脆弱性診断サービスの検索広告は 緊急診断と年次診断でCV価値を分けて追う

脆弱性診断サービスの検索広告は、問い合わせ件数が伸びても受注が積み上がらないという相談が特に多い領域です。広告管理画面ではCPAが目標内に収まっているのに、営業側からは「見積もりまで進まない」「そもそも予算のない相談ばかり届く」という声が返ってくる。この食い違いは運用担当者の技量の問題ではなく、キャンペーン設計の段階で性質の違う二種類の需要をひとつにまとめてしまったことから生まれています。

脆弱性診断の検索需要は、インシデントや指摘が起きた直後に動く緊急需要と、年度計画や取引先要請にもとづいて動く定期診断需要の二層に分かれます。前者は数日以内に発注先を決める代わりに予算枠が読みにくく、後者は決裁に数か月かかる代わりに単価と継続率が安定します。検索語も決裁プロセスも納期感覚も違う二つを同じキャンペーンと同じコンバージョンで追えば、自動入札は取りやすく安いほうへ寄っていき、営業が扱いにくいリードだけが積み上がる結果になります。

この記事では、広告運用代行の実務でハーマンドットが実際に組んでいる二層設計を、キーワードの切り分けからコンバージョン価値の置き方、着地ページ、計測、予算配分まで順に説明します。記載している数値は2026年8月時点の国内BtoB案件で見えている傾向であり、診断対象の規模や商圏によって幅が出る前提で読み進めてください。

この記事の要点

  • 脆弱性診断の検索需要は緊急診断と年次診断の二層に分かれ、受注率も単価も継続率も別物になる
  • 二層を同じキャンペーンと同じCVで追うと、自動入札が安いリードへ寄り商談化率が落ちる
  • 緊急側は入電を主目標、年次側は見積もり依頼を主目標に置き、CV価値を金額で分けて設定する
  • 検索語句レポートで二層の混線を毎週止める運用が、キーワード追加より成果への寄与が大きい
  • 予算は緊急枠と年次枠を固定比率で持ち、月内で安易に融通しないほうが結果的に安定する

脆弱性診断の検索広告が伸び悩む原因は 需要が二層に分かれていること

脆弱性診断サービスの検索広告が伸び悩む最大の原因は、緊急対応と定期診断という性質のまったく違う二つの需要を、ひとつのキャンペーンとひとつのコンバージョンで束ねていることです。多くのアカウントは「脆弱性診断」「セキュリティ診断」といった太いキーワードを一箇所に集め、フォーム送信をコンバージョンに設定しています。この構成だと媒体側は両者を区別できず、単純に安く取れるほうへ配信を寄せていきます。

結果として起きるのは、資料請求だけで終わる相談が増え、実際に診断を発注する企業からの入電が薄くなるという偏りです。件数は伸びているので広告レポート上は好調に見えますが、営業の稼働は増える一方で受注は横ばいという状態になります。二層の分離は、細かな入札調整よりも先に着手すべき土台の話だと考えてください。

この構造的な問題に気づかないまま改善を続けると、キーワードの追加や広告文のテストといった打ち手をいくら重ねても頭打ちになります。運用歴の長いアカウントほど、過去に追加した緊急語と検討語が同じ広告グループに積み重なっており、混ざったまま学習が固まっている状態が普通です。この記事で扱う分離は、既存の配信を止めずに二週間から一か月かけて段階的に移行できる作業なので、リスクを取らずに着手できます。

脆弱性診断とは何を指すサービスか

脆弱性診断とは、Webアプリケーションやサーバー、ネットワーク機器に存在するセキュリティ上の欠陥を専門家やツールが洗い出し、リスクの深刻度と対処方針をレポートとして提供するサービスのことです。診断範囲によってWebアプリケーション診断、プラットフォーム診断、クラウド診断、スマートフォンアプリ診断などに分かれ、実施方法もツール診断と手動診断に大別されます。広告文やランディングページで扱う言葉としては、この区分の違いがそのまま検索意図の違いに直結します。

