複数代理店を併用するときの統括設計|検索・SNS・LP制作の責任分界を崩さない進行ルール

複数代理店の統括設計

検索広告はA社、SNS広告はB社、LP制作はC社というように、広告代理店を併用している企業は少なくありません。それぞれの分野に強い会社へ任せる判断は合理的ですが、併用を始めて数か月たつと「誰が成果に責任を持っているのか分からない」「LPの修正依頼がどこにも届いていなかった」といった問題が表に出てきます。

こうした問題の多くは、代理店の力量ではなく、広告主側の統括設計が決まっていないことから起きます。本記事では、すでに2社以上の代理店を併用している企業を前提に、責任分界表の作り方、媒体別KPIの切り方、クリエイティブ差し替えとLP改修の窓口、週次の承認フローまでを、そのまま社内で使える形で整理します。

代理店の選び方や一括依頼との比較ではなく、「今の併用体制をどう回すか」に絞った実務ガイドです。記載しているGoogle広告やMetaの仕様は2026年10月時点の公式ヘルプをもとにしています。

この記事の要点

  • 統括役:広告主側に1人置き、媒体をまたぐ判断はすべてこの人が下す
  • 責任分界表:検索・SNS・LP制作の作業ごとに実行・承認・相談・共有の担当を固定する
  • KPI:全社共通KPIを1つに決め、代理店ごとの担当KPIは自社で動かせる指標に限定する
  • 窓口:クリエイティブ差し替えとLP改修の依頼は統括役を経由する一本の経路にまとめる
  • 権限:広告アカウントは広告主が所有し、代理店ごとに必要最小限のアクセス権だけを渡す

複数代理店の併用で起きる問題は責任の空白です

複数代理店を併用したときに成果が落ちる最大の原因は、どの代理店の担当でもない「責任の空白」が生まれることです。各社は契約した範囲の業務を誠実にこなしていても、範囲と範囲のすき間に落ちた作業は誰も拾いません。併用体制では、このすき間を広告主側があらかじめ埋めておく必要があります。

広告代理店の併用の定義

広告代理店の併用とは、検索広告、SNS広告、ディスプレイ広告、LP制作、計測設計などの業務を、2社以上の外部パートナーに分けて同時に委託している状態のことです。媒体ごとに分けるケースもあれば、運用と制作で分けるケース、同じ媒体を地域や商材で分けるケースもあります。

どの分け方であっても共通しているのは、ユーザーは代理店の区切りを意識せずに広告からLP、問い合わせへと進むという点です。ユーザー体験は一続きなのに、管理は分断されているというねじれが、併用体制の難しさの根本にあります。

併用が始まるきっかけは、既存の代理店が新しい媒体に対応していなかった、制作だけを別の会社に頼みたかった、相見積もりの結果として一部だけ切り替えたなど、場当たり的なものが少なくありません。全体の設計図がないまま代理店が増えていくため、後から統括の仕組みを整える必要が出てくるのです。

成果が落ちる典型パターン

よく見られるのは、検索広告の代理店が訴求を変えたのにLPが古い訴求のまま残り、CVRが下がるパターンです。検索側は「LPは制作会社の担当」と考え、制作会社は「依頼が来ていない」と考えるため、誰も気づかないまま数週間が過ぎてしまいます。

もう一つは、SNS広告と検索広告が同じコンバージョンを自社の成果として報告し、合計すると実際の問い合わせ件数を大きく上回るパターンです。各社のレポートだけを見て予算配分を決めると、実態と異なる媒体に予算を寄せてしまう危険があります。数字を一本化する仕組みがない限り、この問題は自然には解消しません。

併用体制でよくある事故

  • 訴求のずれ:広告文だけ更新され、LPの見出しやオファーが旧版のまま残る
  • 成果の二重計上:各社が同じCVを自社の成果として報告する
  • 無断変更:別の代理店の設定やタグを誤って上書きする
  • 権限の放置:契約終了後も旧代理店にアクセス権が残り続ける

