児童発達支援の見学獲得は 未就学相談と放課後等デイ併設訴求を混ぜない

児童発達支援の広告で見学予約が伸びない事業所には、ほぼ共通した設計上の原因があります。未就学児の発達相談と、就学後の放課後等デイサービスの利用検討を、ひとつのキャンペーンとひとつのランディングページでまとめて受けてしまっていることです。年齢区分が違えば保護者が抱えている悩みも、検索する言葉も、見学に踏み出すまでに必要な情報量もまったく別物になります。同じ受け皿に流し込んだ瞬間に、どちらの層にも刺さらない当たり障りのない訴求になり、クリックは集まるのに予約が入らない状態が固定化します。
この領域が難しいのは、保護者が事業所を探している段階よりも前、自分の不安に答えを探している段階で検索してくるからです。訪問介護であれば「介護が必要になったから事業者を探す」という明確な行動の起点があり、保育士採用であれば「転職する」という意思決定が先に立っています。ところが子どもの発達に関する検索は、言葉が遅い、集団行動が苦手といった日々の違和感から始まり、事業所を利用するかどうかを決める前の段階にいます。この心理的な位置の違いを無視した広告文は、それだけで警戒されます。
本記事では、広告運用代行として100社を超える支援に携わってきた実務の視点から、年齢区分別の検索語句の分け方、見学予約の前に保護者が確認したい情報、不安を和らげる広告文の書き方、通える距離で切るエリア配信の考え方、問い合わせ後の連絡速度、そして制度説明ページと予約ページの役割分担までを順に整理します。福祉事業所の集客を「地域名を入れて出稿するだけ」で終わらせないための具体的な設計図として使ってください。
この記事の要点
- 未就学と就学後は、キャンペーン・ランディングページ・コンバージョン地点の3点をセットで分ける。同じLPで受けると両方の成果が落ちる
- 未就学の保護者は症状や困りごとの言葉で検索し、就学後の保護者は事業所名や条件の言葉で検索する。受け皿を分ける根拠はここにある
- 見学予約が止まる原因の多くは費用と受給者証の説明不足。利用者負担は原則1割で世帯所得に応じた月額上限があることをページ内で先に伝える
- エリア配信は半径指定ではなく、送迎が実際に回れる市区町村と学区の単位で切る
- 評価は問い合わせ件数ではなく、見学実施率と契約率まで含めて見る。この2段目を見ないと媒体配分を誤る
児童発達支援のリスティング広告が成果につながりにくい構造
児童発達支援のリスティング広告とは、子どもの発達に不安を持つ保護者や、すでに支援の利用を検討している家庭が検索エンジンで調べた瞬間に、自事業所の案内を検索結果の上部に表示して見学予約や相談へつなぐ広告手法です。地域が限定され、対象となる家庭の母数も限られるため、大量に配信して数を稼ぐ設計は成立しません。限られた検索回数のなかで、誰の、どの段階の検索に、どのページで応えるかを決め切ることが成果を左右します。
にもかかわらず、多くの事業所の広告アカウントは「地域名+児童発達支援」「地域名+放課後等デイサービス」といったキーワードをひとつの広告グループに詰め込み、トップページに着地させる構成のまま運用されています。この構成でもクリックは発生しますが、着地後に保護者が求めている情報にたどり着けず離脱します。広告の失敗の大半は入札や予算ではなく、受け皿の設計段階で決まっています。
検索する保護者は事業所ではなく答えを探している
未就学児の保護者が最初に検索する言葉は、事業所の名前でもサービスの名称でもありません。「3歳 言葉が出ない」「発達がゆっくり 相談」「集団行動 苦手 幼稚園」といった、日常で感じた違和感をそのまま文字にした言葉です。この段階の保護者は、支援を受けるべきかどうかも、どこに相談すればよいのかも分かっていません。ここに「無料見学受付中」とだけ書いた広告を出しても、自分に向けられたものだと認識されないまま通り過ぎられます。
この層に届く広告は、いきなり利用を勧めるのではなく、まず相談という選択肢が存在することを伝えるものです。発達に関するGoogle広告で反応が変わるのは、「支援を受けさせるべきか迷っている段階でも相談できる」と明示したときです。保護者にとって最初のハードルは費用でも距離でもなく、「うちの子はそこまでではないかもしれないのに、相談してよいのか」という遠慮です。この遠慮を外す一文があるかどうかで、同じ予算でも見学予約の数は変わります。