費用感も区分によって大きく異なります。2026年8月時点で各社が公開している価格帯を見ると、ツール中心の簡易診断は数万円から数十万円の水準、手動診断を含む本格的な診断は数十万円から数百万円まで開きがあります。同じ「脆弱性診断」という検索語で入ってきた人が想定している金額が10万円なのか300万円なのかで、その後の商談の性質はまるで変わります。広告側で意図を絞り込まずに集めれば、営業が価格の説明だけで疲弊する構造になります。

脆弱性そのものの定義や届出制度については、IPA(情報処理推進機構)が公開している脆弱性対策情報が一次情報として参照できます。広告文やLPで制度や届出に触れる場合は、こうした公的な情報源を根拠として明示しておくと、審査面でも顧客の信頼面でも安全に進められます。

インシデント直後に動く緊急需要の輪郭

緊急需要は、実際に何かが起きた企業から発生します。改ざんの痕跡が見つかった、取引先から不審な通信を指摘された、外部からの通報でサイトの不備を知らされた、といった状況です。検索行動は平日日中に集中し、電話番号を探す動きが強く、比較検討の期間はきわめて短いのが特徴です。

この層は「今日中に相談できるか」「最短で何日で報告書が出るか」を最優先で見ています。料金表を精読することは少なく、対応スピードと実績の見えやすさで発注先を決めます。裏を返せば、電話がつながらない時間帯に広告を出していると、その予算はほぼ丸ごと競合に流れることになります。緊急層に向けた配信は、社内の受電体制とセットで設計しないと成立しません。

一方で緊急案件は、初回の診断範囲が限定的になりやすく、単発で終わる比率も高くなります。金額が読みにくいという弱点はありますが、対応品質が高ければそのまま年次契約に転換する導線が作れるため、ライフタイムで見れば十分に投資価値のある層です。

平時に動く年次・定期診断需要の輪郭

年次需要は、社内の情報セキュリティ計画や取引先の要請、認証取得の準備といった予定された事情から生まれます。担当者は情報システム部門や品質保証部門であることが多く、相見積もりを前提に複数社へ同時に問い合わせます。検索語には「費用」「相場」「比較」「実績」といった検討フェーズの語が混ざり、期末や監査前の時期に山が立ちます。

この層は初回の決裁までに時間がかかりますが、いったん発注されれば毎年の継続案件になりやすく、診断範囲も広がっていきます。広告の役割は「今すぐ電話させること」ではなく、見積もり依頼や個別相談の予約を取ることに置くべきです。緊急側と同じ訴求で追いかけると、急かされている印象を与えて離脱を招きます。

BtoB案件でリードの質を見るときは、フォーム件数ではなく商談化率と受注率まで戻して判断する必要があります。二層のうちどちらが薄いのかを数字で切り分ける考え方は、次の記事で詳しく整理しています。

緊急診断と年次診断はコンバージョン価値を分けて評価する

二層を分けたあとに最初にやるべきことは、緊急側と年次側でコンバージョン価値を別々の金額に設定し、自動入札に違いを教えることです。同じ「問い合わせ」でも、想定受注率と平均受注単価が違えば期待値はまったく異なります。価値を同額のまま運用すると、媒体は件数の取りやすい側だけを増やし、単価の高い側が痩せていきます。

価値の算出は難しく考える必要はありません。直近半年から一年の実績から、区分ごとの受注率と粗利ベースの平均受注額を出し、掛け合わせた期待値をそのままコンバージョン値に入れるだけです。実績が足りない立ち上げ期は、営業の肌感で暫定値を置き、三か月ごとに見直す運用にしておけば十分に機能します。

ここで注意したいのは、緊急側の価値を初回受注額だけで計算しないことです。緊急対応で信頼を得た企業は翌年以降の定期診断へ移行する比率が高く、初回単価だけで評価すると緊急側を過小に見積もることになります。二年目以降の継続率を織り込んだ生涯価値で置き直すと、緊急枠に投じるべき予算の判断がまるで変わってきます。

