ハウスクリーニングの反響獲得は エアコン洗浄と定期清掃を同じキャンペーンで追わない

ハウスクリーニングの広告が伸びない原因は、媒体選びでも入札単価でもなく、性質の違うメニューを一つのキャンペーンに同居させていることにあります。エアコンクリーニングを夏前に一台だけ頼みたい個人と、店舗の床を毎月磨いてほしい法人では、検索している瞬間の切迫度も、申し込みまでの日数も、一件あたりに払える獲得コストもまったく違います。それを同じ器に入れたまま「今月はCPAが高い」と眺めても、どこを直せばよいのかは永久に見えてきません。

水道修理や不用品回収のような緊急系は、困っている当日に電話がつながるかどうかで勝負が決まります。ところがハウスクリーニングは、大半のメニューが「今すぐ」ではありません。夏前にエアコンを掃除しておこうか、年末までに水回りをまとめて頼もうか、いま契約している清掃会社を見直そうか。読者は数日から数週間の検討期間を持ったうえで、複数社を比べてから予約します。つまり検討型の予約サービスとして広告を組み直す必要があります。

この記事では、株式会社ハーマンドットが広告運用代行として支援してきた地域サービス業の実務をもとに、エアコン・水回り・定期清掃という三系統をどう分離し、メニューごとにいくらまでCPAを許容し、予約希望日やレビューや商圏をどう設計するかを具体的に書きます。一般的な「集客方法まとめ」ではなく、明日からアカウントに入れる粒度で扱います。

この記事の要点

  • ハウスクリーニングは緊急系ではなく検討型の予約サービス。当日CVを前提にした設計は合わない
  • エアコン単発・水回りセット・定期清掃はCPA許容幅が数倍違うため、同じキャンペーンで追ってはいけない
  • 許容CPAは客単価ではなく、年内の再依頼まで含めた粗利から逆算する
  • 商圏は半径キロメートルではなく移動時間と職人の稼働率で切る
  • 価格訴求は割引額の大きさではなく、作業範囲と追加費用の条件を明示するほうが成約率が上がる

ハウスクリーニングのリスティング広告は検討型の予約サービスとして設計する

ハウスクリーニングのリスティング広告とは、エアコン洗浄や水回り清掃といったサービス名と地域名で検索している人に対し、検索結果の上部へ広告を出して予約や見積依頼につなげる集客手法です。掃除を外注しようと考えている顕在層だけに絞って接触できるため、地域サービス業のなかでも相性が良い媒体だと言えます。ただし相性が良いことと、設計せずに成果が出ることは別の話です。

まず押さえるべきは、このビジネスが緊急系ではないという事実です。水漏れや鍵の紛失は、その日のうちに解決しないと生活が止まります。だから電話がつながった瞬間に勝負がつき、広告側も電話CVを最重要指標に置きます。一方でハウスクリーニングは、今日掃除されなくても生活は続きます。読者は複数社のページを開き、料金表を見比べ、口コミを読み、家族と相談してから予約日を決めます。初回接触から予約確定まで、当社の支援先では平均3日から10日ほどかかります(2026年8月時点、複数アカウントの実測値)。

この時間差を無視すると二つの事故が起きます。ひとつは、クリック当日にコンバージョンしなかったユーザーを「取り逃がした」と判断し、入札を下げてしまうこと。もうひとつは、自動入札の学習データがコンバージョン計測の期間設定と噛み合わず、実際には獲得できている流入を評価できなくなることです。コンバージョン計測期間は初期値のままにせず、実際の予約リードタイムに合わせて見直す必要があります。

もうひとつの前提が、メニューによって検討の深さが変わることです。エアコン一台のクリーニングは比較的軽い意思決定で、料金と空き日程が合えばその場で予約されます。水回り五点セットのように数万円かかるメニューは、作業範囲の確認や見積の取り寄せを挟みます。オフィスや店舗の定期清掃にいたっては、担当者が社内稟議を通す必要があり、資料請求や現地調査を経て契約に至るまで一か月以上かかることも珍しくありません。

