Google Ad Grantsの要件|参加資格と継続要件を分けて確認する無償広告枠の維持チェック

Google Ad Grantsは、条件を満たした非営利団体が月額最大10,000米ドル分の検索広告を無償で配信できるプログラムです。寄付やボランティアの募集に使える枠として知られていますが、申請が通ったあとも毎月守るべき要件があり、満たせない状態が続くとアカウントが一時停止されます。
検索すると解説記事は数多く見つかりますが、申請時の参加資格と、配信開始後の継続要件が混ざって説明されていることが少なくありません。古い記事に残る「上限クリック単価2ドル」のように、執筆時点の公式ヘルプでは確認できない記述がそのまま引用されているケースもあります。
この記事では、2026年11月4日時点で確認したGoogle公式ヘルプをもとに、団体の参加資格と配信後の継続要件を分けて整理します。あわせて、月次の点検手順と、無償の広告枠と運用業務の費用を区別する考え方も解説します。申請可否の最終判断はGoogleと審査パートナーが行うため、本記事は確認作業の手引きとしてご活用ください。
この記事の要点
- 要件は「申請時の参加資格」と「配信後の継続要件」の二層に分けて確認します
- 日本の対象は公益社団法人・公益財団法人・認定を受けたNPO法人・社会福祉法人・一般社団法人で、政府機関・病院・学校は対象外です
- 継続要件の中心はアカウント全体のCTR5%以上と、月1件以上のコンバージョン計測です
- 無償になるのは広告枠であり、キーワード設計や計測の整備にかかる作業は別途必要です
Google Ad Grantsの要件は参加資格と継続要件の二層で確認します
Google Ad Grantsの要件は、申請時に団体として満たすべき参加資格と、配信開始後にアカウントで守り続ける継続要件の二層に分かれます。前者は団体の法人区分やウェブサイトで判断され、後者は毎月の配信データで判断されるため、確認する担当者もタイミングも異なります。
Google Ad Grantsとは非営利団体向けの無償検索広告枠です
Google Ad Grantsとは、Google for Nonprofitsに参加する非営利団体に対して、Google検索に表示されるテキスト広告の配信枠を無償で提供するプログラムです。Google Ad Grants よくある質問では、提供額は1か月あたり最大10,000米ドルで、未使用分は翌月に繰り越されないと説明されています。
公式ヘルプの予算と入札についてによると、1日の予算はおよそ329米ドルが上限です。これは上限であって費用の保証ではないと明記されており、キーワードの検索量や広告の品質によっては枠を使い切れない月も出てきます。最大10,000米ドルは使える上限であり、受け取れる金額ではない点を最初に押さえておくと、成果の評価を誤りにくくなります。
通常の有料広告と前提が異なる点
Ad Grantsのアカウントは、通常のGoogle広告と同じ管理画面で操作しますが、配信面や入札方法、守るべき指標に独自の制約があります。有料広告の感覚でキーワードを広げたり、クリック数重視の入札を続けたりすると、継続要件に抵触しやすくなります。
主な違いを次の表に整理しました。執筆時点の公式ヘルプで確認できた内容に基づいており、提供範囲は今後変わる可能性があります。
| 観点 | Ad Grants | 通常のGoogle広告 |
|---|---|---|
| 広告費 | 月最大10,000米ドルを無償提供 | 広告主が全額負担 |
| 主な配信面 | Google検索のテキスト広告 | 検索・ディスプレイ・動画など |
| 入札戦略 | コンバージョンに基づく自動入札が原則 | 目的に応じて選択可能 |
| 成果の指標要件 | アカウント全体CTR5%以上など | 媒体側の最低基準なし |
| キーワードの制限 | 1語・一般的すぎる語・品質スコア1〜2は不可 | 広告ポリシーの範囲で自由 |
限られた有料予算をどう配分するかという観点の整理は、以下の記事もあわせてご覧ください。
申請前に確認する参加資格は法人区分・認証・ウェブサイトの三点です
申請前に確認すべき参加資格は、対象となる法人区分に当たるか、審査パートナーの認定を受けられるか、ウェブサイトがポリシーに適合しているかの三点です。どれか一つでも欠けると、Ad Grantsの有効化まで進めません。
日本で対象となる法人区分と対象外の団体
Google for Nonprofitsの資格に関するガイドラインでは、日本の対象として公益社団法人、公益認定等委員会により認定された公益財団法人、市町村または都道府県の認定を受けた特定非営利活動法人、市町村・都道府県・厚生労働省のいずれかから認可を受けた社会福祉法人、一般社団法人の五つが挙げられています。