需要区分ごとの受注率と単価の差を数字で置く

実務で扱っている脆弱性診断案件では、緊急側と年次側で受注率が二倍以上開くことは珍しくありません。緊急側は比較検討が短いぶん、最初に電話がつながった会社がそのまま受注する傾向が強く、逆に年次側は相見積もりの数だけ勝率が下がります。単価は逆に年次側が高く、継続率も年次側が圧倒的に有利です。

下表は2026年8月時点で当社が扱っている国内BtoB案件から見えている一般的な傾向をまとめたものです。実際の数値は診断メニューの構成や商圏、営業体制によって上下しますので、自社の実績で置き換えて使ってください。重要なのは絶対値ではなく、二層の間に明確な差があるという事実を運用に反映させることです。

比較軸緊急診断ニーズ年次・定期診断ニーズ
主な検索タイミング平日日中・発覚直後期末前・監査前・年度計画期
比較検討の期間数時間〜数日数週間〜数か月
主要な問い合わせ手段電話・チャットフォーム・見積もり依頼
想定受注率の目安高い(短期決着)中程度(相見積もり前提)
初回受注単価限定範囲で小さめ診断範囲が広く大きめ
翌年以降の継続性対応品質次第年次契約になりやすい

主目標と観測目標の割り当て方

コンバージョンの設定では、緊急側のキャンペーンは入電を主目標に、年次側のキャンペーンは見積もり依頼または個別相談予約を主目標に置きます。資料ダウンロードや診断メニュー一覧の閲覧は観測目標にとどめ、自動入札の学習対象から外すのが基本方針です。観測目標に落としておけば数字は追えますが、入札は引きずられません。

ここを曖昧にしたまま「すべてのコンバージョンを主目標」にしているアカウントは非常に多く、脆弱性診断のように資料請求が集めやすい商材では特に危険です。資料請求のCPAは見積もり依頼の三分の一程度で取れてしまうため、放置すると予算の大半が資料請求の獲得に費やされます。主目標を絞る作業は、キーワード追加よりも先に手をつけるべき優先度の高い調整です。

どのコンバージョンを主目標にするかの判断基準と、観測目標へ落としたあとのレポートの読み方は、以下の記事にまとめています。

キーワードは緊急語と制度語で別キャンペーンに切る

キーワード設計の原則は、緊急性を示す語と制度・計画性を示す語をキャンペーン単位で物理的に分けることです。広告グループを分けるだけでは予算も入札戦略も共有されてしまうため、日予算を独立させられるキャンペーン単位で切ります。手間は増えますが、二層の予算を独立管理できる価値のほうがはるかに大きくなります。

キャンペーンを分けたあとは、それぞれに合った入札戦略を割り当てます。緊急側は取りこぼしが致命的なので目標インプレッションシェアやコンバージョン数の最大化で上位表示を確保し、年次側はコンバージョン単価目標で効率を守る構成が扱いやすい組み合わせです。同じ入札戦略を両方に流用すると、どちらかが必ず犠牲になります。

緊急側に集める検索語の性質

緊急側に入れるのは、時間の切迫や事象の発生を示す語です。「改ざん 調査」「不正アクセス 調査 依頼」「至急」「即日」「最短」といった修飾語がついた検索語や、具体的な被害名が含まれる語が該当します。単体の「脆弱性診断」のような太い語は緊急側に入れず、後述する共通の受け皿で扱います。

広告文は納期と初動を前面に出します。相談から着手までの日数、報告書の提出目安、電話受付の時間帯を明記し、価格訴求は最小限にとどめます。この層に対して「業界最安値」といった価格訴求を出すと、かえって品質面の不安を与えて逆効果になることが多い点は覚えておいてください。

