LinkedIn Document Adsは 資料閲覧とリード獲得を同じ面でどう両立するか

BtoBのリード獲得で、ホワイトペーパーや導入事例を用意したものの、ダウンロード数が伸びないという相談は珍しくありません。多くの場合、資料そのものではなく、資料に到達するまでの導線に原因があります。広告をクリックし、ランディングページへ遷移し、フォームを入力して、ようやくPDFが手に入る。この間に離脱が積み上がります。

LinkedInのDocument Adsは、この構造を変えるフォーマットです。LinkedIn Marketing Solutionsの案内によれば、メンバーはフィード内でドキュメントを直接読み、ダウンロードできます。さらに、リード獲得フォームを付けてゲート化するか、付けずに自由に読ませるかを選べます。閲覧の深さとダウンロード数の両方を計測できる点も、この形式ならではの特徴です。

この記事では、ゲートを付けるべき場面と付けないほうがよい場面の判断、資料の種類ごとの使い分け、KPIをどこに置くか、そして既存のリード獲得施策とどう並べるかまでを、BtoB広告運用の現場で使っている基準に沿って整理します。フォーマットの仕様紹介ではなく、中間コンバージョンをどう設計するかという観点で書いています。

この記事の要点

  • Document Adsは、フィード内で資料を直接読ませられるLinkedInの広告フォーマット
  • ブランド認知・エンゲージメント・リード獲得という三つのキャンペーン目的で利用できる
  • リード獲得フォームでゲート化する形と、ゲートを付けず自由に読ませる形を選べる
  • どこまで読まれたかという閲覧の深さと、ダウンロード数の両方を指標として取得できる
  • ゲートの有無は資料の性質で決めるべきで、常にゲート化するのが最適とは限らない

Document Adsとは、フィード内で資料を読ませる広告フォーマットです

LinkedIn Document Adsとは、PDFなどのドキュメントをフィード上でそのまま閲覧・ダウンロードさせられる広告形式です。LinkedIn Marketing Solutionsでは、ドキュメントを使ってソートリーダーシップを示したり、大規模にリードを集めたりできる形式として案内されています。

この形式が生まれた背景には、フィード上での情報消費が定着したという変化があります。ユーザーは能動的に検索して資料を探すのではなく、流れてきた情報の中から自分に関係のあるものを拾います。この行動様式に合わせるなら、資料は取りに来てもらうものではなく、届けるものとして設計し直す必要があります。従来の資料請求という発想のままでは、この形式の利点を活かしきれません。

外部サイトへ送らないことの意味

通常の単一画像広告やテキスト広告は、クリック後に自社サイトへ遷移させます。この遷移の瞬間に、読み込み速度、ページ構成、フォームの長さといった複数の要因で離脱が発生します。広告のクリック率が高くても、最終的なコンバージョンに至る割合は大きく目減りします。

Document Adsはこの遷移を挟みません。ユーザーはフィードをスクロールしながら資料の中身に触れられます。読むという行為が広告接触の中で完結するため、興味の度合いを離脱率ではなく閲覧の深さで測れるようになります。これは他のフォーマットにはない情報です。

閲覧が広告内で完結することは、計測の面でも利点になります。外部サイトへ遷移させる形式では、遷移後の離脱が広告の問題なのかページの問題なのかを切り分けるのに手間がかかります。Document Adsでは、資料のどこで読むのをやめたかが直接見えるため、原因の所在が絞り込みやすくなります。

三つのキャンペーン目的で使える

LinkedIn公式の案内によれば、Document Adsはブランド認知、エンゲージメント、リード獲得という三つの目的で利用できます。同じフォーマットでありながら、ファネルのどの段階でも使えるという点が、運用設計上の柔軟性につながっています。

認知目的で使う場合は、業界の調査結果や視点を示す資料を広く読ませます。リード獲得目的で使う場合は、フォームを組み合わせて連絡先を取得します。同じ資料でも、目的の設定によって最適化される対象が変わるため、資料の性質と目的は揃えておく必要があります。

