探偵事務所のリスティング広告は浮気調査と企業調査を同じ無料相談で受けない

探偵事務所の検索広告は、他のローカルビジネスと同じ感覚で組むと必ず途中で行き詰まります。理由は単純で、同じ「探偵に相談したい人」であっても、配偶者の浮気を疑って夜中に検索している個人と、取引先の実態を確認したい法人の総務担当者とでは、求めている情報も、意思決定のスピードも、支払える金額もまったく違うからです。ところが多くの事務所のアカウントでは、この二つが同じキーワード群、同じランディングページ、同じ「無料相談フォーム」に流れ込んでいます。
その結果として起きるのが、相談件数は増えているのに受任が伸びない、という状態です。フォームには「相談したい」とだけ書かれた匿名の問い合わせが積み上がり、折り返しても連絡がつかず、つながっても料金感が合わずに終わる。広告管理画面のコンバージョン数は右肩上がりなのに、現場の実感としては忙しくなっただけ、という乖離が生まれます。これは広告の運用力の問題というより、相談を分岐させる設計が最初から入っていないことによる構造的な問題です。
本記事では、2026年8月時点で公開されている業界データと、警視庁が公表する探偵業法の一次情報を突き合わせながら、浮気調査と企業調査を同じ無料相談で受けないための広告設計を具体的に整理します。キーワードの分け方、ランディングページとフォーム項目の分岐、電話CVの計測、探偵業法にもとづく信頼表示の扱い、そして少額予算でも案件の質を上げる配信の順番まで、実際にアカウントへ落とせる粒度で解説します。
この記事の要点
- 浮気調査と企業調査は検索意図・単価・意思決定者がすべて異なるため、キーワード群・LP・フォーム項目・受付体制を分けるのが前提になる
- 「無料相談」ひとつに集約したフォームは、相談種別が特定できないリードを量産し、折り返し工数と失注率を同時に押し上げる
- 浮気調査領域の顧客は匿名性を重視するため電話が主導線になりやすく、コールトラッキングの実装がないと広告評価そのものが成立しない
- 探偵業法は届出制で、2024年4月施行の改正により標識の掲示方法が変更された。信頼表示は広告審査とLPのCVR双方に効く
- 少額予算では、地域・時間帯・キーワードの温度で削り、単価の高い相談から先に取りに行く配分が現実的
探偵事務所の検索広告が難しい理由
探偵事務所の検索広告が難しいのは、クリック単価の高さ・相談の質のばらつき・表現規制という三つの負荷が同時にかかるからです。どれか一つだけなら運用の工夫で吸収できますが、三つが重なると「予算を増やすほど質の低い相談が増える」という悪循環に入りやすくなります。まずはこの構造を正確に把握しておくことが、アカウント設計の出発点になります。
クリック単価が高止まりする構造
探偵業界は、運用型広告のなかでもクリック単価が高い領域に分類されます。複数の業界メディアが公開している数値を2026年8月時点で確認すると、「浮気調査」「不倫調査」「素行調査」といった主要キーワードの平均クリック単価はおおむね600〜2,500円のレンジに収まります。一方で、ある広告代理店が公開しているGoogle広告のシミュレーションでは、「探偵事務所」を含む一般語中心の構成で平均クリック単価が約460円、月30万円の予算で問い合わせ約20件、獲得単価は約15,000円という試算が示されています。同じ業界でも、狙うキーワードの温度によって単価が5倍近く変わるということです。
この差が生まれる理由は、指名検索や一般語には情報収集目的のクリックが多く含まれるのに対し、「浮気調査 即日」「探偵 相談 無料」のような語には、いままさに依頼を検討している人が集中するためです。つまりクリック単価の高さは、そのまま案件化率の高さと表裏一体であり、単価が安いキーワードに逃げると相談は増えても受任には遠のきます。単価そのものを下げにいくのではなく、単価に見合うだけの相談価値を回収できる導線を作るという発想に切り替える必要があります。