つまり同じ「ハウスクリーニング会社」の広告でも、中身は速い商材と遅い商材が混ざった複合体です。ひとつのキャンペーンにまとめると、速いメニューのコンバージョンばかりを自動入札が学習し、単価の高い遅いメニューへの配信が痩せていきます。売上構成比の大きい定期清掃が育たないアカウントは、この構造にはまっていることがほとんどです。

メニュー系統検索時の状態予約までの日数の目安主なコンバージョン手段
エアコンクリーニング(個人)季節前に思い立った軽い検討即日〜3日Web予約フォーム・電話
水回り・キッチン等のセット(個人)作業範囲と料金の比較検討3日〜2週間見積依頼フォーム・LINE
空室・引越しクリーニング入退去日という締切がある即日〜1週間電話・フォーム
店舗・オフィスの定期清掃(法人)既存業者の見直しや新規開設2週間〜2か月資料請求・現地調査依頼

この表を眺めるだけで、ひとつの目標CPAで全体を管理する運用が無理筋だと分かります。速いメニューと遅いメニューを分け、それぞれに別のコンバージョンアクションと別の予算を割り当てる。ここが出発点です。緊急性の高い業種で電話品質を軸に組む設計とは、意図的に逆の作り方をすることになります。

参考までに、同じ地域サービス業でも緊急性が主役になる業種の設計は次の記事で詳しく扱っています。自社のメニュー構成にどちらの要素が強いかを見極める材料になります。

メニュー別にCPA許容額を分けないと定期契約が育たない

許容CPAは客単価から決めるものではなく、そのメニューが一年間で生む粗利から逆算するものです。エアコンクリーニング一台の売上が12,000円だとしても、その顧客が秋に水回りを頼み、年末に大掃除を依頼すれば、実際の年間粗利は初回の三倍以上になります。逆に、一度きりで終わる顧客が大半のメニューであれば、初回粗利の範囲内でCPAを収めなければ赤字が積み上がります。

ここで重要なのが、単発依頼と定期契約でユニットエコノミクスがまったく違うという点です。単発は一回で完結するため、許容CPAは初回粗利に再依頼率を掛けた金額が上限になります。定期契約は月額が積み上がるため、契約継続月数を掛けた粗利で考えられます。当社が支援する事業者では、定期清掃の許容CPAが単発エアコンの十倍前後になるケースが一般的です。同じアカウントで同じ目標CPAを設定していれば、定期清掃の入札が弱すぎて上位に出られないのは当然です。

逆算の手順そのものは難しくありません。メニューごとに平均客単価を出し、原価率を引いて粗利を出し、そこに年内の平均依頼回数を掛けます。得られた年間粗利のうち、広告費として払える比率を決めます。地域サービス業では年間粗利の20%から30%を獲得コストの上限に置く事業者が多く、成長投資フェーズであれば40%まで許容する判断もあります。ここは経営判断なので、運用担当者が勝手に決めるべきではありません。

メニュー平均客単価の目安粗利率の目安年内の平均依頼回数許容CPAの目安
エアコン1台(個人)10,000〜15,000円50〜60%1.2回3,000〜6,000円
エアコン複数台・お掃除機能付25,000〜45,000円45〜55%1.3回6,000〜12,000円
水回り5点セット30,000〜50,000円45〜55%1.4回8,000〜15,000円
空室・引越しクリーニング20,000〜60,000円40〜50%1.1回5,000〜12,000円
店舗・オフィス定期清掃(法人)月額15,000〜80,000円35〜45%年間契約が前提30,000〜80,000円

表の数値は2026年8月時点で当社が支援する地域清掃事業者の実測レンジをもとにした目安であり、都市部と地方、自社施工か協力会社かによって上下します。そのまま転記するのではなく、自社の会計データで置き換えてください。重要なのは水準そのものより、メニュー間で許容CPAが五倍から十倍の差になるという構造を経営と運用で共有することです。