制度上の分かれ目がそのまま広告の分かれ目になる
児童発達支援は原則として小学校就学前の未就学児を対象とし、放課後等デイサービスは就学している児童生徒を対象とします。どちらも利用にあたっては市区町村が発行する通所受給者証が必要で、障害者手帳の取得は必須ではありません。利用者負担は原則1割で、世帯の所得区分に応じた月額の上限が設けられています。こども家庭庁が公開している利用者負担の仕組みによれば、生活保護世帯と低所得世帯は負担がなく、一般的な課税世帯には月額上限が設定される構造です(2026年8月時点で公開されている制度情報に基づく)。
この制度上の線引きは、そのまま広告設計の線引きになります。未就学の保護者は受給者証の存在すら知らないところから始まるため、申請の流れまで説明しなければ予約に至りません。一方で就学後の保護者は、すでに受給者証を持ち、他事業所を利用した経験がある場合も多く、必要としているのは制度の説明ではなく空き枠や送迎範囲、プログラム内容といった具体条件です。同じページで両方に応えようとすると、片方には冗長で、もう片方には情報不足という状態になります。
| 比較軸 | 児童発達支援(未就学) | 放課後等デイサービス(就学後) |
|---|---|---|
| 保護者の状態 | 診断前・相談段階が多い | 受給者証取得済み・比較検討 |
| 検索語句の型 | 症状語・困りごと語 | 地域名+サービス名・条件語 |
| 必要な情報 | 相談の流れ・受給者証の申請手順 | 空き枠・送迎範囲・プログラム |
| 初回接点 | 相談・発達相談の予約 | 見学と体験 |
| 検討期間の目安 | 数週間〜数か月 | 数日〜2週間程度 |
年齢区分で検索語句が割れる構造を先に把握する
キーワード設計は年齢区分ごとに完全に別リストで作るのが正解です。未就学向けと就学後向けを同じ広告グループに同居させると、検索語句レポートの粒度が粗くなり、どちらの層で無駄打ちが起きているのか判別できなくなります。実務では、まず対象を未就学の相談段階、未就学の利用検討段階、就学後の比較検討段階の3つに分け、それぞれに独立した広告グループを持たせる構成から始めます。
この分け方をすると、当初は各グループの表示回数が細くなり、成果が読みづらく見えます。しかし2〜3か月運用すると、どのグループが見学予約につながり、どのグループが問い合わせだけで終わっているかが明確になります。細かく割ることの目的は最適化ではなく、判断材料を壊さないことです。ひとまとめにしたアカウントは、平均値だけが見えて打ち手が決まらない状態に陥ります。
未就学の検索語句は困りごとの言葉から始まる
未就学層の検索語句は、年齢と行動の組み合わせで構成されるのが典型です。「2歳 発語なし」「4歳 落ち着きがない 相談」「療育 いつから」といった語句が中心で、事業所を探す意図はまだ弱い状態にあります。この層に対しては、相談窓口としての立ち位置を明示した広告文と、相談の流れを説明したページを用意します。いきなり契約や通所の話を出さないことが、この段階では最も効きます。
注意したいのは、こうした語句には情報収集だけを目的とした検索も大量に混ざる点です。学術的な情報を探している人、支援者側の職員、学生の調べものなども同じ語句を使います。運用開始から数週間は検索語句レポートを毎週確認し、明らかに保護者以外の意図を持つ語句を除外していく作業が欠かせません。この除外作業を怠ると、クリック単価が安いという理由でこの層に予算が偏り、見学予約が増えないまま費用だけが積み上がります。
就学後の検索語句は条件比較の言葉が中心になる
就学後の保護者は、すでに支援の枠組みを理解しています。検索するのは「地域名 放課後等デイサービス 送迎」「地域名 放デイ 空き」「土曜 預かり 放課後等デイ」といった、条件を含んだ語句です。ここでは制度の説明はほとんど求められておらず、自分の生活に組み込めるかどうかを判断できる情報が必要とされます。放課後等デイサービスの集客においては、この条件語句への対応精度がそのまま予約数に反映されます。
実務でよく効くのは、送迎対応の可否、対応曜日、受け入れ可能な学年、空き枠の有無という4項目を広告文と着地ページの両方の最上部に置くことです。これらは事業所側から見れば当たり前の情報ですが、保護者は複数の事業所を短時間で見比べており、この4項目が見当たらないページはその場で閉じられます。条件が合わないことが分かること自体にも価値があり、合わない人を早く帰すほど見学の質は上がります。