また、探偵業は届出事業者が全国で7,000件規模とされ、地域によっては十数社が同じ検索結果で競合します。上位表示の枠が限られているため、入札を降りた瞬間に露出がゼロになりやすいのも特徴です。予算を絞る場合でも、配信をまんべんなく薄めるのではなく、勝てる地域と時間帯に集中させるほうが結果的に安定します。
相談は増えても受任につながらない
探偵事務所の広告でもっとも多い失敗は、コンバージョン数の増加と売上の増加が連動しない状態です。業界記事が示すランディングページのコンバージョン率はおおむね1〜3%とされていますが、この数値には「無料相談を押しただけ」の問い合わせが大量に含まれています。実際に見積もりまで進み、契約に至る割合は、相談の中身によって大きく変わります。
浮気調査であれば、すでに調査対象の行動パターンを把握していて日程まで決められる相談と、まだ疑い始めたばかりで料金を知りたいだけの相談とでは、受任確率が数倍単位で違います。企業調査であれば、稟議の予算枠が確保されている相談かどうかがすべてを分けます。にもかかわらず、フォームには「お名前・電話番号・相談内容(自由記述)」しかなく、この差を受け取る前に判別する術がない、という事務所が非常に多いのが実情です。
ここで重要なのは、質の低い相談を減らすことではなく、相談を受け取った瞬間に温度を判別できる情報を一緒に受け取る設計にすることです。相談件数そのものは減らさずに、返す順番と返し方を変えるだけでも受任率は動きます。広告側でやるべきことは、その判別材料が自然に集まる導線を作ることに尽きます。
審査と表現規制が同時にかかる
探偵業の広告は、Google広告・Yahoo!広告ともに審査が厳しい領域です。「絶対に証拠を掴む」「成功率100%」といった断定表現や、不安を過度に煽る表現は、審査で不承認になるだけでなく、承認された場合でも後から配信停止のリスクを抱えます。探偵業務は法律上、特別な調査権限が認められているわけではないため、成果を保証するような表現は事実としても正確ではありません。
この制約は一見すると不利ですが、逆に言えば表現で差をつけられない分、導線設計と信頼表示で差がつく市場でもあります。実際、上位表示されている事務所の広告文を見ると、訴求の中身は「相談無料」「秘密厳守」「女性相談員在籍」「24時間受付」といった、ほぼ同じ要素の組み合わせに収束しています。差が出るのはクリックした後、つまりランディングページと受付の体験です。広告文で勝負がつかない業界だからこそ、着地後の設計に投資したほうが投資対効果は高くなります。
浮気調査と企業調査で検索意図はどう違うか
浮気調査と企業調査は、検索意図の構造が根本から異なります。前者は個人が感情の高まりのなかで即時に動く相談であり、後者は法人が組織の意思決定プロセスに乗せて進める相談です。この違いは、検索する時間帯、閲覧するデバイス、比較する情報、そして問い合わせの手段にまで一貫して現れます。同じアカウントで扱う場合でも、キャンペーンを分けないと双方の成果が同時に劣化します。
浮気調査は感情主導で即時性が高い
浮気調査の検索は、夜間から深夜にかけてスマートフォンから発生する割合が高いのが特徴です。配偶者やパートナーの帰宅が遅い日、スマートフォンにロックがかかった日など、具体的な出来事をきっかけに検索が始まります。そのため、検索語も「浮気 調査 費用」「探偵 相談 無料 深夜」「浮気調査 バレない」といった、不安と即時性が混じった構成になります。
この層に対して、ランディングページで長い会社概要や調査手法の解説を読ませようとすると、離脱が急増します。必要なのは、いま相談できるかどうか、いくらかかるのか、家族や職場に知られずに済むのか、という三点への即答です。とくに匿名のまま相談を始められるかどうかは、この層の離脱率を大きく左右する要素で、氏名や住所を最初に求めるフォームは実質的に壁になります。