この差を運用に落とし込むと、キャンペーン分割の理由が明確になります。エアコン単発のキャンペーンは目標CPA5,000円で回し、定期清掃のキャンペーンは目標CPA50,000円で回す。同じアカウントの中に、十倍違う目標値のキャンペーンが並んで問題ありません。むしろ並んでいないほうが不自然です。予算配分も、目先のCV数ではなく年間粗利への貢献で決めます。

もうひとつ実務で効くのが、コンバージョン値の設定です。すべての予約を1件として数えるのではなく、メニュー別の期待粗利を金額として渡せば、自動入札は価値の高い問い合わせを優先して取りにいきます。フォームでメニューを選択させ、その値をコンバージョン値として送信するだけで実装できます。この一手だけで、当社の支援先では受注金額ベースの成果が二割前後改善した例があります

獲得コストと利益の関係をより体系的に整理したい場合は、次の記事で指標設計から解説しています。経営会議で広告予算を説明する際の土台になります。

エアコンと水回りと定期清掃はキーワードを分離して混線を止める

キーワードの分離は、キャンペーン単位で三系統に切ることから始めます。エアコン系、住宅の水回り・全体清掃系、法人の定期清掃系。この三つを別キャンペーンにし、それぞれに専用の広告グループ、専用のランディングページ、専用の除外キーワードを持たせます。広告グループだけを分けて予算を共有する構成は、繁忙期に片方が予算を食い尽くすため避けたほうが賢明です。

混線がもっとも起きやすいのが「ハウスクリーニング+地域名」という総称キーワードです。この語で検索する人の中には、エアコンだけ頼みたい人も、退去前の部屋をまるごと掃除したい人も、法人の担当者も混ざっています。総称キーワードは専用の広告グループに隔離し、メニュー一覧を見せるページに着地させて、そこで意図を分岐させるのが定石です。総称語を各メニューの広告グループに混ぜると、検索語句レポートが読めなくなり改善の起点を失います

法人の定期清掃系は、個人向けの語との重複を特に強く遮断する必要があります。「事務所 清掃」「店舗 清掃 定期」「ビル 清掃 業者」といった語に対して、個人向けの料金訴求で着地させると、直帰して終わりです。逆に個人向けキャンペーンには法人語を除外に入れます。この双方向の除外を張らないと、部分一致の拡張によってじわじわと相互侵食が進みます。

ハウスクリーニング広告で最初に入れておきたい除外キーワードの型

  • 求人系:求人、募集、バイト、正社員、独立、開業、フランチャイズ、資格
  • 自分でやる系:やり方、自分で、方法、道具、洗剤、diy、掃除機、動画
  • 相場だけ調べる系:相場、料金比較、口コミ ランキング、安い順、無料
  • 商圏外の地域名:隣県の市区町村名、対応していない離島や山間部の地名
  • 意図違いの近接語:クリーニング店、洗濯、宅配クリーニング、布団丸洗い

とくに「クリーニング」という語は、衣類のクリーニング店と激しく衝突します。ハウスクリーニング事業者のアカウントを引き継ぐと、衣類クリーニングや宅配クリーニングへの流入で月数万円が溶けている例に頻繁に出会います。除外リストは初期に一度作って終わりではなく、週次で検索語句レポートを見て積み増していく運用資産です。

マッチタイプの方針も系統ごとに変えます。エアコン系は検索ボリュームがあるためフレーズ一致と完全一致を主軸に置き、無駄打ちを抑えます。法人の定期清掃系はボリュームが薄いため、部分一致とスマートな拡張機能を併用して母数を確保しつつ、検索語句の点検頻度を上げます。拡張系の機能を使うキャンペーンほど、除外の運用工数を先に確保しておくことが条件になります