| 検索語句グループ | 保護者の段階 | 着地させるページ | 設定するCV |
|---|---|---|---|
| 症状語・年齢+困りごと | 相談すべきか迷っている | 発達相談の案内ページ | 相談予約フォーム |
| 療育・支援制度の調べもの | 制度を理解しようとしている | 制度解説コンテンツ | 資料請求のみ |
| 地域名+児童発達支援 | 未就学で事業所を探している | 未就学向け見学予約LP | 見学予約 |
| 地域名+放課後等デイ+条件 | 就学後で比較している | 放デイ向け見学予約LP | 見学予約・電話 |
| 事業所名の指名検索 | 訪問済み・再検討 | 事業所トップページ | 電話・予約 |
検索語句を段階ごとに整理し、除外と昇格を定期的に回す運用については、媒体横断で使える手順をまとめた記事があります。週次でどこを見るかの型を作るところから始めてください。
見学予約の前に保護者が確認したい情報を先に置く
見学予約の獲得を伸ばす最短ルートは、予約フォームの改善ではなく、フォームに到達する前の情報の並び替えです。福祉事業所の見学予約は、飲食店の予約や資料請求と違って、予約した時点で子どもの状態を説明する必要が生じます。保護者にとっては心理的な負荷が高い行為であり、事前に不安要素が解消されていないと、フォームを開いても手が止まります。ページの下部に置かれた費用の説明を、上部へ移すだけで予約数が変わることは珍しくありません。
実務で優先度が高いのは、費用、受給者証、送迎、空き枠、当日の流れの5点です。とくに費用については、無料と書くこともできず、金額を断定することもできない領域であるため、説明が曖昧なまま放置されがちです。制度上は原則1割負担で世帯所得に応じた月額上限があるという前提と、上限を超えた分は請求されないという構造を、専門用語を減らして書くことが有効です。この一段落があるだけで、費用が不安で問い合わせをためらっていた層が動きます。
費用と受給者証の説明が抜けると予約は止まる
受給者証は、多くの保護者にとって初めて聞く言葉です。取得には市区町村の窓口での申請が必要で、面談や意見書の準備を含めると一定の期間を要します。この手続きの存在を知らないまま見学に来た保護者が、その場で申請の話を聞いて驚くという場面は、現場でも頻繁に起きています。広告の着地ページで手続きの全体像を先に示しておけば、見学の場は事業所選びの話に集中でき、契約までの時間も短くなります。
逆に、受給者証をまだ持っていない家庭を排除するような書き方は避けるべきです。未就学層の多くは未取得の状態で検索してきます。「受給者証をお持ちでない方も、申請の進め方からご案内します」という一文は、この層にとって最も強い後押しになります。制度の壁を事業所側が一緒に越えてくれるという印象が、他事業所との差になります。
送迎範囲と空き枠は具体的な地名と時間で書く
送迎については「近隣エリア対応」といった書き方では判断材料になりません。対応している市区町村名、学校名、または主要な地域名を列挙する形にします。空き枠についても「若干名」ではなく、平日午後の枠が中心なのか、土曜の枠があるのか、学年ごとに空きが異なるのかまで書きます。情報を具体化すると問い合わせ数そのものは減る場合がありますが、見学に来る家庭の質が上がり、契約率は改善します。
在籍している子どもの年齢構成や人数を公開することも有効です。保護者は自分の子どもがその集団になじめるかを気にしており、未就学と就学後が混在する事業所であれば、時間帯で分かれていることを明示するだけで安心材料になります。ここでも、未就学向けページと就学後向けページで書き分けることが前提です。同じ説明を両方に載せると、どちらにとっても他人事の情報が混ざったページになります。
見学予約前に必ずページ上部へ置きたい項目
- 費用の考え方:原則1割負担と月額上限の仕組み、上限を超えた分は請求されないこと
- 受給者証:未取得でも相談できること、申請の大まかな流れと必要な期間の目安
- 送迎:対応している市区町村名と学校名を具体的に列挙
- 空き枠:曜日と時間帯、学年ごとの受け入れ状況
- 当日の流れ:所要時間、子どもの同伴が必要かどうか、持ち物