また、この層は比較検討を並行して行う傾向が強く、複数の事務所に同時に問い合わせることも珍しくありません。折り返しの速さがそのまま受任確率に直結するため、広告の配信時間帯と受付体制が噛み合っていないと、支払ったクリック単価が競合への送客費用になってしまいます。深夜帯に配信するなら、深夜に一次受けできる体制をセットで用意する必要があります。
企業調査は稟議主導で比較検討が長い
企業調査や信用調査の検索は、平日の日中にデスクトップから発生します。検索する人は総務・法務・人事の担当者であることが多く、本人が決裁者であるケースは多くありません。そのため検索語も「企業調査 探偵 費用」「反社チェック 調査会社」「採用 バックグラウンド調査」といった、業務要件を満たす発注先を探す語になります。
この層が求めるのは、共感でも即時性でもなく、社内で説明できる材料です。調査項目の一覧、報告書のサンプル、料金の内訳、守秘義務の取り扱い、法人契約の可否、請求書払いへの対応といった、稟議に添付できる情報が揃っているかどうかが判断基準になります。浮気調査向けに最適化された「秘密厳守・24時間対応」のLPをそのまま見せても、この層はほぼ確実に離脱します。
一方で、企業調査は一件あたりの単価が高く、継続取引に発展しやすいという利点があります。件数は浮気調査に比べて圧倒的に少ないものの、年間の粗利で見ると法人案件が事務所の利益構造を支えているケースは珍しくありません。件数ベースでキャンペーンの良し悪しを判断すると、この構造を見落とします。
人探し・所在調査は中間に位置する
人探しや所在調査は、個人依頼と法人依頼の両方が混在する領域です。行方不明になった家族を探す個人の相談もあれば、債権回収の前提として所在を確認したい法人の相談もあります。検索意図としては浮気調査ほど感情的ではなく、企業調査ほど手続き的でもない、中間的な位置づけになります。
この領域は競合が浮気調査ほど密集していないため、クリック単価が比較的落ち着きやすいという特徴があります。ただし、依頼内容によっては調査の難易度と期間が読みにくく、見積もりの提示までに時間がかかります。広告側では、初回相談で聞くべき情報をフォームであらかじめ集めておくことで、見積もりまでのリードタイムを短縮できます。
三つの領域を並べて見ると、事務所が本当に取りにいくべき相談がどこにあるのかも見えてきます。浮気調査は件数が最も多い一方で競合が最も激しく、企業調査は件数が少ない代わりに単価と継続性で優れています。人探し・所在調査はその中間で、競合密度に対して需要が比較的安定しているため、少額予算で最初に足場を作る領域としては扱いやすい選択肢になります。自社の調査体制で無理なく回せる領域から優先的に露出を取るという判断が、限られた予算では最も効きます。
下表は、相談種別ごとの検索意図と広告設計上の分岐点を整理したものです。クリック単価の目安は、業界各社が公開している600〜2,500円のレンジと、公開シミュレーションの平均約460円という実測値を、相談種別に割り付けた参考値です。実際の入札状況や地域によって変動するため、初期設計の当たりをつけるための目安として扱ってください。

| 相談種別 | 主な検索時間帯・デバイス | CPC目安 | 主導線 | フォームで必要な項目 |
|---|---|---|---|---|
| 浮気・不倫調査 | 平日夜〜深夜/スマホ | 〜2,500円 | 電話・チャット | 相談時間帯、連絡可否、対象の行動把握度 |
| 素行・行動調査 | 夜間/スマホ中心 | 〜1,800円 | 電話・フォーム | 調査目的、希望日程、対象エリア |
| 人探し・所在調査 | 日中〜夜/混在 | 〜1,200円 | フォーム | 最後の接触時期、手がかりの有無 |
| 企業・信用調査 | 平日日中/PC | 〜900円 | フォーム・メール | 会社名、部署、調査目的、予算枠、決裁時期 |
| 地域名+探偵(比較検討) | 終日/スマホ | 〜500円 | 電話 | 相談種別の選択のみ |