広告文も系統ごとに書き分けます。エアコンは台数と価格と対応スピード、水回りは作業範囲と仕上がり、定期清掃は実績社数と契約形態の柔軟さ。同じ広告文を使い回すと、クリック率は取れても成約に至らない流入が増えます。レスポンシブ検索広告の見出しは、系統ごとに十本以上を用意し、価格訴求と信頼訴求を混ぜてください。

検索語句の点検を仕組みとして回す手順は、次の記事でフォーマットまで具体化しています。除外・昇格・意図分類の週次フローをそのまま流用できます。

予約希望日の受け取り方で反響の質が変わる

予約希望日は、フォームの最後に置くおまけの項目ではなく、反響の質を決める中心的な設計要素です。ハウスクリーニングは職人の時間を売る商売なので、希望日が埋まっていれば断るしかありません。せっかく獲得した問い合わせを日程都合で失注させると、CPAは変わらないのに受注単価だけが下がり、実質的な費用対効果が悪化します。

実務でまず効くのは、希望日を第三希望まで受け取る設計です。単一の日付しか入力できないフォームは、その日が埋まっていた瞬間に往復のやり取りが発生し、離脱率が上がります。第三希望まで取れば初回連絡で日程を確定できる確率が上がり、当社の支援先では初回連絡での確定率が六割から八割台に改善した例があります。入力項目が増えることによるフォーム離脱よりも、日程調整の往復を減らす効果のほうが大きいのが通常です。

次に、繁忙期は「最短対応日」をLPに明示します。エアコンクリーニングの夏場に二週間待ちが発生しているのに、広告文で最短即日と書いていれば、期待とのずれで問い合わせは荒れます。空き状況を週次で更新し、待ち時間を先に伝えたほうが、結果的に成約率も現場の満足度も上がります。誠実な待ち時間表示は、価格以上に差別化として機能します。

ハウスクリーニングの予約フォームで取るべき項目と省くべき項目

  • 取る:希望メニュー(選択式)、作業場所の郵便番号、希望日の第一〜第三、連絡可能な時間帯
  • 取る:エアコンの台数とお掃除機能の有無、駐車スペースの有無
  • 省く:詳細な住所(初回連絡時に聞けば足りる)
  • 省く:自由記述の要望欄を必須にすること(任意にする)
  • 省く:アンケート項目や、どこで知ったかの必須選択

電話での予約も引き続き大きな比率を占めます。エアコンの繁忙期や、高齢の顧客層が多い地域では、電話が入電の半分を超えることも珍しくありません。電話番号を画像で置いていたり、計測用の番号を入れていなかったりすると、広告がどれだけ入電を生んでいるかが見えなくなります。電話CVを計測していないハウスクリーニングのアカウントは、成果を半分しか見ていないと考えて差し支えありません

入電の質を上げるには、受電側の運用も広告設計に含めます。作業中で電話に出られない時間帯に広告を配信していれば、鳴っても取れない入電が積み上がります。広告のスケジュール設定を受電可能な時間に寄せる、留守番電話から折り返す運用を決める、といった調整は、入札調整より先にやる価値があります。

電話コンバージョンの実装と、入電から受注までを追う設計は次の記事で扱っています。転送番号の使い分けや、通話時間による品質判定まで踏み込んでいます。

価格訴求は割引ではなく作業範囲と条件の明示で使う

価格訴求は、割引率の大きさで競うより、作業範囲と追加費用の条件を先に開示するほうが成約率が上がります。ハウスクリーニングの見積トラブルの多くは、現場で「これは範囲外なので追加になります」と言われることから始まります。読者もそれを知っているので、安すぎる表示価格はかえって不信を招きます。広告とLPで条件を明示することは、リスク管理であると同時にコンバージョン施策です。

