キーワード・LP改善の優先順位づけ |
広告費をLTVから逆算して管理する考え方は、塾に限らず継続課金型ビジネス全般に共通します。詳しい設計手順は以下の記事で解説しています。
少額運用で失敗しやすいポイントと外注判断
設計が正しくても、日々の運用でつまずくポイントがいくつかあります。月10万円運用の塾アカウントで実際によく見られる失敗と、自社運用を続けるか外部に任せるかの分岐点を最後に整理します。
塾アカウントに典型的な失敗パターン
もっとも多いのは、講習シーズンが終わった後も講習キャンペーンを止め忘れるケースです。9月に入っても「夏期講習」の広告が配信され続け、来年の夏を調べる少数の検索や情報収集クリックに予算が流れます。カレンダーに停止日をあらかじめ登録し、シーズン終了と同時に一時停止する運用をルール化してください。Google広告のキャンペーン開始日・終了日の設定機能を使えば、指定日に自動で配信を止めることもできます。
次に多いのが、成果が出ないときに設定を頻繁にいじりすぎる失敗です。少額予算はCVデータの蓄積が遅いため、自動入札の学習には通常より時間がかかります。週に何度も目標CPAを変更したり、キーワードを大量に入れ替えたりすると、学習がリセットされ続けて永遠に安定しません。設定変更は原則2週間に1回まで、変更は1度に1箇所を目安に、検証と判断を切り分けましょう。訴求やLPの改善は、その間に広告の外側で進めるのが正しい時間の使い方です。
また、広告だけで完結させようとする姿勢も遠回りになります。塾の場合、広告をクリックした保護者の多くがGoogleマップの口コミや教室のビジネスプロフィールを確認してから問い合わせます。星評価が低い、写真が古い、営業時間が未更新といった状態を放置したまま広告費を増やしても、クリックの後段で失注し続けます。広告の改善と並行して、口コミへの返信や教室情報の更新といった受け皿の整備を進めることで、同じクリック数でも問い合わせ率は着実に伸びます。
運用前に必ず確認したい事故防止項目
- 講習キャンペーンの停止予定日がカレンダーとGoogle広告の両方に設定されているか
- 電話番号の変更・教室移転がLPと広告表示オプションに反映されているか
- フォーム送信後のサンクスページでCVタグが正しく発火しているか(講習・入塾で別タグ)
- 日予算の使い切り時刻を確認し、夜間の検索ピーク前に配信が止まっていないか
自社運用と運用代行の分岐点
ここまでの設計は、Google広告の管理画面に慣れていれば自社でも実装できます。実際、キャンペーン2系統・キーワード厳選・週次の検索語句チェックという運用は、慣れれば週1〜2時間で回せる作業量です。教室長や本部スタッフが担当し、講習前後だけ作業を厚くする体制が、少額予算の塾ではもっとも費用対効果の高い形になり得ます。
一方で、複数教室を展開していて教室ごとの商圏設計が必要な場合や、電話CV計測・オフラインコンバージョンまで整備したい場合は、社内の工数だけでは品質が頭打ちになりがちです。運用代行の手数料は月額固定や広告費の20%が相場のため、月10万円の予算では手数料負けしないかの見極めが重要になります。判断に迷う場合は、現在のアカウント構成が本記事の設計とどれだけ乖離しているかを第三者に診断してもらうのが早道です。ハーマンドットでも無料の広告アカウント診断を提供しており、講習と入塾の混在状況、除外設定の漏れ、計測の欠落を具体的に指摘できます。教育業界に対応した代理店の選び方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ:講習と入塾を分ければ月10万円でも戦える
学習塾のリスティング広告は、予算の大きさよりも設計の正しさで成果が決まります。とくに月10万円前後の少額運用では、季節講習と通常入塾を混ぜた瞬間にムダ打ちが始まり、分けた瞬間に投資対効果の見通しが立ちます。本記事の要点は次の3つです。
- キャンペーンは講習用と通常入塾用の2系統に常設分離し、季節に応じて予算配分の比率だけを動かす。講習期でも入塾側の配信は止めない
- キーワードは講習語と入塾語で仕分けたうえで相互に除外設定し、検索語句レポートを週次で確認してムダ配信を潰す
- 評価は講習=シーズン内CPA、入塾=LTV基準の獲得コスト比率という二本立てで行い、見かけのCPA差で主軸の予算を削らない
この3点を実装するだけで、同じ月10万円でも問い合わせの質と量は目に見えて変わります。まずは自塾のアカウントを開き、講習と入塾のキーワードが同居していないかを確認するところから始めてください。もし構成の判断に迷ったら、専門家による無料診断で現状を可視化するのが確実です。
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「今の代理店の構成が正しいのか知りたい」「自社運用を続けるべきか判断したい」という段階のご相談も歓迎です。診断では現在のアカウントを拝見し、講習と入塾の混在有無、除外キーワードの漏れ、計測の欠落といったムダ打ちの箇所を、改善した場合の獲得インパクトの試算つきで具体的にお示しします。診断を受けたうえで自社運用を続けるという選択ももちろん可能です。お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
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