統括役は広告主側に1人置くのが原則です

複数代理店の管理では、広告主側に統括役を1人置き、媒体をまたぐ判断をすべてこの人に集約するのが原則です。代理店のうち1社に全体の取りまとめを任せる方法もありますが、他社の業務に指示を出す権限がないため、実際には調整役にとどまることがほとんどです。

統括役が担う仕事

統括役の仕事は、広告を運用することではなく、各社の作業が一つの目標に向かうように交通整理をすることです。具体的には、全社共通KPIの管理、予算配分の決定、代理店間の依頼の取り次ぎ、承認、週次の進行管理が中心になります。専門的な運用判断は各代理店に任せ、媒体をまたぐ判断だけを統括役が引き受けるという線引きが現実的です。

統括役に求められるのは、媒体ごとの細かな運用知識よりも、事業の目標と広告の数字を結びつけて説明できる力です。どの媒体に予算を寄せると商談や受注がどう動くのかを社内に説明し、その判断を各代理店に同じ言葉で伝えられる人が適任です。統括役の工数は週に数時間を見込んでおくと、兼任でも無理なく回せる体制を組みやすくなります。

社員数の少ない企業では、マーケティング担当者が他業務と兼任するケースが多いはずです。その場合でも、最終承認者を1人に決めておくことが重要です。承認者が複数いると、代理店は誰の指示を優先すべきか迷い、判断待ちの時間が積み上がっていきます。

統括役が持つべき決定権

統括役には、予算の再配分、クリエイティブとLPの公開可否、計測設定の変更可否、代理店間で意見が割れたときの裁定という4つの決定権を持たせます。これらを代理店側に委ねると、各社が自社の成果を優先した判断をしやすくなり、全体最適から外れていきます。

逆に、入札調整や除外キーワードの追加、広告グループ内の配信最適化のように、一つの媒体の中で完結する判断は代理店に任せたほうが速く回ります。何を統括役が決め、何を代理店に任せるかを文書にしておくだけで、日々の確認依頼は大きく減ります。

統括役の決定権と代理店の作業範囲は、口頭ではなく契約書やSLAにも反映させておくと、後から「聞いていない」という食い違いを防げます。契約面での責任分界の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

責任分界表で検索・SNS・LP制作の担当を固定します

代理店の役割分担は、作業ごとに「実行・承認・相談・共有」の担当を一覧にした責任分界表で固定するのが最も確実です。プロジェクト管理で使われるRACIの考え方を広告運用向けに簡略化したもので、1枚の表にしておけば新しい担当者が加わっても迷わずに済みます。

作業実行承認相談共有
検索広告の入札・キーワード調整検索代理店検索代理店統括役SNS代理店
検索広告の広告文の訴求変更検索代理店統括役制作会社SNS代理店
SNS広告のクリエイティブ差し替えSNS代理店統括役制作会社検索代理店
LPの文言・画像の修正制作会社統括役検索代理店・SNS代理店全社
コンバージョンタグの追加・変更計測担当(統括役が指名)統括役全代理店全代理店
月次の予算配分統括役経営層全代理店全代理店
アクセス権の付与・削除統括役統括役なし該当代理店
検索・SNS・LP制作を3社に分けた場合の責任分界表の例(自社の体制に合わせて調整してください)

責任分界表の作り方

表を作るときは、まず現在発生している作業をすべて洗い出し、行に並べるところから始めます。媒体の運用作業だけでなく、タグの設置、LPの修正、レポートの作成、アクセス権の管理といった周辺作業も漏れなく書き出すことがポイントです。責任の空白は、こうした周辺作業で起きやすいからです。

次に、各行について実行する人と承認する人を必ず1者ずつ決めます。実行と承認が同じ人になる作業は、媒体の中で完結する軽微な作業に限ります。他社の成果に影響する作業は必ず統括役の承認を通すというルールにしておくと、表全体の判断基準がぶれません。