具体的には、表示価格に何が含まれるかを箇条ではなく文章で説明し、追加費用が発生する典型的なケースを先回りして書きます。お掃除機能付きエアコンは別料金であること、二台目以降の割引額、駐車場がない場合の実費、養生や薬剤の費用が込みかどうか。この開示を入れたLPは、入れていないLPに比べて問い合わせ数がわずかに減り、成約率が明確に上がるのが通例です。運用側は問い合わせ数の減少に慌てず、受注数で評価してください。

割引を使う場合は、期間と条件を厳密に管理します。景品表示法では、実際には販売実績のない価格を比較対照に使う二重価格表示が問題視されます。消費者庁が公表している価格表示に関する考え方では、比較対照価格として過去の販売価格を用いる場合、相当期間にわたって実際に販売されていた価格であることが求められます。「通常20,000円が今なら9,800円」と書くなら、その20,000円で実際に販売していた期間が必要です。

価格訴求で審査と法令の両方に引っかかりやすい表現

  • 販売実績のない価格を「通常価格」として並記する二重価格表示
  • 期限を書かずに「今だけ」「期間限定」を常時掲載し続ける表示
  • 条件を書かずに「業界最安値」「地域No.1」と断定する表示
  • 実際には適用条件が厳しい最低価格だけを大きく見せる表示
  • 広告文の価格とLPの価格が一致しておらず、審査で差し戻される状態

広告側の実装としては、Google広告のプロモーション表示オプションを使うと、割引の条件と期間を構造化して出せます。テキストで「今なら○円引き」と書くよりも、注釈として出したほうが表示面積を取れますし、期間が切れれば自動的に表示されなくなるため、期限切れの割引を出し続ける事故も防げます。Google広告ヘルプで定められた注釈のポリシーに沿って設定すれば、審査落ちも避けられます。

もうひとつ、価格を訴求すべきメニューとすべきでないメニューがあります。エアコン一台のような比較されやすいメニューは価格が判断軸になりますが、定期清掃は価格を前面に出した瞬間に相見積もりの土俵に引きずり込まれます。法人向けは、品質管理体制や、担当者が変わっても水準が落ちない仕組みを訴求したほうが、単価を守れます。同じアカウントの中で訴求軸を切り替えられるかどうかが、粗利を左右します。

レビュー訴求は広告文よりも着地直後に効く

レビューは、広告文の中で件数を叫ぶより、ランディングページの上から三分の一に配置したほうが成約率に効きます。検索広告のテキストは文字数が限られており、そこにレビュー件数を入れると、肝心の作業範囲や価格や対応エリアが削られます。レビューは「クリックさせるための材料」ではなく「クリック後に不安を消すための材料」だと位置づけると、配置が決まります。

ハウスクリーニングで読者が抱く不安は、価格よりも「見知らぬ人を家に上げること」です。したがって効くレビューは、星の数ではなく、作業者の身だしなみや説明の丁寧さ、養生の細かさ、作業後の状態に触れた具体的な文章です。抽象的な高評価よりも、作業前後の写真とセットになった実名に近いレビューのほうが、問い合わせ率への寄与が大きいのが実感値です

配置の順序にも定石があります。ファーストビューで対応エリアとメニューと料金の目安を示し、その直下に施工実績の写真とレビューを二、三件置きます。詳細な料金表や作業の流れはその後です。読者は「自分の地域で、自分の頼みたい作業を、この会社は本当にやっているのか」を最初に確認したいので、実績の証明が早いほど離脱が減ります。

Google広告の側でレビューを活かす方法もありますが、条件を理解しておく必要があります。商品レビューの星表示やストア評価は物販を前提とした仕組みで、役務提供中心のハウスクリーニング事業者では要件を満たさないことが多くあります。地域サービス業では、Googleビジネスプロフィールの口コミを厚くし、ローカル検索面での評価を上げるほうが現実的な打ち手になります。広告アカウント内で完結させようとせず、地図面と自社サイトの両方を使ってください。