一方で、政府事業体や政府機関、病院や医療団体、学校や大学は対象外です。ただし、医療団体に関連する慈善部門や財団法人、教育団体の慈善事業部門は対象になり得ると記載されています。一般社団法人の扱いについて「非営利型に限る」と説明する解説もありますが、公式ページの日本の欄は「一般社団法人」とだけ書かれているため、細かな区分は申請時の審査で確認する前提で準備するのが安全です。
Goodstackの認定と追加利用規約への同意
参加資格の確認は、Google for Nonprofitsの審査担当パートナーであるGoodstackが行います。団体は慈善団体として登録されていることに加え、Goodstackによって非営利団体として認定され、Google for Nonprofitsの追加利用規約に同意する必要があります。
認定に必要な書類の種類や審査日数は、国や団体の状況によって異なります。第三者の解説では登記事項証明書や定款を挙げるものもありますが、提出物は申請画面の案内に従うのが確実です。審査日数についても、本記事では公式の確定値を確認できなかったため、余裕を持った日程で準備することをおすすめします。
ウェブサイトポリシーで確認される点
公式ヘルプのウェブサイトに関するポリシーでは、広告のリンク先ドメインを団体が所有し、コンテンツや技術設定を管理できることが求められています。寄付ポータルなどの外部サービスやSNSのページへ自動的に転送する構成は認められていません。
さらに、ミッションと活動内容の明示、十分な量の独自コンテンツ、サイト全体のHTTPS化、モバイル対応、リンク切れのない導線などが挙げられています。営利活動が主目的に見えるサイトや、AdSenseなど第三者広告を多く掲載したサイトも問題とされるため、申請前にサイト全体を点検しておく必要があります。
リンク先や事業内容の確認で差し戻しを受けないための書類準備は、以下の記事もあわせてご覧ください。
配信後の継続要件はアカウント構成・成果・計測・キーワードの四領域です
配信開始後の継続要件は、アカウント構成、CTRなどの成果指標、コンバージョン計測と入札、キーワードの品質の四領域に分かれ、加えてプログラムアンケートへの回答が求められます。主な根拠はアカウント管理に関するポリシーとAd Grants ポリシー準拠ガイドです。
アカウント構成で求められる設定
アカウント管理に関するポリシーでは、団体の情報やサービスが役立つ地域に絞った地域ターゲティングと、固有のサイトリンクアセットを2つ以上設定することが求められています。地元向けのサービスを提供する団体は、活動する町や地域だけに広告を表示する必要があります。
ポリシー準拠ガイドでは、これに加えてキャンペーンごとに2つ以上の広告グループを作成することが必須とされています。アカウント管理に関するポリシーのページにはこの項目が見当たらないため、ページによって記載範囲が異なる状態です。運用上は、両方のページに書かれた条件をすべて満たしておくのが無難です。
CTR5%要件の判定方法
スマートアシストキャンペーン専用ではないアカウントは、毎月のクリック率を5%以上に保つ必要があります。この基準はアカウント全体に対するもので、キーワードごとに5%を達成する必要はありません。2か月連続で下回るとアカウントが一時的に停止されると明記されています。
公式ヘルプのクリック率を改善するヒントでは、表示回数が多くクリック率が低いキーワードから一時停止し、フィルタしたキーワードの合計行が5%以上になるまで続ける方法が案内されています。再開のリクエストが承認されるには、この合計値が5%以上である必要があるとされています。
コンバージョン計測と入札戦略
2019年4月22日以降に作成されたアカウントは、寄付やボランティア登録、問い合わせなど有意義なコンバージョンを少なくとも1種類設定し、1か月に1回以上獲得する必要があります。サイト滞在時間やトップページの閲覧のような指標は、コンバージョンから除外して「その他」に分類するよう求められています。
同じく2019年4月22日以降に作成されたアカウントでは、スマートアシストキャンペーンを除くすべてのキャンペーンで、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果のいずれかを使う必要があります。計測が壊れていると入札も要件も同時に崩れるため、コンバージョン計測は継続要件の土台と考えて点検してください。
キーワードで禁止されている三つの条件
公式ヘルプの非営利キャンペーンでは、1語のキーワード、一般的すぎるキーワード、品質スコアが1または2のキーワードの使用が禁止されています。1語のキーワードには、団体が所有するブランド名、一般的な病名、頭字語などの例外があります。
一般的すぎるキーワードとしては「電子書籍」「今日のニュース」のような意図が読み取れない語や、地名や人名などの単独使用が例示されています。違反が見つかったキーワードは予告なく一時停止され、変更履歴で確認できます。品質スコアが「—」と表示されるキーワードは対象外です。
プログラムアンケートへの回答