着地したあとにどこで離脱しているかを、感覚ではなく手順で点検することも欠かせません。ページを作り直す前に、費用の記述までスクロールされているか、フォームの表示位置まで到達しているかを確認し、止まっている箇所を特定してから手を入れます。作り直しの判断は、離脱位置が分かってからで遅くありません。
保護者の不安を和らげる広告文の作り方
広告文は、成果を約束する表現を外し、次の一歩の軽さを伝える表現に置き換えるのが基本方針です。福祉領域では効果や改善を断定する表現が信頼を損なうだけでなく、媒体の審査でも問題になり得ます。「言葉が伸びます」「集団生活に適応できます」といった断定は使わず、「まずは今の状態を一緒に整理するところから」といった、行動の負荷が低いことを示す言葉に置き換えます。
もうひとつ重要なのが、誰に向けた広告かを冒頭で明示することです。見出しの先頭に地域名と年齢帯を入れるだけで、クリック後の離脱は目に見えて下がります。「渋谷区の未就学のお子さま向け」「小学生の放課後の居場所をお探しの方へ」といった形で、対象を絞る一言を置きます。母数の少ない領域では、広く当てるより、当てるべき人に確実に届けるほうが結果的に費用対効果は高くなります。
断定と煽りを外して負荷の低い言葉に置き換える
不安を煽る訴求は、この領域では逆効果になります。「今すぐ相談しないと手遅れになります」といった書き方は、保護者の罪悪感を刺激するだけで行動にはつながりません。実際に反応が良いのは、迷っている状態そのものを肯定する言葉です。「診断がなくてもご相談いただけます」といった一文は、クリック率よりも予約率に効きます。
レスポンシブ検索広告では複数の見出しが自動で組み合わされるため、断定表現がひとつでも混ざると意図しない組み合わせで表示されるリスクがあります。福祉領域では、投入する見出しの候補すべてを事前に読み合わせ、どの2つが並んでも問題のない状態にしておく確認工程が必要です。この確認は運用担当だけでなく、現場の管理者にも通すことをおすすめします。
見出しに入れるべき3つの要素を固定する
広告見出しの構成要素は、地域、対象年齢、次の行動の3つに固定すると設計が安定します。地域は市区町村名または駅名、対象年齢は未就学か小学生以上か、次の行動は見学、相談、電話のいずれかです。この3つが揃っている見出しは、クリックした人の期待とページの内容がずれにくくなります。説明文にはそこに費用と送迎の要素を足します。
広告表示オプションも軽視できません。電話番号表示オプションは、就学後の保護者からの入電を増やす効果が高く、サイトリンクには「費用について」「送迎エリア」「見学の流れ」を並べます。未就学向けには「相談の流れ」「受給者証について」を優先します。自事業所の広告文と着地ページの整合が取れているか自信が持てない場合は、広告アカウントの無料診断で第三者の目を入れる手もあります。
エリア配信は通える距離で切る
地域ターゲティングは半径指定ではなく、送迎車が実際に回れる範囲を市区町村と学区の単位で指定します。半径5キロといった円形の指定は一見合理的ですが、川や幹線道路、鉄道で分断された地域では、直線距離が近くても通所が現実的でない場所が含まれます。送迎ルートに乗らないエリアからの問い合わせは、対応の手間だけがかかり契約に至りません。
あわせて設定したいのが、地域の指定方法です。Google広告のヘルプでも案内されているとおり、地域ターゲティングには対象地域に所在するユーザーへの配信と、対象地域に関心を示したユーザーへの配信という選択肢があります。福祉事業所の集客では、所在ベースの指定に限定するほうが無駄打ちを抑えられます。関心ベースを含めると、引っ越し予定者や情報収集目的の遠方ユーザーが混ざり、問い合わせの質が落ちます。
市区町村と学区で切ると送迎の実態に合う
就学後の放課後等デイサービスでは、送迎の起点が学校になるため、学区単位での思考が実務に合います。対応している小学校の名前が明確であれば、その学校が属する地域を優先的に指定し、隣接する地域は入札を下げる形で残します。未就学の場合は自宅からの送迎または保護者送迎が中心になるため、市区町村単位に、幼稚園や保育園の所在地を加味した調整をかけます。
地域ごとの成果差は必ず出ます。運用開始から2か月ほど経ったら、地域別のレポートで問い合わせ数と見学実施数を比べ、見学に至っていない地域の入札を下げます。距離が遠いほど見学の当日キャンセルが増えるという傾向は、複数の事業所支援で共通して観測されています。件数だけを見て地域を広げると、見学実施率が下がって現場の負荷だけが増える結果になります。