相談種別を分けたあとに必ず発生するのが、着地したページで離脱が起きていないかという検証です。分岐を作っただけで検証を怠ると、どの相談種別のページが機能していないのか判別できないまま予算だけが消えていきます。着地後の検証手順は以下の記事で詳しく整理しています。
無料相談フォームを1つにまとめると起きる問題
無料相談フォームの一本化は、探偵事務所のリード品質を最も直接的に壊す要因です。フォームを分けると入力率が下がるという懸念から統合されることが多いのですが、実際に失われているのは入力数ではなく、受け取った後に営業判断を下すための情報です。結果として、返信の優先順位を人間の勘に頼るしかなくなり、単価の高い相談ほど後回しになる事故が起きます。
相談内容が特定できないリードが積み上がる
統合フォームでよく見かける構成は、氏名・電話番号・メールアドレス・相談内容(自由記述)の四項目です。この構成の問題は、自由記述欄が実際にはほとんど埋まらないことにあります。とくに浮気調査の相談者は、自分の状況を文章にすることに強い抵抗を感じるため、「相談したいです」の一行だけで送信されるケースが多数を占めます。
受け取った側は、この一行から相談種別も緊急度も判断できません。折り返しの電話をかけて、まず何の相談かを聞くところから始まるため、一件あたりの初期対応工数が跳ね上がります。件数が増えれば増えるほど対応が遅れ、遅れた分だけ競合に流れる、という悪循環に入ります。フォームの項目設計は、広告の運用設定と同じくらい成果に直結する要素だと考えるべきです。
加えて、統合フォームでは広告側の学習も進みません。Google広告の自動入札は、送られてきたコンバージョンをすべて同じ価値として学習します。企業調査の有望なリードも、料金だけ知りたい情報収集の相談も、同じ「フォーム送信1件」として扱われるため、入札は単純に件数が取りやすい方向へ最適化されていきます。
この状態を放置すると、時間が経つほどアカウントは低単価な相談を集める方向に固定されます。自動入札は与えられた指標に忠実なので、件数だけを最大化するよう指示されれば、そのとおりに件数を最大化します。半年前より問い合わせは増えたのに売上は横ばい、という相談を受けたとき、原因の多くはこの学習の歪みにあります。分岐設計は、営業の効率化のためだけでなく、機械学習に正しい目標を渡すための作業でもあるのです。
匿名相談の扱いを設計に組み込む
探偵事務所の相談では、氏名を名乗りたくないという心理が常に働きます。とくに浮気調査では、相談したこと自体を配偶者に知られたくないため、実名や自宅住所の入力は強い抵抗を生みます。この抵抗を無視して必須項目を増やすと、フォーム到達者の大半が入力途中で離脱します。
現実的な解決策は、一次接触では匿名を許容し、見積もりや契約の段階で本人確認を行う二段階構成にすることです。一次フォームでは、ニックネームまたは呼び名、連絡可能な時間帯、連絡手段(電話・メール・チャット)、相談種別の選択、この四点に絞ります。氏名・住所は、調査の実施が具体化した段階で契約書面とあわせて取得すれば足ります。
ただし、匿名相談を打ち出す場合は、その旨をランディングページと広告文の両方で明示することが前提です。LPには匿名可と書いてあるのにフォームで氏名が必須になっている、という不一致は、探偵事務所のLPで非常によく見かける不具合です。匿名可という訴求と実際のフォーム必須項目は、必ず一致させてください。
フォーム分岐を作るときの注意点
- 相談種別の選択は、フォームの最初ではなくLP側のボタンで済ませる。フォーム内の選択肢は少ないほど完了率が上がる
- 個人向けと法人向けで送信後のサンクスページを分け、それぞれ別のコンバージョンとして計測する
- 法人フォームにだけ会社名・部署・予算枠を置く。個人フォームに同じ項目を出すと離脱の原因になる
- 必須項目は個人向けで最大4項目、法人向けで最大6項目に抑えるのが実務上の目安
フォーム項目を相談種別ごとに分ける