LinkedIn広告全体の設計とターゲティングの考え方は、以下の記事で整理しています。

ゲートの有無で取れるものが変わります

Document Adsの設計でいちばん重要な判断が、リード獲得フォームでゲート化するかどうかです。LinkedIn公式は、ゲートを付けない場合はコンテンツを自由に共有して認知とソートリーダーシップを構築でき、ゲートを付ける場合は質の高いリードを収集できる、と説明しています。

判断を難しくしているのは、ゲートの有無が単なる設定の切り替えに見える点です。実際には、集めたいものが認知なのか連絡先なのかという事業判断そのものであり、担当者の裁量だけで決めるべきものではありません。今期に何を増やしたいのかを踏まえて、上流で合意しておく必要があります。

ゲートなしで得られるもの

ゲートを外すと、当然ながら連絡先は取得できません。その代わりに得られるのは、より多くの人に読まれたという事実と、どこまで読まれたかというデータです。資料の内容がどの程度支持されているかを、連絡先を要求せずに検証できます。

この検証は、後の施策設計に効いてきます。読了率の高い資料をゲート化して展開すれば、成果は読めます。いきなりゲート化して数字が出ないとき、資料が悪いのか、ゲートが重いのかを切り分けられません。ゲートなしで先に資料の評価を取っておくと、この切り分けが可能になります。

加えて、ゲートなしの配信はリターゲティングの母集団づくりにも使えます。資料を最後まで読んだ人は、単に広告を見た人よりも関心が高いと判断できます。この層に対して次の資料や商談の案内を出すという二段構えにすれば、いきなりゲートを立てるより自然な流れを作れます。

ゲートありで得られるもの

ゲートを付ければ、閲覧に先立って連絡先を取得できます。LinkedInのリード獲得フォームはプロフィール情報が自動で入力されるため、自社サイトのフォームに比べて入力負荷が小さく、氏名や会社名の精度も高くなります。

一方で、ゲートは母数を減らします。読む前に情報を求められる以上、そこまでの関心がない層は離脱します。ゲート化はリードの質を上げる代わりに量を減らす選択であり、どちらが正しいかは事業段階によって変わります。認知が足りていない段階でゲートを固めると、そもそも母数が作れません。

観点ゲートなしゲートあり
主な目的認知獲得と資料内容の検証リード獲得
取得できる情報閲覧数と閲覧の深さ連絡先と閲覧・ダウンロード実績
到達する母数多い絞られる
向く資料調査結果、業界動向、考え方の提示導入事例、比較資料、実務ノウハウ
適した事業段階認知が不足している段階認知があり商談を増やしたい段階

資料の種類ごとに向き不向きがあります

同じドキュメント広告でも、載せる資料の性質によって成果は大きく変わります。手元にある資料をそのまま使うのではなく、この形式に向いた作りになっているかを先に確認する必要があります。

資料の作り直しにどこまで手をかけるかは、手元にある素材の性質によって変わります。すでに営業現場で使い込まれ、反応の良いページが分かっている資料であれば、その順序を入れ替えるだけで機能することもあります。逆に、会社紹介を主目的に作られた資料は、フィード向けには構成そのものが噛み合わないため、作り直しに近い工数がかかると見ておくべきです。着手前にこの見極めをしておくと、社内の期待値もずれません。

フィードで読まれる前提の構成にする

Document Adsで表示される資料は、フィード上でスワイプしながら読まれます。じっくり机に向かって読む前提の資料とは、求められる構成が違います。一枚目で何の資料かがわからなければ、そこでスクロールされて終わります。

実務的には、一枚目に結論を置き、以降で根拠を展開する構成が機能します。表紙に会社名とタイトルだけを置いた資料は、フィード上ではほぼ読み進められません。既存の営業資料を流用する場合は、この一枚目だけでも作り替える価値があります。