Ad Grantsでは、すべての参加団体に定期的なプログラムアンケートが送られ、正確かつ詳細に回答することが参加の条件になっています。アンケートに答えなかったことを理由にアカウントが無効化された例も、公式ヘルプで想定されています。
見落としの原因になりやすいのは、通知の受け取り先メールアドレスです。担当者の退職や異動でログイン用アドレスが確認されなくなると、アンケートやポリシー違反の通知に気づけません。団体の共有アドレスで通知を受け取れるよう設定しておくと安心です。
ここまでの内容を、申請から維持までの流れとして図にまとめました。続く確認表は、参加資格と継続要件を分けて担当者が埋められる形にしています。

| 区分 | 確認項目 | 公式の基準 | 確認する場所 | 頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 参加資格 | 法人区分 | 日本の対象5区分に該当し対象外団体でない | 登記・認定書類 | 申請前 |
| 参加資格 | 非営利団体の認定 | Goodstackの認定と追加利用規約への同意 | Google for Nonprofits | 申請時 |
| 参加資格 | ウェブサイト | 独自ドメイン・HTTPS・ミッション明示・外部転送なし | 自団体サイト | 申請前と改修時 |
| 継続要件 | アカウント構成 | 地域ターゲティング・サイトリンク2以上・広告グループ2以上 | キャンペーン設定 | 新設時と月1回 |
| 継続要件 | CTR | アカウント全体で毎月5%以上 | キーワードの合計行 | 週1回 |
| 継続要件 | コンバージョン | 有意義なCVを設定し月1件以上 | コンバージョン列 | 月初 |
| 継続要件 | 入札戦略 | CVに基づく自動入札4種のいずれか | キャンペーンの入札設定 | 変更時 |
| 継続要件 | キーワード | 1語・一般的すぎる語・品質スコア1〜2を使わない | キーワード一覧と変更履歴 | 週1回 |
| 継続要件 | アンケート | 定期アンケートに回答 | 通知先メール | 通知受信時 |
コンバージョンが計上されない原因をタグの側から切り分ける方法は、以下の記事もあわせてご覧ください。
月次の点検手順を決めておくと停止を防ぎやすくなります
継続要件による停止を防ぐには、月初と月中に見る項目を固定し、担当者が替わっても同じ手順で点検できるようにすることが有効です。CTRの基準は月単位で判定されるため、月末に気づいても挽回できる日数が限られます。
月初は前月の結果を確定させます
月初には、前月のアカウント全体のCTRとコンバージョン数を確認し、要件を満たしたかどうかを記録します。どちらかが基準を下回った月は「1か月目の未達」として記録し、翌月を確実に5%以上で終えることを最優先の目標にします。
あわせて、入札戦略が自動で変更されていないか、サイトリンクが不承認になっていないかも確認します。広告運用代行の現場では、こうした前月の状態確認を最初に行い、その月に手を入れる範囲を決めてから作業に入ります。
| 時期 | 作業 | 見る指標 | 基準を外れた時の対応 |
|---|---|---|---|
| 月初 | 前月の要件達成を記録 | アカウントCTR・CV数 | 未達月数を記録し翌月の改善を優先 |
| 月初 | 設定の変化を確認 | 入札戦略・サイトリンク | 要件に合う設定へ戻す |
| 毎週 | 低CTRキーワードの整理 | 表示回数とCTR | 表示が多くCTRが低い語を一時停止 |
| 毎週 | 検索語句の確認 | 意図に合わない語句 | 除外キーワードに追加 |
| 月中 | キーワード品質の確認 | 品質スコア・1語の語 | 該当語を一時停止し複数語へ修正 |
月中はキーワードと検索語句を整えます
月中は、表示回数が多くクリック率が低いキーワードを週1回のペースで見直します。ポリシー準拠ガイドでは、品質スコアが1または2のキーワードを自動で一時停止する自動化ルールの設定方法も紹介されているため、手作業の見落としを補う仕組みとして活用できます。
検索語句レポートで団体の活動と関係の薄い語句が見つかった場合は、除外キーワードに追加します。除外の追加はCTRを守る最も効果の出やすい作業ですが、登録したキーワードと重複すると広告が出なくなるため、追加前に一覧を照合してください。キーワード整理の作業範囲を決めたい場合は、現行アカウントの点検項目の洗い出しからご相談いただけます。
除外キーワードを増やしすぎて管理が破綻しないための運用ルールは、以下の記事もあわせてご覧ください。
停止された場合は原因を特定して直してから再開を依頼します
アカウントが停止された場合は、通知に書かれた原因となるポリシーを特定し、要件を満たす状態に直してから再開をリクエストします。原因を直さずに依頼しても承認されないため、修正内容を記録してから手続きに進むことが大切です。
停止の原因ごとの直し方