年次・制度側に集める検索語の性質

年次側に入れるのは、比較検討と計画性を示す語です。診断種別を指定した「Webアプリケーション診断 費用」「プラットフォーム診断 見積もり」、認証や制度に紐づく語、「比較」「相場」「会社」「おすすめ」といった検討語が中心になります。この層は情報を読み込むので、広告文でも診断範囲や報告書の形式に具体的に触れたほうが反応が取れます。

年次側では、指名検索と一般検索をさらに分けておくと予算の判断が楽になります。指名検索は防衛目的で常時確保し、一般検索は期末前など需要の山に合わせて増減させる。この二段構えにしておけば、月次で予算を動かすときに何を削れば安全かが明確になります。

混線を放置したときに起きること

  • 緊急語のキャンペーンに「費用 相場」系の検索語が入り込み、電話CPAが押し上げられる
  • 年次側に「至急」系が流入し、営業が短納期の無理な要望に振り回される
  • 学習データが混ざり、どちらのキャンペーンも配信が安定しない状態が長期化する
  • 採用や社内向けの調べもの検索まで拾い、月間予算の1〜2割が無駄打ちになる

二層の混線を止める除外運用

キーワードを分けても、部分一致で配信している限り検索語句は必ず越境します。緊急側に費用比較の語が入り、年次側に緊急語が入るのは避けられない前提として、週次で検索語句レポートを見て双方向に除外を積む運用が必要です。これを止めた瞬間からアカウントは元の混線状態に戻ります。

実務では、除外リストをキャンペーン単位で二本用意し、緊急側には検討語群を、年次側には緊急語群をまとめて登録する形にしています。加えて、学習用途や採用目的の検索を弾く共通除外リストをアカウント全体に適用します。除外は一度作って終わりではなく、月に一度は棚卸しして、機会損失になっている語を戻す作業までを含めて運用と考えてください。

検索語句レポートを使った除外と昇格の判断手順は、週次で回せる形に落とし込んだ以下の記事が参考になります。

着地ページと問い合わせフォームを二本立てにする

広告側で二層を分けたなら、着地ページも二本用意しないと分離の効果は半減します。同じLPに両方を流し込むと、緊急の担当者は電話番号を探して長い説明文をスクロールし、年次の担当者は情報が足りないまま離脱するという、双方にとって中途半端な体験になります。制作コストを理由に一本化するのは、ここでは節約になりません。

二本立てにするといっても、ゼロから別サイトを作る必要はありません。共通のコンポーネントを使い回し、ファーストビューと問い合わせ導線、掲載する情報の順序だけを入れ替えるだけでも効果は出ます。重要なのは、それぞれのページで最初に目に入る要素が、その層が探している情報になっていることです。

制作の優先順位で迷ったら、緊急側から先に作ることをおすすめします。緊急側は要素が少なく短期間で作れるうえ、成果の反応が数日で返ってくるため、二層設計そのものの効果を社内で証明しやすいからです。年次側は情報量が多く制作に時間がかかるので、既存のサービスページを暫定的に流用しながら並行して整えていく進め方が現実的です。

緊急側の着地ページに必要な要素

緊急側のページは、ファーストビューに電話番号と受付時間、そして着手までの最短日数を置きます。フォームは入力項目を絞り、会社名・氏名・連絡先・状況の自由記述の四項目程度で送信できる状態にします。診断メニューの詳細や料金表は下部へ回し、上部は初動の説明に集中させてください。

実務でよく効くのは、相談から報告書提出までの流れを日数付きで示すことです。「一次ヒアリング当日」「診断着手は最短翌営業日」「速報レポート三営業日」といった形で時間軸を明示すると、切迫している担当者ほど安心して電話をかけます。この層に対しては、詳しい技術解説よりも時間の約束のほうが説得力を持ちます。

逆に緊急側のページで避けたいのは、無料相談フォームへの誘導を最上部に置く構成です。フォームは返信を待つ前提の導線なので、今すぐ話したい担当者にとっては選択肢になりません。フォームを置くこと自体は問題ありませんが、電話番号より上に配置すると入電が目に見えて減ります。