グレーゾーンを先に決める

表を作っても、実務では「この作業はどちらの担当か」が曖昧なケースが必ず出てきます。代表的なのは、広告用のバナー画像を誰が作るか、LPのABテストを誰が設計するか、計測タグの不具合を誰が調べるかといった作業です。こうしたグレーゾーンは、問題が起きてから決めるのではなく、表の作成時点で担当を割り振っておくことが大切です。

判断に迷ったときは、その作業の結果に最も影響を受ける会社ではなく、その作業を最も速く正確に実行できる会社に割り当てます。そのうえで、影響を受ける会社を「相談」に入れておけば、品質と速度の両方を確保できます。表は四半期に1回見直し、新しく発生した作業を追加していきます。

代理店との合意の取り方

責任分界表は、広告主が一方的に配布するだけでは機能しません。案ができた段階で各代理店に共有し、担当とされた作業を実際に引き受けられるか、工数や契約範囲に照らして確認してもらう必要があります。契約範囲を超える作業が割り当てられている場合は、追加費用や担当の変更をこの時点で話し合っておきます。

合意した表は共有フォルダに置き、全代理店がいつでも同じ版を確認できるようにします。担当者の交代や新しい代理店の参加があったときは、最初に表を読んでもらうことを引き継ぎの手順に組み込みます。表の最新版は1つだけに保ち、各社が独自に編集した版が出回らないよう、更新は統括役だけが行うルールにしておくと混乱を防げます。

媒体別KPIは共通KPIと担当KPIの2層で切ります

複数代理店を併用するときの媒体別KPIは、全社で追う共通KPIと、代理店ごとに責任を持つ担当KPIの2層に分けて設定するのが基本です。全員が同じ最終指標だけを追うと責任の所在がぼやけ、逆に各社が自社の指標だけを追うと全体の成果が見えなくなります。

共通KPIは1つに決める

共通KPIは、商談数、受注数、問い合わせ件数など、事業の成果に最も近い指標を1つだけ選びます。この数値は広告媒体の管理画面ではなく、CRMや自社の問い合わせ管理など、広告主側で管理している一次データから取得します。どの代理店のレポートにも依存しない数字を「正」にしておくことで、二重計上の問題を根本から避けられます。

共通KPIは全代理店に毎週共有し、全員が同じ数字を見ながら議論できる状態を作ります。各社のレポートで報告されたコンバージョンの合計と共通KPIの実数がどれだけ離れているかを並べて見せるだけでも、各社の数字を鵜呑みにしないという意識が社内外に定着します。

担当KPIは各社が動かせる指標に限る

担当KPIは、その代理店が自社の作業でコントロールできる指標に限定します。検索代理店なら獲得単価や検索語句の質、SNS代理店ならクリック単価やLP到達率、制作会社ならLPのCVRや表示速度といった形です。自社の努力では動かせない指標を担当KPIにすると、代理店側は改善の打ち手を持てず、報告が言い訳の場になってしまいます。

注意したいのは、LPのCVRは流入の質にも左右されるという点です。CVRが下がったときに制作会社だけの責任とせず、流入元の媒体別にCVRを分けて確認するルールにしておくと、原因の切り分けが速くなります。担当KPIは評価のための数字ではなく、改善の担当を決めるための数字として扱うのが健全です。

KPIの切り方が決まったら、目標値も2層に分けて設定します。共通KPIの目標は経営層と統括役が事業計画から逆算して決め、担当KPIの目標は各代理店から根拠付きで提案してもらいます。各社の提案を合算したときに共通KPIの目標に届くかを確かめることで、目標の積み上げに無理がないかを事前に検証できます。自社だけで目標値の妥当性を判断しにくい場合は、広告運用の専門家に相談して、過去の配信実績から現実的な水準を見積もる方法もあります。