もうひとつ見落とされやすいのが、資料の分量です。ページ数が多いほど価値があるように思えますが、フィード上ではむしろ逆に働きます。読み切れないと判断された時点でスクロールされるため、要点を絞った短い資料のほうが最後まで読まれやすくなります。分量を増やすかどうかは、読了率を見ながら判断します。

資料の種類と使いどころ

調査データや業界動向をまとめた資料は、ゲートなしで広く読ませるのに向いています。自社の宣伝色が薄いほど拡散されやすく、企業としての信頼構築に寄与します。この段階で連絡先を取ろうとすると、拡散の力を自ら削ぐことになります。

一方で、導入事例や製品比較、具体的な実務手順をまとめた資料は、ゲート化に向いています。これらを読みたい層は、すでに課題を認識して比較検討に入っている可能性が高く、連絡先の入力に対する抵抗も相対的に小さくなります。

資料を用意する際の確認項目

  • 一枚目だけで「誰の何の課題を扱う資料か」が伝わるか
  • スマートフォンの画面幅で文字が判読できる大きさか
  • 途中で読むのをやめても価値が伝わる順序になっているか
  • 自社の宣伝が中盤以降に配置され、冒頭で押し出されていないか
  • ゲート化する場合、フォーム入力に見合う情報量があるか

KPIをダウンロード数だけに置かない

Document Adsの評価をダウンロード数だけで行うと、判断を誤ります。LinkedIn公式が示しているとおり、この形式ではドキュメントがどの程度読まれたかという指標も取得できます。この二つを併せて見ることで、初めて資料と配信の良し悪しを切り分けられます。

この指標は、広告以外の場面にも転用できます。どのページで読者が離脱したかがわかれば、営業資料の改善にも、ウェブサイトのコンテンツ設計にも活かせます。広告予算で得たデータが他の施策の材料になるという点は、費用対効果を評価するときに見落とされがちな価値です。社内で共有する仕組みを作っておくと、投資の意味づけがしやすくなります。

閲覧の深さは資料の評価指標になる

閲覧の深さは、資料そのものの質を映します。多くの人が最初の数ページで離脱しているなら、資料の構成か訴求に問題があります。逆に最後まで読まれているなら、資料は機能しており、課題は配信側かゲートの設計にあると絞り込めます。

ダウンロード数が少ないという事実だけでは、原因がどこにあるかわかりません。閲覧の深さを併せて見ることで、資料を直すべきか、ターゲティングを直すべきかの判断がつきます。この切り分けができるのが、このフォーマットの実務上の価値です。

指標を見る際は、キャンペーン単位の平均だけでなく、資料ごとの内訳で確認します。複数の資料を同時に配信していると、平均値では良く見えても、一つが極端に足を引っ張っているというケースがあります。資料単位で分解すると、差し替えるべき対象がはっきりします。

後工程の指標まで追う

リード獲得目的で運用する場合、獲得件数だけでなく、その後の商談化率まで追う必要があります。ゲートを緩めれば件数は増えますが、情報収集段階の層が増えるため商談化率は下がります。どこで折り合いをつけるかは、営業側の処理能力によって決まります。

営業がフォローしきれない量のリードを集めても、事業成果にはつながりません。獲得件数の目標は、営業側が対応できる件数から逆算して設定するのが現実的です。この前提を営業部門と共有しないまま件数だけを追うと、リードが放置される状態を生みます。

取得したリードを自社のCRMへ連携する方法は、以下の記事で扱っています。

既存のリード獲得施策とどう並べるか

Document Adsは単独で完結する施策ではなく、既存のリード獲得の流れに組み込んで使うものです。どの位置に置くかを決めておかないと、既存施策と食い合って全体の効率が落ちます。

この位置づけを社内で共有しておかないと、資料ダウンロード数が問い合わせ数と同列に評価され、実態より成果が大きく見えます。中間指標はあくまで通過点であり、最終的な商談数と接続して初めて意味を持ちます。レポートの構成も、中間と最終を並べて見せる形にしておくと誤解が生じにくくなります。