年次側は見積もり前の情報提供で受ける

年次側のページは、診断範囲の考え方と費用が変動する要因を先に説明します。画面数やリクエスト数で工数が決まる仕組み、ツール診断と手動診断の使い分け、報告書に含まれる内容とサンプル。ここまで開示したうえで見積もり依頼へ誘導すると、届く相談の解像度が上がり、営業の初回対応が短くなります。

フォームは緊急側より項目を増やしてかまいません。診断対象の種別、想定画面数、希望時期、社内での位置づけといった項目を入れることで、営業が事前に工数を見積もれる状態で受け取れます。入力の手間が増えて件数は減りますが、商談化率が上がるため受注ベースでは有利に働きます。

着地後の離脱を減らす検証は、思いつきで直すより順番を決めて進めたほうが確実です。ページのどこから点検すべきかは以下の記事に整理しています。

入電と商談を計測に載せて学習を正しく回す

脆弱性診断の広告では、電話の計測を入れない限り緊急側の成果はほぼ見えません。緊急層の問い合わせの多くは電話に流れるため、フォーム送信だけを見ていると緊急キャンペーンは「CVが取れていない無駄なキャンペーン」に見えてしまいます。実際には受注の中心がそこにあるのに、レポート上の見え方だけで停止判断をしてしまう事故が起きます。

計測の導入は難しいものではなく、広告経由のセッションだけ電話番号を差し替える動的な番号出し分けを入れれば、キャンペーン単位まで紐づけられます。通話時間の下限を設けて、一定秒数以上の通話だけをコンバージョンとして扱う設定にしておくと、間違い電話や営業電話が学習に混ざるのを防げます

導入時に見落とされがちなのが、名刺やメール署名、既存の資料に載っている番号との整合です。広告用の番号だけを差し替える仕組みにしておかないと、既存顧客からの入電まで広告成果として計上され、緊急キャンペーンのCPAが実態より良く見えてしまいます。番号の管理台帳を先に作ってから実装に入るほうが、あとから数字を疑う手間を避けられます。

入電を緊急側の主目標に据える

緊急キャンペーンでは、通話コンバージョンを主目標に設定し、フォーム送信を副次的な位置づけにします。通話の下限秒数は商材によりますが、脆弱性診断の初回相談であれば60秒前後を基準にすると、実質的な相談とそれ以外がおおむね切り分けられます。短すぎる設定にすると学習が濁り、長すぎると件数が足りず学習が進みません。

受付時間外の扱いも決めておく必要があります。電話がつながらない時間帯に広告を配信し続けると、緊急層をわざわざ競合へ送っていることになります。時間帯別の入札調整で夜間を絞るか、夜間はフォーム誘導のLPへ切り替えるかを、社内の対応体制に合わせて先に決めてください。

商談化と受注をオフラインCVで戻す

フォームと電話のコンバージョンが取れたら、次は商談化と受注を広告アカウントへ戻します。CRMや営業管理表に残っている受注実績を、クリックIDや電話番号を鍵にしてオフラインコンバージョンとしてインポートすれば、自動入札は「受注につながるクリック」を基準に配信を寄せていきます。二層の価値差を本当に学習させられるのはこの段階です。

脆弱性診断のように受注までのリードタイムが長い商材では、受注そのものを待つと学習データが揃いません。実務では「一次商談の実施」を中間指標として戻し、受注は別途価値の高いコンバージョンとして重ねる二段構えが扱いやすい形です。戻すデータの鮮度が落ちないよう、月次ではなく週次でインポートする運用にしておくことをおすすめします。