アカウント構成が原因の場合は、地域ターゲティングとサイトリンクを要件どおりに設定します。CTRが原因の場合は、低CTRのキーワードを一時停止して合計値を5%以上に戻します。コンバージョン計測が原因の場合は、有効な計測を設定し直し、入札が原因の場合はコンバージョンに基づく自動入札へ切り替えます。
入札が原因で停止された場合について、公式ヘルプはクリック数の最大化で初期データを集め、直近30日間のコンバージョンが15〜30件に達した段階でコンバージョン数の最大化などへ切り替える流れを示しています。ただし、同じページでは2019年4月22日以降のアカウントにコンバージョンに基づく入札を求めているため、クリック数の最大化は計測を整えるまでの一時的な手段と位置づけてください。
公式ページ間で記載がそろっていない点
執筆時点では、公式ヘルプのページによって記載範囲が異なる項目がありました。広告グループ2つ以上の要件はポリシー準拠ガイドにはありますが、アカウント管理に関するポリシーのページには見当たりません。品質スコアや1語キーワードの禁止は、非営利キャンペーンのページとポリシー準拠ガイドに記載されています。
また、古い解説記事で見かける上限クリック単価2米ドルの制限は、執筆時点の日本語ヘルプ「予算と入札について」では確認できませんでした。P-MAXなど検索広告以外のキャンペーンが使えるとする第三者の解説もありますが、本記事では公式ヘルプ上の記載を確認できていません。利用前にアカウント画面と最新の公式ヘルプで確かめてください。
執筆時点で確認できなかった事項
- Goodstackの認定にかかる日数と、日本の団体に求められる提出書類の確定版
- 一般社団法人が非営利型に限られるかどうかの公式な扱い
- 上限クリック単価2米ドルの制限が現在も適用されるかどうか
- P-MAXなど検索以外のキャンペーンの提供範囲
無償の広告枠と運用業務の費用は分けて考えます
Ad Grantsで無償になるのは広告の掲載費用であり、キーワード設計、計測の整備、月次点検といった運用業務は団体側で担うか、外部に依頼する必要があります。無償広告枠があるから運用作業も無料になるわけではない点を、理事会や予算担当と共有しておくと判断がぶれません。
団体内で担う場合の作業量の考え方
団体内で運用する場合は、前述の月次点検に加えて、ウェブサイトの更新やコンバージョン地点の追加など、サイト側の作業も発生します。担当者が一人だけだと、不在の月に点検が止まり、2か月連続の未達につながるおそれがあります。
そのため、点検表を共有フォルダに置き、副担当が同じ手順を再現できるようにしておくことが現実的です。作業時間の目安は団体の規模やキャンペーン数で大きく変わるため、最初の数か月の実績を記録してから体制を決める方法をおすすめします。
外部に運用を依頼する場合の確認事項
外部の事業者に運用を依頼する場合は、広告枠は無償でも業務委託費は発生し得ること、その費用を団体の会計上どう扱うかを事前に確認します。会計処理や税務上の扱いは、顧問の税理士など専門家に確認してください。
もう一つ注意したいのが支払い情報の扱いです。公式ヘルプの払い戻しでは、Ad Grants用のアカウントに誤って支払い情報を入力して発生した料金は返金できないと説明されています。Ad Grants用に通常の広告アカウントを自分で作成しないよう案内されている点も含め、委託先と権限設定を確認しておくと安心です。有料広告との併用や役割分担を検討する段階であれば、有料アカウントとの運用範囲の切り分けからご相談いただけます。
まとめ:参加資格と継続要件を分けて毎月点検しましょう
Google Ad Grantsは、非営利団体が検索広告を無償で活用できる制度ですが、申請時の参加資格と配信後の継続要件は別物として管理する必要があります。特にCTR5%と月1件以上のコンバージョンは毎月の数値で判定されるため、点検手順を決めて担当者間で共有しておくことが停止を防ぐ近道です。
- 参加資格は法人区分・Goodstackの認定・ウェブサイトポリシーの三点で確認する
- 継続要件はアカウント構成・CTR・計測と入札・キーワード・アンケートを月次で点検する
- 公式ページ間で記載に差がある項目は、厳しい側の条件に合わせて運用する
- 無償になるのは広告枠であり、運用業務の体制と費用は別に検討する
まずは無料で広告アカウント診断を
株式会社ハーマンドットでは、Google広告の設定状況や計測の状態を確認し、改善すべき点を整理する広告アカウント診断を行っています。Ad Grantsと有料広告を併用している団体や、コンバージョン計測の設定に不安がある場合の点検にもご活用いただけます。
なお、Ad Grantsの申請可否や参加資格の判断はGoogleと審査パートナーが行うもので、当社が承認を保証することはできません。そのうえで、計測と入札設定の見直しなど、運用面で確認できる範囲を具体的にお伝えします。
初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。