計測の基盤は広告主が1か所で持つ

2層のKPIを正しく運用するには、計測の基盤を広告主側で一元管理することが前提になります。GA4などの解析ツールと、各媒体のコンバージョンタグの設定権限は統括役が持ち、代理店が追加・変更する場合は必ず事前承認を通します。複数の代理店がそれぞれタグを入れると、重複計測やタグの上書きが起きやすくなります。

流入元を正しく切り分けるためには、各社が付けるUTMパラメータの命名ルールを統一しておくことも欠かせません。ルールが会社ごとにばらばらだと、同じ媒体の流入が別々の行に分かれ、媒体別の比較ができなくなります。媒体横断で崩れないタグ設計については、以下の記事で詳しく解説しています。

クリエイティブ差し替えとLP改修の窓口を一本化します

クリエイティブの差し替えとLP改修の依頼は、統括役を経由する一本の窓口にまとめるのが鉄則です。代理店同士が直接やり取りすると一見速そうですが、承認の記録が残らず、公開後に問題が起きたときに誰が判断したのかを追えなくなります。

クリエイティブ差し替え権限の決め方

クリエイティブの差し替えは、媒体内で完結するテストと、訴求そのものを変える変更に分けて権限を決めます。同じ訴求の中で画像や見出しのバリエーションを入れ替えるテストは、代理店の裁量で実施して事後報告で構いません。一方、オファーや価格表記、ターゲットとする悩みを変える変更は、LPとの整合性に関わるため統括役の事前承認を必須にします。

この区別をしておかないと、SNS代理店が反応の良かった新しい訴求を広げた結果、検索広告やLPとの言い回しがずれ、ユーザーが違和感を持って離脱するといった事態が起きます。訴求を変えるときは、広告とLPを同じ日に切り替えることを原則にし、切り替え日を全社で共有します。

LP改修依頼の窓口

LPの改修依頼は、各代理店から統括役に集め、統括役が優先順位を付けて制作会社へまとめて渡す流れにします。検索代理店とSNS代理店がそれぞれ別の修正を依頼すると、制作会社はどちらを優先すべきか判断できず、矛盾する修正が同時に入ることもあります。

依頼は口頭やチャットの流れの中ではなく、共有のタスク管理表や依頼フォームに記録します。依頼の目的、根拠となるデータ、希望する公開日、影響する広告を必ず書いてもらうことで、統括役は優先順位を判断しやすくなり、制作会社も手戻りなく作業できます。

制作会社との契約で月あたりの修正回数や対応範囲が決まっている場合は、その枠を統括役が管理します。各代理店が個別に依頼して枠を使い切ってしまうと、本当に優先すべき修正が翌月に回されることになります。依頼を一本化しておけば、限られた制作の枠を成果への影響が大きい修正から順に使えるようになります。

改修・差し替え依頼に必ず書く項目

  • 目的:何の指標をどう改善したいか
  • 根拠:判断のもとになったデータや検証結果
  • 影響範囲:連動して修正が必要な広告・LP・タグ
  • 希望公開日:広告とLPを切り替える日付
  • 承認者:公開を判断する統括役の名前

LP制作と広告運用をそもそも1社にまとめるべきか、分けて発注したまま続けるべきかの判断材料については、以下の記事で詳しく解説しています。

週次の進行と承認フローはテンプレート化します

複数代理店の進行管理は、曜日ごとにやることを固定した週次テンプレートで回すのが最も安定します。毎週同じリズムで報告と承認が回れば、統括役が個別に催促する手間がなくなり、代理店側も作業計画を立てやすくなります。

曜日やること担当承認ルール
月曜前週の共通KPIと各社の担当KPIを共有シートに記入各代理店・統括役承認不要(記入期限は正午)
火曜合同定例で課題と翌週の施策案を確認全代理店・統括役媒体をまたぐ施策はその場で統括役が可否を判断
水曜クリエイティブ・LP改修の依頼を締め切り各代理店依頼フォームに記録されたものだけを受け付け
木曜制作物の確認と公開承認統括役訴求変更は統括役の書面承認が必須
金曜承認済みの広告・LPを同時に公開各代理店・制作会社公開後に各社へ完了報告を共有
複数代理店を併用する場合の週次進行・承認ルールの例