フォームを分けるといっても、システムを作り替える必要はありません。多くの場合、ランディングページを相談種別ごとに用意し、それぞれに専用フォームを設置するだけで足ります。重要なのは、広告のキーワード群とランディングページ、フォームの三点が一直線につながっていることです。
たとえば「浮気調査 費用」で検索した人には、料金の目安を上部に置き、匿名で相談できる短いフォームを配置した個人向けLPを見せます。「企業調査 調査会社」で検索した人には、調査項目と報告書サンプル、法人契約の流れを整理した法人向けLPを見せ、稟議に必要な情報を先に提示します。この対応関係が崩れているアカウントは、どれだけ入札を調整しても成果が安定しません。
分岐を実装したあとは、コンバージョンの計測も分けます。個人相談・法人相談・電話の三系統でコンバージョンアクションを分離し、それぞれに異なる価値を設定することで、自動入札が単価の高い相談を優先して取りにいくようになります。この設定変更だけで、同じ予算のまま受任額が改善するケースは多くあります。
電話CVを伸ばす広告文と受付導線の作り方
探偵事務所の広告では、電話が最も重要なコンバージョン経路です。公開されている顧客構成の分析では浮気調査が依頼全体の約8割を占めるとされており、この層は文章を書き残すことへの心理的抵抗が強いため、自然と電話に流れます。にもかかわらず、電話の計測が未実装のまま運用されているアカウントが少なくありません。計測がなければ、広告の良し悪しを判断する材料そのものが欠落します。
電話が主導線になる理由
電話が選ばれる最大の理由は、記録が残らないという安心感です。フォームに入力した内容はメールとして残り、返信も届きます。共有端末や家族と同じメールアドレスを使っている相談者にとって、これは大きなリスクです。電話であれば、通話履歴を消せば痕跡は残りません。
もう一つの理由は、聞きたいことが言語化できていない段階でも相談できる点です。浮気調査の初期相談では、「何を頼めばいいのかわからない」という状態が普通です。会話であれば相手が質問を投げてくれるため、相談のハードルが下がります。この構造を理解していれば、広告文で書くべきことも変わってきます。
広告文では、電話番号そのものより、電話をかけた先で何が起きるかを書くほうが効果的です。「まず状況を伺うだけで、その場での契約は不要です」「料金の目安だけのご相談も承ります」といった一文があるだけで、通話開始率は変わります。電話への心理的ハードルは、番号の大きさではなく、かけた後の不確実性を減らすことで下がります。
電話CV計測で外しやすい設定
電話コンバージョンの計測では、いくつか典型的な取りこぼしがあります。最も多いのは、広告表示オプションの通話のみを計測していて、ランディングページに掲載した電話番号からの発信が計測されていないケースです。実際には、広告をクリックしてLPを読んでから電話をかける人のほうが多く、この経路を落とすと電話CVの大半が見えなくなります。
次に多いのが、通話時間のしきい値を設定していないケースです。しきい値がゼロだと、間違い電話や営業電話までコンバージョンとして計上され、自動入札の学習が歪みます。実務上は、60秒以上を有効な相談としてカウントする設定が扱いやすい水準です。相談内容によって適正値は変わるため、実際の通話ログを確認して調整してください。
三つ目は、営業時間外の着信の扱いです。深夜に配信して着信があっても、留守番電話につながって切れているのであれば、それは獲得ではなく損失です。深夜帯に配信するなら、一次受けの体制か自動応答からの折り返し予約導線をセットで用意することが前提になります。電話の計測実装と設計の詳細は、以下の記事で手順ごとに整理しています。
営業時間と受付体制の見せ方
営業時間の表示は、探偵事務所のLPで最も過大に書かれやすい項目です。「24時間365日対応」と掲げていながら、実際には深夜は転送電話が鳴るだけ、という状態は珍しくありません。これは短期的にはクリックを増やしますが、つながらなかった相談者が競合に流れるため、費用対効果としてはマイナスになります。