中間コンバージョンとして位置づける

問い合わせや商談申し込みを最終コンバージョンとするなら、資料の閲覧やダウンロードはその手前の中間地点です。いきなり商談に至る層は限られるため、中間地点を用意して段階的に関係を作る、という設計になります。

ここで注意したいのが、最終コンバージョンを狙う配信と中間コンバージョンを狙う配信を同じキャンペーンに混ぜないことです。最適化の目標が異なる配信を同居させると、獲得しやすい中間コンバージョンに予算が偏ります。キャンペーンは目的ごとに分けて管理します。

接触設計を考える際は、ダウンロードから商談までに何回、どのくらいの間隔で接触するかを具体的に決めておきます。検討期間が数ヶ月に及ぶ商材で、獲得直後に一度だけ営業が架電して終わりという運用では、多くの機会を取りこぼします。すぐに商談化しなかったリードを、どのリストに移してどう扱うかまで決めておくのが実務です。

既存のホワイトペーパー施策と役割を分ける

すでに自社サイトでホワイトペーパーのダウンロードフォームを運用している場合、Document Adsとの役割分担を決める必要があります。両方で同じ資料を配ると、指標が分散して評価しづらくなるうえ、同じ人が両方から流入して重複リードが増えます。

自社サイト側は検索から来た能動的な層、Document Adsはフィードで偶発的に出会う層、と入口を分けて考えるのが整理しやすい形です。役割を分ければ、資料の内容や訴求も自然と変わってきます。同じ資料を使い回すのではなく、入口に合わせて作り分けるほうが機能します。

キャンペーンを分けることには、レポート上の利点もあります。目的ごとに分かれていれば、どの段階にどれだけ予算を使い、何を得ているかが一目で追えます。混在させたまま運用すると、後から内訳を分解する作業に無駄な時間がかかります。

取得後の接触設計まで含めて考える

資料をダウンロードした人が、その直後に商談を希望することは稀です。多くは情報収集の段階にあり、検討が進むまでに時間がかかります。この期間にどう接触を維持するかまで設計しておかないと、獲得したリードは単なるリストで終わります。

メールでの継続的な情報提供、関連資料の案内、あるいはリターゲティング配信といった手段を、獲得の時点で決めておきます。獲得だけを外部に任せ、その後の設計が社内で用意されていないと、費用対効果は測れません。

配信設計で押さえるべき点

フォーマットの特性を理解したうえで、実際の配信設定をどう組むかを決めていきます。ターゲティングの精度がそのまま成果に直結する媒体なので、ここに時間をかける価値があります。

配信面についても、フィードに表示される前提でクリエイティブを設計します。デスクトップでの閲覧を想定した細かい図表は、スマートフォンでは読めません。実際に自分のフィードで表示させて確認するという当たり前の工程を、入稿前に必ず挟んでおきます。

ターゲティングは職種と役職から組む

LinkedInの強みは、勤務先や職種、役職といった情報の精度です。BtoBにおいては、この情報を使って意思決定に関わる層に直接届けられることが最大の利点になります。業種だけで絞ると母集団が広くなりすぎ、資料の訴求と噛み合わなくなります。

ただし絞りすぎると配信量が確保できず、学習も進みません。最初は少し広めに設定し、閲覧の深さが高い属性を見てから絞り込むほうが、結果的に早く最適化できます。初期段階での過度な絞り込みは、判断材料そのものを失わせます。

役職での絞り込みには注意点もあります。役職の情報は本人の申告に基づくため、実際の決裁権限と一致しないことがあります。役職だけを厳格に絞るより、職種や関心領域と組み合わせて幅を持たせるほうが、実務上は安定した成果につながります。

同じ資料を長く回しすぎない

BtoBのターゲティングは母集団が限られるため、同じ資料を長期間配信すると同一ユーザーへの接触回数が過剰になります。反応率は徐々に落ち、単価は上がっていきます。資料の差し替え計画を最初から持っておく必要があります。