口コミを広告素材として二次利用する場合は、投稿者の許諾と、内容の改変をしないことが原則です。効果を保証するような表現に編集したり、都合の悪い部分を削って印象を変えたりすれば、景品表示法上のリスクが生じます。ステルスマーケティングが規制対象となっている現状では、依頼して書いてもらった口コミを自然な投稿のように見せる運用も避けるべきです。

商圏設計は半径ではなく移動時間と稼働率で切る

ハウスクリーニングの商圏は、地図上の半径ではなく、拠点からの移動時間で切るのが正解です。同じ半径10キロでも、幹線道路沿いなら20分、川や線路を挟んで迂回が必要な地域なら50分かかります。職人が一日に回れる件数は移動時間で決まるため、遠方から取った依頼は売上を生んでも粗利を削ります。地図配信の設定画面で円を描く前に、実際の移動時間を確認してください。

実務の目安としては、拠点から片道30分から40分の範囲を主戦場に置き、その外側は単価の高いメニューか、まとまった台数の依頼に限定します。片道60分を超える依頼は、往復二時間が丸ごと粗利から差し引かれるため、通常単価では赤字になりがちです。この線引きを地域単価調整で表現し、遠方は入札を下げるか、そもそも配信対象から外します。

市区町村単位で配信地域を指定する事業者が多いのですが、政令指定都市のように面積の広い自治体では区単位、さらに必要なら郵便番号単位まで絞ったほうが精度が上がります。逆に地方では、隣接する複数の自治体をまとめて一つの商圏として扱ったほうが、機械学習に十分なデータ量を渡せます。人口密度と拠点数によって粒度を変えるのが基本方針です。

拠点からの移動時間扱い方推奨する地域単価調整受けるメニューの目安
15分以内主力商圏として最優先+10〜20%全メニュー
15〜30分主戦場±0%全メニュー
30〜45分条件付きで受注−10〜20%複数台・セット・定期
45〜60分高単価案件のみ−30〜50%定期清掃・大型案件
60分超原則として配信除外配信対象外紹介案件のみ

稼働率の視点も欠かせません。職人が三人いて一日二件ずつ回せるなら、一日の供給上限は六件です。広告で一日十件の予約が入れば、四件は断ることになります。予約が埋まっている日は広告を絞り、空いている曜日や時間帯に予算を寄せる。これは入札調整ではなく、キャンペーンのスケジュール設定と日予算の調整で実現します。供給側の稼働カレンダーを運用担当が見られる状態にしておくことが前提条件です。

地域サービス業では、通常の検索広告に加えてローカルサービス広告という選択肢もあります。資格や保険の審査を通過した事業者にバッジが付き、リード単位の従量課金で地図面の上部に表示される仕組みです。審査要件を満たせる事業者にとっては、検索広告よりも獲得単価が安定しやすい配信面になります。並行して運用し、面ごとの獲得効率を比較するのが実務的です。

ローカルサービス広告の審査要件や、リード課金の考え方は次の記事で詳しく扱っています。地域集客の柱をもう一本立てたい場合の検討材料になります。

季節波動に合わせた予算配分と自動入札の守り方

ハウスクリーニングの需要は年間で三つの山を持ちます。エアコンクリーニングが立ち上がる五月中旬から八月、大掃除需要が集中する十一月から十二月、そして引越しシーズンの二月から三月です。この三山を平準化しようとするのではなく、山ごとに別のメニューへ予算を寄せるのが正しい設計です。年間予算を十二等分する運用は、繁忙期の機会損失と閑散期の浪費を同時に生みます。

繁忙期は競合も一斉に出稿するため、クリック単価が上がります。エアコン系のキーワードでは、閑散期と繁忙期でクリック単価が二倍近くまで開くことがあります。それでも繁忙期に予算を絞るのは誤りで、CPAが多少上がってもコンバージョン総数を最大化するほうが年間粗利は増えます。繁忙期はCPAではなく、獲得件数と稼働率で評価してください。