地域名キーワードと地域ターゲティングは二重で使う
キーワードに地域名を含めることと、配信地域を絞ることは役割が違います。地域名キーワードは検索意図の強さを拾うための仕組みで、地域ターゲティングは無駄な配信を止めるための仕組みです。両方を同時に使うことで、「地域名で明確に探している人」と「地域内にいて一般語で探している人」の双方を拾いながら、圏外への配信を止められます。
地図上での接点も無視できません。事業所を探す保護者は検索結果とあわせて地図も見ており、そこに情報が整っていないと候補から外れます。地図面での露出設計は検索広告と考え方が異なるため、別の記事で整理しています。
問い合わせ後の連絡速度が見学化率を決める
問い合わせから見学に至るかどうかは、一次返信までの時間でほぼ決まります。保護者は複数の事業所に同時に問い合わせているわけではない場合が多いものの、勇気を出して送信したあとの待ち時間が長いほど不安が増幅し、「やはり今はやめておこう」という判断に傾きます。実務上の目安として、平日日中は1時間以内、それ以外の時間帯でも翌営業日の午前中までに一次返信を返す体制を推奨しています。
この体制づくりは広告運用の範囲外に見えますが、実際には広告の成果指標を直接動かします。同じ広告費でも、一次返信が当日中の事業所と翌々日になる事業所では、見学実施率が2倍近く開くことがあります。広告を増やす前に、受付体制の穴を埋めるほうが投資効率は高いという判断は、この領域では頻繁に成立します。
一次返信は内容よりも速さを優先する
一次返信で完璧な回答を用意する必要はありません。問い合わせを受け取ったこと、担当者から改めて連絡すること、見学可能なおおよその日程の3点が伝われば十分です。むしろ、費用や受給者証について詳細に書き込もうとして返信が遅れるほうが損失になります。定型文をあらかじめ用意し、宛名と日程候補だけを差し替えて送る運用にすれば、現場の負担も抑えられます。
電話で問い合わせを受ける場合は、取りこぼしの計測が課題になります。営業時間外の着信や、話し中で切れた入電は記録に残らず、広告の成果として認識されません。就学後の保護者は電話を使う比率が高いため、入電の記録と広告データの接続は優先度の高い施策です。ここが見えないまま媒体配分を判断すると、電話が主な接点になっている媒体を過小評価してしまいます。
フォームは項目を削り、電話と併走させる
見学予約フォームの入力項目は、氏名、連絡先、子どもの年齢または学年、希望日程の4つに絞るのが基本です。診断名や困りごとの詳細を初回のフォームで求めると、記入の手が止まります。詳しい状況は一次返信のあとの電話や見学当日に聞けば足ります。この4項目に絞るだけで、フォームの完了率が改善した事例は複数あります。
受付体制の点検項目
- 一次返信の担当者と代理担当が決まっており、休暇時も返信が止まらない
- 平日日中の一次返信は1時間以内を目標に運用している
- 営業時間外の着信履歴を翌営業日に折り返す運用が定着している
- フォーム通知の宛先が複数人に届き、見落としが起きない設定になっている
- 見学日程は最短で何日後に設定できるかを、受付側が即答できる
入電を広告成果として正しく数えるための実装は、計測設計の記事にまとめています。電話比率の高い事業所ほど、ここを整えた効果が大きく出ます。
制度説明ページと見学予約ページの役割分担
制度説明のコンテンツは集客の主役ではなく、不安を解消するための補助として位置づけます。受給者証の申請手順や利用者負担の仕組みを丁寧に解説したページは、保護者にとって価値が高く、検索からの自然流入も見込めます。ただし、このページを広告の着地先にすると成果は伸びません。制度を理解しにきた読者は、理解した時点で満足して離脱するためです。
役割を分けたうえで、制度ページから予約ページへの導線を用意します。制度ページの本文中と末尾に、自事業所での相談や見学への案内を自然に置き、直接の予約を求めるのではなく「分からないことを一緒に整理する」という形で誘導します。広告費を投じるのは予約完結型のページに限定し、制度ページは自然検索とリマーケティングで支える構成が実務的です。
制度記事は信頼の担保として使う