差し替えの頻度は配信規模によりますが、反応率の低下が見え始めた時点で切り替えるのが基本です。複数の資料を用意しておき、順に投入していく運用にすると、都度制作する場合よりも切れ目なく回せます。

運用開始前に決めておく項目

  • キャンペーン目的を認知・エンゲージメント・リード獲得のどれに置くか
  • ゲートの有無と、その判断根拠となる資料の性質
  • 閲覧の深さとダウンロード数、それぞれの目標水準
  • 獲得したリードを誰がいつフォローするかという社内の役割分担
  • 資料の差し替えタイミングと、次に投入する資料の準備状況

成果が出ないときの切り分け

Document Adsで期待した成果が出ないとき、闇雲に入札や予算を触る前に、どこで詰まっているかを順に確認します。取得できる指標が二層あるため、他のフォーマットより切り分けはしやすくなっています。

切り分けの前に確認しておきたいのが、配信自体が意図した設定で動いているかどうかです。予算の消化が想定より極端に少ない、あるいは特定の配信面に偏っているといった状態であれば、それは資料やクリエイティブ以前の問題です。設定の確認を飛ばして中身の議論に入ると、原因の特定が遠回りになります。

まず表示と閲覧の関係を見る

表示はされているのに閲覧に至っていないなら、広告の一枚目か本文コピーに問題があります。フィード上で目に入った瞬間に、自分に関係のある資料だと認識されていない状態です。ここはクリエイティブの改善で対処します。

閲覧は始まっているのに途中で離脱しているなら、資料の中身が期待と合っていません。広告コピーで示した内容と資料の中身がずれていると、この形の離脱が起きます。コピーと資料を並べて、約束したことが冒頭で果たされているかを確認します。

この段階の判断で重要なのは、指標を単独で見ないことです。表示回数、閲覧開始率、読了率、獲得率という順に並べて、どこで数字が大きく落ちているかを見るのが最も速い切り分け方です。落差の最も大きい箇所が、最初に手を入れるべき場所になります。

最後まで読まれているのに獲得できない場合

閲覧の深さは十分なのにリードが取れていないなら、原因はゲートの設計にあります。フォームの項目が多すぎる、あるいは資料の価値に対して要求する情報が重い、という状態です。項目を減らすか、ゲートを外して認知目的に切り替えるかを検討します。

もうひとつの可能性が、ターゲティングのずれです。読まれてはいるが、意思決定に関わらない層が読んでいるというケースです。この場合、リードの質を見ればすぐにわかります。職種や役職の分布を確認し、想定と違うなら配信設定側を見直します。

判断は一定の配信量が溜まってから行う

BtoBのターゲティングは母集団が限られるため、配信開始直後は数字が安定しません。数日の実績で資料を差し替えたり、ターゲティングを絞り直したりすると、何が原因だったのかがわからなくなります。まずは判断に足る量が溜まるまで待つ必要があります。

変更を入れるのは一度に一箇所までにし、次の変更まで一定期間を空けるのが鉄則です。資料とターゲティングを同時に変えると、改善しても悪化しても理由を説明できません。変更履歴を日付つきで残しておくと、後からの検証が格段に楽になります。

症状推定される原因最初に試すこと
表示はあるが閲覧されない一枚目と本文コピーの訴求不足一枚目に結論を置く形へ差し替える
閲覧が序盤で止まる広告コピーと資料内容のずれ冒頭で約束を果たす構成に修正する
読了するがリードが取れないフォーム項目が重い入力項目を絞る、またはゲートを外す
リードは取れるが商談化しないターゲティングのずれ職種・役職の分布を確認し設定を修正
徐々に単価が上がる同一ユーザーへの接触過多資料を差し替える、母集団を広げる

内製と代理店の線引きはどこに引くべきか

Document Adsの運用は、資料の制作と広告の配信設計という二つの要素で成り立ちます。この二つは求められる能力が違うため、どちらを社内に置くかを決めておく必要があります。