時期主力メニュー年間予算に対する配分の目安評価の軸
1〜2月水回り・定期清掃の新規開拓5〜7%CPAと商談化率
3〜4月空室・引越しクリーニング10〜13%CPAと受注単価
5〜8月エアコンクリーニング45〜55%獲得件数と稼働率
9〜10月定期清掃・水回り10〜13%CPAと契約件数
11〜12月大掃除・水回りセット20〜25%獲得件数と受注単価

自動入札を使っている場合、季節の切り替わりで学習が崩れることがあります。急な需要増でコンバージョン率が跳ね上がる期間には、Google広告の季節性調整を使って想定コンバージョン率の変化を事前に伝えられます。ただしこの機能は数日から一週間程度の短期イベント向けに設計されており、三か月続く繁忙期全体に適用するものではありません。長い山は季節性調整ではなく、目標値と予算の見直しで対応します。

計測障害が起きたときの扱いも決めておきます。サイト改修でタグが外れてコンバージョンが記録されなかった期間をそのまま学習させると、自動入札は「成果が急落した」と誤認して配信を絞ります。データ除外の機能で該当期間を学習対象から外せば、復旧後の立ち上がりが早くなります。繁忙期の入り口でこの事故を起こすと、一年分の売上機会を失いかねませんので、繁忙期前のタグ点検は必ず実施してください。

閑散期の使い方も設計に含めます。九月から十月は需要が落ちますが、この時期は定期清掃の法人開拓に予算を回す好機です。年度後半の予算消化や、翌年度に向けた業者見直しの検討が始まる時期でもあります。個人向けの需要が薄い月に法人向けの資料請求を積み上げておくと、翌年の売上基盤が安定します。

季節の波動と即時対応を分けて運用する考え方は次の記事でも整理しています。害虫駆除を題材にしていますが、構造はハウスクリーニングとほぼ同じです。

単発依頼から定期契約への引き上げを広告評価に組み込む

広告の成果を単発の予約数だけで見ていると、事業として一番おいしい定期契約への引き上げが評価から抜け落ちます。エアコンクリーニングで初回接点を作った顧客が、翌年も依頼し、水回りも任せ、やがて年二回の定期プランに移行する。この流れが起きているかどうかは、広告アカウントの画面だけを見ていても分かりません。顧客管理側のデータを広告に戻す仕組みが必要です。

もっとも効果が高いのが、オフラインコンバージョンのインポートです。フォーム経由の問い合わせにクリック識別子を紐づけて保存しておき、受注や定期契約に至った時点でその情報を広告側へ送り返します。これにより自動入札は「問い合わせを増やす」ではなく「定期契約に至る問い合わせを増やす」方向へ学習します。実装には顧客管理ツールと広告アカウントの連携が必要ですが、地域サービス業でもっとも投資対効果の高い施策のひとつです

完全な連携が難しい場合でも、簡易版から始められます。月に一度、受注台帳と広告のコンバージョンレポートを突き合わせ、どのキャンペーンから来た問い合わせが定期契約になったかを手作業で集計するだけでも、予算配分の判断は変わります。件数が少ないうちは手作業で十分です。重要なのは、精度より継続することです。

既存顧客への再アプローチも広告の役割です。エアコンクリーニングを一年前に利用した顧客のリストをアップロードし、翌年の繁忙期前に配信すれば、新規獲得よりはるかに安い単価で再依頼を取れます。顧客リストを使った再接触は、当社の支援先では新規獲得の三分の一以下のコストで受注につながる例が多く見られます。名簿を溜めているだけの事業者は、これだけでも取り組む価値があります。

ここまで設計できると、広告予算の議論が変わります。「今月のCPAが上がった」ではなく、「この四半期に獲得した顧客のうち何割が定期契約に移行したか」で話ができるようになります。単発の獲得単価が多少上がっても、定期移行率が改善していれば投資判断としては正しい。経営と運用の会話が噛み合うのは、この指標が共有されてからです。広告運用の相談はハーマンドットの問い合わせフォームから受け付けています。