制度に関する記述は、出典と時点を明記することが前提です。厚生労働省やこども家庭庁が公開している情報を参照し、いつ時点の内容かを添えます。制度は改定が入るため、古い数値を掲載したままにしておくと、それだけで事業所の信頼を損ないます。年に一度は記述を見直す運用を、公開時点で決めておくべきです。
また、自治体によって申請の窓口名や必要書類が異なる点にも触れておきます。全国共通の説明だけで終えると、実際に窓口へ行った保護者が戸惑います。自事業所が対応している市区町村については、窓口の名称と大まかな流れを個別に書いておくと、地域密着の事業所としての信頼が伝わります。
広告の着地は予約完結型のページに限定する
予約完結型のページとは、そのページを最後まで読めば予約の判断ができる構成のページを指します。他のページへ回遊させないことが前提で、費用、受給者証、送迎、空き枠、当日の流れ、そして予約フォームがひとつのページに収まっています。回遊を増やす設計は情報サイトでは有効ですが、広告の受け皿としては離脱点を増やすだけです。
未就学向けと就学後向けで、このページを2枚用意します。共通のヘッダーやフッターを使い回すのは構いませんが、本文の順序と語彙は完全に書き分けます。未就学向けは相談のハードルを下げる説明を先に置き、就学後向けは条件情報を先に置く。この順序の違いが、同じ内容量でも予約率の差になって表れます。
併設事業所が同じLPで受けないための分け方
児童発達支援と放課後等デイサービスを併設している事業所ほど、広告設計は明確に分けるべきです。運営側から見れば同じ施設で同じスタッフが対応していても、保護者から見れば検討している内容がまったく違います。併設であることを前面に出したページは、事業所側の都合を説明しているように読まれ、どちらの層にも自分向けの情報として届きません。
分けるべき単位は、キャンペーン、ランディングページ、コンバージョン地点の3つです。キャンペーンを分ければ予算と入札を年齢区分ごとに管理でき、ページを分ければ訴求の順序を最適化でき、コンバージョンを分ければどちらの層が獲得できているかを数字で追えます。この3点のうちひとつでも共通のままだと、分離した意味がほとんど失われます。
3点セットで分けないと評価が混ざる
よくあるのが、キャンペーンだけ分けてページとコンバージョンは共通にしているケースです。この状態では、自動入札が両方のキャンペーンから同じコンバージョンデータを学習するため、意図した配分になりません。とくに未就学向けは検討期間が長く、就学後向けは短いという違いがあるため、同一のコンバージョン地点で最適化をかけると、成果が出やすい就学後側に予算が偏っていきます。
結果として、事業所全体では問い合わせ数が保たれているように見えるのに、未就学の枠だけが埋まらないという状態が生まれます。児童発達支援は定員の充足が経営に直結するため、この偏りは看過できません。分離設計は手間が増えますが、枠を計画どおりに埋めるための必要条件だと考えてください。分離の設計から相談したい場合は、現状のアカウント構成をお持ちのうえでご相談ください。
併設の強みは接続できることとして伝える
併設を訴求に使うなら、「両方やっています」ではなく「就学後も続けて通える」という接続の価値として伝えます。未就学の保護者にとって、就学のタイミングで支援が途切れることは大きな不安です。同じ事業所で継続できると分かれば、それは他の未就学専門事業所にはない選択理由になります。ただしこれは未就学向けページの中盤以降に置く補助的な訴求であり、冒頭に出す主訴求ではありません。
併設事業所でよく起きる設計事故
- トップページを広告の着地にして、未就学と就学後の説明が同居している
- 予約フォームが1本で、どちらのサービス希望か後から判別できない
- キャンペーンは分けたのにコンバージョンが共通で、自動入札が偏る
- 電話番号が1つで、どちらの層からの入電か記録に残らない
- 広告文の見出しに両方のサービス名が並び、対象が絞れていない
顧客層が2つに割れる業種で、同じ広告とページを使い回すと何が起きるかは、人間ドックの集客を題材にした記事でも詳しく扱っています。構造が近いので、あわせて読むと分離設計の判断がしやすくなります。
予算配分と評価指標の置き方
福祉事業所の広告予算は、埋めたい定員から逆算して決めるのが実務的です。1事業所あたりの月額予算は10万円から30万円の範囲に収まることが多く、商圏の人口規模と競合事業所の数で幅が生まれます。この金額を年齢区分ごとに割り振り、未就学と就学後のどちらの枠が逼迫しているかによって配分を毎月見直します。定員が埋まっているサービスの広告は、迷わず止めて構いません。