電話コンバージョンの実装方法と、入電を商談まで追跡する設計の具体的な手順は、以下の記事で詳しく解説しています。

予算配分は緊急枠と年次枠を固定して動かす

予算配分の結論は、緊急枠と年次枠を月初に固定比率で決め、月中は原則として融通しないことです。運用中はどうしても数字の見えやすい側へ寄せたくなりますが、緊急枠を削れば表示機会を失った瞬間に受注が消え、年次枠を削れば数か月後のパイプラインが枯れます。どちらも取り返しに時間がかかる性質の予算です。

比率の初期値としては、緊急対応の体制が整っている会社なら緊急側に四割前後、体制が限定的なら三割程度から始めると扱いやすくなります。比率の見直しは四半期ごとに限定し、月内では動かさない。この規律があるだけで、成果の振れ幅は目に見えて小さくなります。

月間予算の割り振りの考え方

具体的な配分の考え方を、月間予算60万円のケースで整理します。緊急枠は上位表示の確保が最優先なので、日予算を切らさないことを条件に組みます。年次枠は効率重視で、期末前の需要期に一時的に厚くする前提で余力を残しておく設計にします。指名検索は少額でも必ず確保します。

キャンペーン区分配分の目安入札戦略と運用方針
緊急診断(一般語)約35%コンバージョン数の最大化。日予算は切らさない
年次診断(種別・費用語)約30%目標コンバージョン単価。効率を優先
年次診断(比較・検討語)約20%需要期に厚く、閑散期は絞る
指名検索約10%常時確保。競合の指名出稿を監視
検証・新規語の試行約5%四半期ごとに成果を棚卸しする

期末・監査前に立つ需要の山

年次側の需要は年間を通じて平坦ではありません。多くの企業が三月と九月の期末前後、そして認証の更新審査前に予算執行と診断実施を集中させるため、この時期に検索ボリュームと競合の出稿が同時に増えます。クリック単価も上がるので、平常月と同じ日予算では機会を取り逃します。

対策としては、需要期の一か月前から年次枠を段階的に引き上げ、閑散期に絞った分を充てる年間の予算カレンダーを作っておくことです。急に予算を倍にすると自動入札の学習が乱れるため、二週間かけて三割ずつ上げるといった段階的な変更にとどめます。緊急枠はこの間も動かさないのが原則です。

緊急側には、年次側とは別の波が存在します。大規模な脆弱性が公表された直後や、同業界で情報漏えいが報道された直後には、緊急検索が数日単位で跳ね上がります。この波は予測できませんが、日予算に余裕を持たせておくか、上限予算に達したときの通知を設定しておくことで、取りこぼしを最小限にできます。

予算カレンダーに落とし込む運用

年間の予算計画は、月ごとの金額を決めるところまでやってはじめて機能します。表計算ソフトで十二か月分の行を作り、緊急枠・年次枠・指名・検証の四列に金額を入れ、需要期の月に印をつける。これだけの資料でも、月初に迷う時間がなくなり、クライアントへの説明もはるかに通りやすくなります。

カレンダーを作るときは、前年の実績データを月別で並べて確認してください。検索ボリュームの山と受注の山は一か月ほどずれることが多く、受注月から逆算して広告を厚くする月を決める必要があります。前年データがない場合は、業界の決算期と認証更新の時期から仮置きし、初年度の実績で翌年に補正する進め方で問題ありません。

運用でつまずきやすい設計上の落とし穴

二層設計を導入したあとに起きやすい失敗は、緊急側の予算を成果が見えたことで増やしすぎるパターンです。緊急需要は市場に存在する母数が限られており、予算を倍にしても入電が倍になることはありません。表示回数だけが増えて単価が上がり、CPAが悪化したところで「二層設計は効果がなかった」と結論づけられてしまいます。

もうひとつ多いのは、年次側の評価を資料請求件数のままにしてしまうことです。せっかくキャンペーンを分けても、評価指標が旧来のままなら判断は変わりません。分離とセットで、見るべき指標も見積もり依頼数と商談化率に切り替える必要があります。