運用体制の組み方と外注を検討する判断基準

ここまでの設計を回すには、週次で検索語句を点検し、稼働カレンダーと予算を突き合わせ、季節の切り替わりで目標値を組み替える体制が要ります。月に数時間の片手間では成立しません。社内で担当を置くのか、外注するのかは、この工数を誰が持てるかで判断します。媒体知識の有無よりも、時間を確保できるかどうかのほうが決定的です。

社内で回す場合の最低ラインは、週に三時間から五時間を広告に充てられる担当者がいることです。ハウスクリーニング事業者では、現場を離れられる管理職か、事務スタッフがこの役割を担うケースが多く見られます。現場に出ている社長が繁忙期に片手間で運用する体制は、もっとも高くつくパターンです。繁忙期こそ運用の判断が求められるのに、その時期にもっとも時間が取れないからです。

外注する場合は、メニュー別の設計を理解して分けてくれるかを面談で確認します。「エアコンと定期清掃で目標CPAをどう分けますか」と聞いて、明確な答えが返ってこない相手は避けたほうが無難です。また、稼働カレンダーとの連動や、受電体制の相談まで踏み込んでくる代理店は、地域サービス業の経験がある証拠です。

費用面では、広告費に対する手数料率20%が業界の相場ですが、月額広告費が30万円を下回る規模では固定額での契約になることが多くあります。地域一都市で展開するハウスクリーニング事業者であれば、月額広告費20万円から50万円あたりから始めるケースが一般的です。予算の大小より、設計を分けて運用してくれるかどうかのほうが成果への影響は大きいと考えてください。費用感の詳細を相談したい場合はこちらから問い合わせいただければ、現状のアカウントを見たうえで具体的にお伝えします。

内製と外注のどちらか一方に決める必要もありません。日々の入札や除外は代理店に任せ、稼働カレンダーとの連動や価格改定の判断は社内が持つ、といった分担が現実的です。役割の境界を契約時に文書化しておけば、繁忙期に「誰が判断するのか」で止まる事態を避けられます。

代理店に払う費用の内訳と、規模別の相場感は次の記事で整理しています。見積を比較する前に読んでおくと、金額の妥当性を判断しやすくなります。

まとめは三系統の分離とメニュー別のCPA設計から始める

ハウスクリーニングの広告は、緊急系の型をそのまま持ち込むと必ず行き詰まります。検討型の予約サービスとして、エアコン・水回り・定期清掃という性質の違う三系統を分離し、それぞれに別の許容CPAと別の訴求を割り当てる。そのうえで予約希望日、レビュー配置、商圏、季節配分を設計すれば、同じ広告費でも受注の質が変わります。まず着手すべきは次の三点です。

  • キャンペーンを三系統に分離する。エアコン系、住宅の水回り・全体清掃系、法人の定期清掃系を別キャンペーンにし、双方向の除外キーワードを張って混線を止めます。
  • メニュー別に許容CPAを算出し直す。客単価ではなく年内の再依頼まで含めた粗利から逆算し、定期清掃の目標値は単発の数倍に設定します。
  • 商圏を移動時間で引き直す。片道30分から40分を主戦場に置き、それ以遠は高単価メニューに限定して地域単価調整で表現します。

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株式会社ハーマンドットは、地域サービス業を含む100社以上の広告運用を支援してきました。ハウスクリーニングのように季節波動が大きく、メニューごとに採算構造が違う業種では、アカウントの構成を見ればどこで機会を失っているかが短時間で分かります

現在の管理画面を拝見し、キャンペーンの分離状況、除外キーワードの整備度、コンバージョン計測の設定、商圏設定の妥当性を診断してお返しします。代理店を変えるかどうかを決めていない段階でも、セカンドオピニオンとしてご利用いただけます。診断結果だけを受け取って社内で改善していただいても構いません。

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