評価指標は、問い合わせ件数で止めないことが最も重要です。見なければならないのは、問い合わせから見学に至った割合、見学から契約に至った割合、そして契約1件あたりの広告費です。問い合わせ単価だけを追うと、質の低い流入を増やす方向に運用が引っ張られます。現場が対応に追われるだけで枠が埋まらないという事態は、この指標設計を誤ったときに起きます。
定員から逆算して月額予算を決める
逆算の手順は単純です。埋めたい枠の数を決め、そこから想定される契約率と見学実施率をさかのぼって、必要な問い合わせ数を出します。仮に月に3件の契約が必要で、見学からの契約率が5割、問い合わせからの見学実施率が6割であれば、必要な問い合わせは10件です。ここに許容できる問い合わせ単価を掛ければ、必要な広告費が出ます。
この計算で重要なのは、契約率と見学実施率を推測ではなく実測値で持つことです。多くの事業所ではこの2つが記録されておらず、感覚で語られています。まずは3か月分の問い合わせ台帳を作り、それぞれがどこまで進んだかを記録するところから始めてください。台帳ができれば、広告の判断は驚くほど明快になります。
見るべき指標は3段階で固定する
指標は、獲得段階、見学段階、契約段階の3つに固定して毎月同じ形で振り返ります。段階ごとに担当と改善手段が異なるためです。獲得段階が悪ければキーワードと広告文、見学段階が悪ければ受付体制と着地ページ、契約段階が悪ければ見学当日の運営に原因があります。数字を段階で分けておくと、責任の押し付け合いにならず、打ち手が具体化します。
| 段階 | 見る指標 | 悪いときに疑う場所 |
|---|---|---|
| 獲得 | 問い合わせ数・問い合わせ単価 | キーワード・広告文・配信地域 |
| 見学 | 見学実施率・一次返信までの時間 | 受付体制・着地ページの情報量 |
| 契約 | 契約率・契約1件あたり広告費 | 見学当日の説明・条件の不一致 |
| 継続 | 3か月後の在籍率 | 枠設計・送迎ルートの負荷 |
ここまでを自社で回すか外部に任せるかは、広告費の規模と社内の工数で決まります。判断材料として、手数料の相場と内訳を整理した記事を用意しています。相談の前に費用構造だけでも把握しておくと、比較の精度が上がります。現状の配信内容を見たうえでの助言が必要な場合は、アカウントを共有いただければ具体的にお伝えできます。
まとめは分離設計と受付体制の2点に集約される
児童発達支援の見学予約を増やすうえで、やることは多くありません。年齢区分で受け皿を分けること、そして問い合わせを受けたあとの動きを速くすることです。この2点が整っていない状態で予算を増やしても、問い合わせの数だけが増えて枠は埋まりません。逆にこの2点さえ整っていれば、月額10万円台の予算でも定員の充足は十分に狙えます。
- 未就学と就学後は3点セットで分ける。キャンペーン、ランディングページ、コンバージョン地点のいずれかを共通にした時点で、分離した効果はほぼ失われます
- 費用と受給者証の説明をページ上部に置く。見学予約が止まる原因の大半はここにあり、フォームの改善より先に手を付けるべき箇所です
- 評価は見学実施率と契約率まで見る。問い合わせ単価だけを追うと質の低い流入が増え、現場の負荷だけが上がる運用になります
まずは無料で広告アカウント診断を
ハーマンドットでは、広告運用代行として100社を超える支援に携わってきた経験をもとに、現在配信中のアカウントを無料で診断しています。児童発達支援や放課後等デイサービスのように、対象が年齢で分かれ、商圏が限定される業種では、アカウント構造の設計だけで成果が大きく変わります。診断では、キャンペーンの分け方、検索語句の無駄、着地ページの情報の並び、計測の抜けを具体的に指摘します。
すでに他社に依頼している場合でも、セカンドオピニオンとしての利用で構いません。現在の構成のどこに改善余地があるかを、実際の数値を見たうえでお伝えします。広告費を増やすべきか、その前に受付体制を整えるべきかという判断も含めて、率直にお話しします。
初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能