承認は2段階に分ける

承認フローは、媒体内で完結する変更の「事後報告」と、他社に影響する変更の「事前承認」の2段階に分けます。すべての変更を事前承認にすると統括役がボトルネックになり、運用の速度が落ちます。反対にすべてを事後報告にすると、責任の空白が再び生まれます。

事前承認の対象は、訴求の変更、LPの公開、計測設定の変更、予算の大幅な増減に絞ると運用しやすくなります。承認の結果は必ず共有シートに残し、いつ誰が何を承認したかを後から確認できるようにしておきます。承認の記録は、成果が変動したときにどの変更が影響したかを振り返るための材料にもなります。急ぎの案件に備えて、統括役の不在時に承認を代行する人もあらかじめ決めておくと安心です。

合同定例の運営

週1回の合同定例は、全代理店が同じ場で数字と課題を共有するための場です。各社の個別定例だけでは、ある媒体の変更が他の媒体にどう影響したかが見えません。所要時間は30分程度に収め、共通KPIの推移、各社の担当KPI、他社への依頼事項の順に確認すると、議論が散らかりにくくなります。

競合関係にある代理店同士が同席することに抵抗がある場合は、数字の共有だけを合同で行い、施策の詳細は個別定例で扱う方法もあります。いずれの場合も、議事録と決定事項は統括役がまとめ、全社に同じ内容を配布することが重要です。定例のアジェンダ設計については、以下の記事で詳しく解説しています。

アカウント権限は広告主が所有し代理店ごとに最小限で付与します

複数代理店を併用する場合、広告アカウントは広告主が所有し、各代理店には担当業務に必要な最小限のアクセス権だけを付与するのが原則です。代理店が作成したアカウントで配信していると、契約終了時にデータや配信履歴を引き継げないリスクがあります。

Google広告のアクセス権とMCC

Google広告では、アカウントへのアクセス権として「メール専用」「読み取り専用」「標準」「管理者」「お支払いとご請求」が用意されています。Google 広告ヘルプ「Google 広告アカウントのアクセス権の概要」によると、アクセス権の付与・変更や招待の取り消し、MCCアカウントのリンク管理ができるのは管理者権限です。同ページには、管理者が1人しかいない場合のリスクについての注意書きもあり、広告主側で管理者を複数名確保しておくことが望まれます。

代理店は、複数の広告アカウントをまとめて管理するクライアントセンター(MCC)アカウントを通じてアクセスすることが一般的です。Google 広告ヘルプ「Google 広告 MCC アカウントについて」では、MCCにはリンクされたクライアントアカウントのオーナー権限が与えられ、ユーザーのアクセス権も管理できると説明されています。一方で、アカウントの管理者権限を持つユーザーはいつでもMCCとのリンクを解除できるとされているため、広告主側が管理者権限を手放さないことが統制の要になります。

Metaのパートナー権限

Meta広告では、ビジネスポートフォリオを通じて代理店にアクセスを渡します。Metaビジネスヘルプセンター「ビジネスポートフォリオでパートナーにビジネスアセットへのアクセス許可を付与する」という公式ガイドが用意されており、代理店を自社のビジネスポートフォリオのパートナーとして追加し、広告アカウントやページなどのアセットを共有する仕組みになっています。

この仕組みを使えば、アセットの所有者は広告主のままで、代理店ごとに共有するアセットを分けられます。SNS広告を担当する代理店にだけ広告アカウントとページを共有し、担当外の会社には共有しないといった形で、担当業務と権限の範囲をそろえておくことが大切です。具体的な権限の名称や画面の手順は更新されることがあるため、設定時には公式ヘルプで最新の情報を確認してください。