この分担を決めずに走り出すと、資料の完成を待って広告の開始が遅れ続けるという事態になりがちです。誰がいつまでに何を出すのかを、広告の配信開始日から逆算して決めておきます。素材のヒアリングを外部が担う場合でも、社内側に一次情報を出す担当者を明示しておかないと、打ち合わせが情報のない状態で空転します。

資料の中身は社内が持つ

資料に書く内容そのものは、外部には作れません。自社の導入事例、現場で得た知見、業界に対する見解は、社内にしか存在しない一次情報です。ここを外部に丸投げすると、どこにでもある一般論の資料になり、読了率も商談化率も上がりません。

一次情報を持っているかどうかが、この施策の成否を分けます。構成やデザインは外部の力を借りられますが、中身の素材は社内から出す前提で計画を立てるべきです。

もっとも、社内に一次情報があっても、それを資料として構成する作業まで社内で抱える必要はありません。素材の提供までを社内が担い、構成と表現を外部が整えるという分担であれば、現場の負荷を抑えつつ内容の独自性は保てます。どこまでを社内でやるかは、リソースの実情に合わせて決めます。

配信設計と検証は外部が早い

一方で、キャンペーンをどう分けるか、ターゲティングをどこから始めるか、指標が想定と違うときにどこを疑うかといった判断は、複数アカウントでの経験がそのまま効きます。自社だけで手探りすると、その学習コストを広告費で支払うことになります。

ハーマンドットでは、資料の構成に対する助言から配信設計、獲得後の指標追跡までを一体で見ています。獲得件数の報告で終わらせず、閲覧の深さや商談化率まで含めて次の打ち手を組み立てます。広告と資料を別々の担当に分けると、成果が出ないときに原因を特定できなくなります。

BtoBのリード獲得全体の設計は、以下の記事で扱っています。

他の媒体と比べてどこに位置づけるか

Document Adsを検討する際によく出るのが、他の媒体でも資料ダウンロードは獲得できるのに、なぜLinkedInを使うのかという問いです。答えは獲得単価の安さではなく、どの層に届くかという一点にあります。

もうひとつ考慮すべきなのが、獲得の再現性です。特定の媒体で一時的に安く取れたとしても、その条件が続くとは限りません。競合の参入や配信面の変化で単価は動きます。複数の入口を持っておくこと自体が、事業としてのリスク分散になります。単価の比較だけで媒体を一本に絞る判断は、短期的には合理的でも中期では脆くなります。

単価ではなく到達する層で比べる

資料ダウンロードの獲得単価だけを比較すると、他の媒体のほうが安く出ることは十分にあり得ます。ただし安く取れたリードが意思決定に関われない層であれば、商談化の段階で差が出ます。単価で比較する議論は、リードの中身を揃えて初めて成立します。

比較すべきは獲得単価ではなく、商談化まで進んだ一件あたりの費用です。この基準に置き換えると、単価の高い媒体のほうが結果的に安いという逆転がしばしば起こります。社内で媒体を比較する際は、最初にこの指標を揃えておくと議論が噛み合います。

この比較を行う前提として、商談化まで追跡できる状態になっている必要があります。獲得したリードがどの媒体経由で、その後どうなったかを紐付けられていなければ、そもそも比較ができません。媒体を増やす前に、この紐付けを整備しておくほうが優先度は高くなります。

比較の議論でしばしば混乱を生むのが、対象とする市場規模の違いです。そもそも狙う職種や業種の母集団が小さい商材では、どの媒体を使っても獲得できる上限は決まっています。上限に近づいたときに単価が上がるのは自然な現象であり、媒体の劣化ではありません。この前提を共有しておかないと、成果が頭打ちになった局面で誤った撤退判断につながります。

役割を分けて併用する

現実的には、どちらか一方に寄せるのではなく役割を分けて併用するのが多くの場合の最適解です。幅広く母数を作る媒体と、意思決定層に絞って深く届ける媒体を、ファネルの段階に応じて使い分けます。