緊急枠を増やしすぎたときの見分け方

緊急枠が過剰になっているかどうかは、インプレッションシェアと入電数の関係を見ればすぐ分かります。検索インプレッションシェアが八割を超えているのに入電数が伸びていない場合、それは市場の上限に達しているサインです。この状態でさらに予算を積んでも、単価の高いクリックを買い増しているだけになります。

上限に達したと判断したら、予算を増やすのではなく対応可能な範囲を広げる方向へ切り替えます。対応エリアの拡大、受付時間の延長、診断種別の追加といった供給側の変更が、次の成長につながります。広告の調整だけで解決しようとすると、ここで必ず頭打ちになります。

診断範囲のヒアリングを後回しにする問題

フォームの入力項目を減らしすぎて診断範囲がまったく分からない状態で受け取ると、営業の初回対応がヒアリングだけで終わり、見積もり提示までに一往復余分にかかります。緊急側では項目を絞るべきですが、年次側まで同じ思想で作ると商談の進行が遅れます。層ごとにフォーム設計の思想を変えることが必要です。

実務では、年次側のフォームに診断対象の種別と想定画面数の選択肢を入れるだけで、初回返信で概算レンジを提示できるようになります。返信の速さと具体性は相見積もりの中での印象を大きく左右するため、フォーム項目の設計は広告運用の一部として扱うべき領域です。

選択肢を作るときは、顧客側が答えられる粒度に落とすことが前提になります。「リクエスト数」のような専門的な単位で聞いても正確な回答は返ってきませんので、「画面数はおおよそ何画面か」「ログイン機能や決済機能があるか」といった、非エンジニアの担当者でも判断できる問いに置き換えてください。

広告審査で止まりやすい表現

  • 「絶対に安全」「完全に防げる」など、効果を断定する表現は不承認になりやすい
  • 実績のない「業界No.1」「導入社数No.1」は、出典の明記がなければ使わない
  • 不安を過度に煽る表現は、媒体ポリシーだけでなくLPの信頼性も下げる
  • 具体的な攻撃手法を詳述する広告文は、悪用助長とみなされる場合がある

まとめは 脆弱性診断の広告を二層で設計する

脆弱性診断サービスの検索広告は、緊急需要と年次需要を分けた瞬間から数字の意味が変わります。件数を追う運用から、どちらの層の受注が伸びているかを追う運用へ切り替えることが、この商材で成果を安定させる最短の道です。以下の三点を、まず自社アカウントで確認してみてください。

  • キャンペーンを二層に切る。緊急語と検討語を同じキャンペーンに同居させない。予算を独立させられる単位で分け、入札戦略も別々に割り当てる
  • CV価値を金額で差をつける。緊急側は入電、年次側は見積もり依頼を主目標に置き、資料請求は観測目標へ落として学習から外す
  • 週次で混線を止める。検索語句レポートを双方向に見て除外を積み、月次で棚卸しする。予算比率は四半期ごとにだけ見直す

もし現在のアカウントで二層が混ざったままなら、キーワードを増やす前に構造の整理から着手するのが確実です。既存の配信を止めずに移行する手順や、どこから分離するかの優先順位については、ハーマンドットへのご相談から具体的にお話しできます。

まずは無料で広告アカウント診断を

ハーマンドットでは、脆弱性診断をはじめとするセキュリティ関連サービスのBtoB広告運用を数多く手がけています。現在の広告アカウントを拝見し、緊急需要と年次需要がどの程度混線しているか、検索語句のどれだけが無駄打ちになっているか、コンバージョン設定が受注につながる形になっているかを、具体的な数値でご報告します。

診断の結果として「現状の運用で問題ありません」とお伝えすることもあります。無理に乗り換えを勧めることはしませんので、セカンドオピニオンとしてお気軽にご利用ください。お問い合わせフォームから、現在の月額予算と課題感をお知らせいただければ折り返しご連絡します。

初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。広告アカウントの閲覧権限をいただければ、より踏み込んだ改善提案までその場でお出しします。

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