権限の管理で見落とされやすいのが、契約を終えた代理店のアクセス権です。併用体制では代理店の入れ替えが起きやすく、旧代理店の担当者が設定を閲覧・変更できる状態が残っていることがあります。代理店の追加や契約終了のたびに、Google広告とMetaの両方でアクセス権の一覧を確認し、不要な権限をその場で削除する運用を習慣にしておくと安全です。

権限付与のチェックポイント

  • 所有者:広告アカウントとビジネスポートフォリオは広告主名義で作成する
  • 管理者:広告主側で管理者を2名以上確保する
  • 最小権限:代理店には担当業務に必要な範囲だけを付与する
  • 棚卸し:四半期ごとに不要な権限を削除する

代理店の乗り換えや契約終了の際に、アカウントの所有権で揉めないための考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

併用体制を見直すべきサイン

責任分界表と週次ルールを整えても成果が改善しない場合は、併用体制そのものを見直すタイミングです。統括の仕組みはあくまで併用を機能させるための土台であり、代理店の数や分け方が事業の規模に合っていなければ、管理の負担が成果を上回ってしまいます。

統括の工数が成果に見合わなくなったとき

統括役が代理店間の調整に追われ、本来の戦略立案に時間を使えていない状態は、見直しの明確なサインです。広告費の規模に対して代理店の数が多すぎると、調整の工数だけが増え、各社に支払う手数料の割に成果が伸びません。月の調整工数と広告費のバランスを一度数字で確認してみることをおすすめします。

また、各社のレポートの合計と共通KPIの実数が何か月も乖離し続けている場合は、計測設計の段階に問題が残っている可能性があります。この状態のまま予算配分を続けると、成果の出ていない媒体に投資を続けることになりかねません。

第三者の目で全体を棚卸しする

併用している代理店はいずれも当事者であるため、自社の担当外の課題を指摘しにくい立場にあります。体制の見直しを検討するときは、現在のどの代理店にも属さない第三者にアカウント全体を診断してもらうと、責任の空白や重複計測を客観的に洗い出せます。

見直しの結果は、代理店を減らすことだけが答えではありません。媒体ごとの専門性が成果に直結している場合は、併用を続けたまま統括の仕組みだけを強化するほうが合理的です。反対に、調整の負担が大きく、各社の担当範囲も小さい場合は、関連の深い業務を1社に寄せることで運用の速度が上がることもあります。

どの業務を1社に寄せ、どの業務を分けたままにすべきかは、広告費の規模や社内の体制によって答えが変わります。判断に迷う場合は、株式会社ハーマンドットの無料相談で現在のアカウント構成と分担状況を確認したうえで、整理の方向性をご提案することも可能です。

まとめ 複数代理店の併用は統括設計で成果が決まる

広告代理店の併用は、各分野の専門性を活かせる一方で、責任の空白や成果の二重計上といった併用特有の問題を抱えやすい体制です。最後に、統括設計の要点を整理します。

  • 統括役と責任分界表で空白をなくす。広告主側に最終承認者を1人置き、作業ごとに実行・承認・相談・共有の担当を表で固定します。
  • KPIは共通と担当の2層で切る。共通KPIは広告主の一次データで1つに決め、担当KPIは各社が自分で動かせる指標に限定します。
  • 窓口と週次の承認ルールを固定する。クリエイティブ差し替えとLP改修は統括役経由に一本化し、広告とLPを同じ日に切り替えます。

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複数の代理店に業務を分けていると、各社のレポートは良く見えるのに、全体の問い合わせ件数が伸びないという状態に陥りがちです。原因の多くは、代理店ごとの運用の巧拙ではなく、媒体と媒体、広告とLPのすき間にあります。

株式会社ハーマンドットでは、検索広告やSNS広告のアカウント構成、計測設定、LPとの訴求の整合性を横断的に確認し、責任の空白や重複計測がどこにあるかを診断しています。現在の代理店との契約を続けたまま、第三者の立場で全体を点検したい場合にもご活用いただけます。

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