その際、各媒体の目標を同じ指標で管理しないことが重要です。母数を作る媒体に商談化率を求めても達成できませんし、意思決定層向けの媒体に件数を求めても無理があります。媒体ごとに役割と評価指標を定義しておくと、無用な削減判断を避けられます。

予算規模と最低出稿量の考え方

LinkedIn広告は他の媒体と比べて単価が高くなりやすいため、予算規模の設計が成果を左右します。少額で試して結論を出そうとすると、判断材料が集まる前に予算が尽きるという結果になりがちです。

必要量の見積もりが難しい場合は、まず小さく配信して表示単価と閲覧率の実測値を取り、そこから逆算する方法があります。この初期の数日分は結論を出すための配信ではなく、必要予算を見積もるための計測と位置づけます。見積もりの根拠を持たないまま予算を決めるより、はるかに納得感のある計画になります。

検証に必要な量から逆算する

判断に足るデータを得るには、一定の表示回数と閲覧数が必要です。この必要量から逆算して、検証期間中に確保すべき予算を決めます。月額の上限から配分を決める順番だと、どの施策も検証に届かない中途半端な量になります。

複数の施策に薄く配分するより、一つに絞って検証可能な量を投下するほうが学びは大きくなります。得られた知見を次の施策に活かせば、結果的に全体の効率は上がります。同時に試したくなる気持ちは理解できますが、母集団の限られる媒体では特に不利に働きます。

あわせて、検証期間中に得たい情報を先にリスト化しておくと判断が早くなります。どの職種が最も読了率が高いか、どの資料が反応を取れるか、ゲートの有無で獲得数がどう変わるか。知りたいことが決まっていれば、必要な配信設計も自然に決まります。何となく始めて後から分析しようとすると、比較可能な形でデータが残りません。

初期は学習のための投資と位置づける

配信開始直後は、どの属性が反応するか、どの資料が読まれるかがわかっていない状態です。この期間の獲得単価は、定常運用時より高くなるのが普通です。ここを失敗と評価してしまうと、改善の入口で撤退することになります。

あらかじめ検証期間を区切り、その期間は単価ではなく得られた知見で評価する、と社内で合意しておきます。いつまでに何がわかっていれば継続と判断するのかを、開始前に決めておくべきです。基準がないまま始めると、数字の良し悪しだけで議論が振れます。

まとめ:資料の評価と獲得を分けて設計する

Document Adsは、フィード内で資料を読ませ、閲覧の深さとダウンロード数の両方を取得できるフォーマットです。ゲートの有無を選べるため、認知の獲得とリードの獲得を同じ形式で使い分けられます。この柔軟性をどう使うかが、成果を分けます。

まずゲートなしで資料の評価を取り、読まれる資料が確認できてからゲート化する進め方が、遠回りに見えて確実です。いきなりゲートを固めると、資料が悪いのか導線が悪いのかを切り分けられないまま予算を消化することになります。

あわせて意識しておきたいのが、資料が資産として蓄積されるという点です。一度作った資料は差し替えながら長く使えるため、初期の制作コストは配信量が増えるほど回収しやすくなります。単発のクリエイティブと違い、内容が古くなるまで使い続けられる点は、この施策を評価するうえで無視できない要素です。

  • ゲートの有無は資料の性質で決める。調査系はゲートなし、事例や比較資料はゲートありが基本
  • 評価はダウンロード数だけでなく、閲覧の深さと併せて見て資料と配信を切り分ける
  • 獲得件数の目標は、営業側がフォローできる件数から逆算して設定する

役員や社員の発信を広告に接続する手法は、以下の記事で解説しています。

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自社にDocument Adsが向くかどうかは、手元にある資料の内容と、リード獲得の現在地によって変わります。資料が揃っていない段階であれば、まず何を作るべきかから整理したほうが早いこともあります。

ハーマンドットでは、既存の資料と広告アカウントの状況をあわせて確認し、優先順位をつけたうえで進め方をご提案しています。出稿ありきの提案ではなく、今は別の施策を優先すべきケースはそのようにお伝えします。まずは現状の整理から始めていただければと思います。

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