正直に書いたほうが結果が良くなるケースは多くあります。「受付は9時から22時、22時以降はフォームから翌朝一番でご連絡」と明示すれば、相談者は期待値を調整できます。フォームには連絡希望時間帯の項目を置き、翌朝の折り返しを予約できるようにすれば、深夜の検索需要を取りこぼさずに済みます。
受付時間を正確に書くことは、広告の配信設定を見直すきっかけにもなります。実際に電話に出られる時間を洗い出す作業は、そのまま広告スケジュールの設計と同じ作業だからです。受付できない時間帯に配信していた分の予算を、受付できる時間帯に寄せるだけで、同額の予算から得られる有効な着信は増えます。逆に、配信スケジュールを触らずにLPの表記だけ直しても、取りこぼしの構造は変わりません。
受付体制の見せ方でもう一つ効くのが、誰が電話に出るのかを伝えることです。女性相談員が在籍しているなら、その旨と対応可能な時間帯を明記します。浮気調査の相談者には女性が多く、初回の対応者の性別が相談しやすさを左右するためです。この情報は広告文の説明文に入れても効果があります。
探偵業法と信頼表示を広告運用にどう反映するか
探偵業は届出制であり、その制度自体が広告における信頼の裏付けとして機能します。警視庁が公表する「探偵業の業務の適正化に関する法律の概要」によれば、探偵業務とは「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」と定義されています。この定義に該当する業務を行う場合、営業開始日の前日までに営業所ごとに都道府県公安委員会への届出が必要です。
届出と標識の表示義務
2024年4月1日に施行された改正により、従来交付されていた探偵業届出証明書が廃止され、事業者が自ら標識を作成して掲示する方式に変更されました。標識は営業所の見やすい場所に掲示することが求められ、あわせて、常時使用する従業者の数が5人を超える探偵業者については、自社が管理するウェブサイトのトップページにも標識を掲示することとされています。従業者が5人以下の場合や、自社管理のウェブサイトを持たない場合は、ウェブサイトへの掲示義務の対象外です。
この標識は、広告運用の観点からは非常に使い勝手のよい信頼要素です。届出番号を含む公的な様式であるため、自社で作った「安心マーク」のようなものより説得力があります。ランディングページのファーストビュー付近か、フォームの直前に配置することで、送信直前の不安を下げる役割を果たします。制度上の義務を果たすことが、そのままCVR改善の施策になるという数少ない例です。
ただし、届出をしたこと自体が特別な権限を意味するわけではない点には注意が必要です。警視庁の解説でも、届出によって他の法令で禁止・制限されている行為が可能になるわけではないと明記されています。広告文やLPで「公安委員会公認」「警察公認」といった表現を使うと、事実と異なるうえに審査上のリスクも生じます。
広告表現で避けるべき言い回し
- 成果の断定:「必ず証拠が取れます」「成功率100%」など、調査結果を保証する表現
- 権限の誤認:「警察公認」「公安委員会認定」など、届出を認可や公認と読み替える表現
- 過度な不安訴求:「放置すると財産を失います」など、恐怖で行動を迫る表現
- 費用の誤認:総額が別途かかるのに「一律◯万円」とだけ表示する、条件を欠いた料金表示
広告表記で断定を避ける
断定表現を避けるというのは、弱気な広告文にするという意味ではありません。保証できないのは調査結果であって、対応の内容や体制については具体的に言い切ることができます。「調査報告書は写真と時系列を添えて提出します」「相談は無料で、見積もり提示までに費用は発生しません」といった、実行可能な約束を並べるほうが、根拠のない成功保証よりも信頼を得られます。
もう一つの工夫は、条件を明示した数値を使うことです。「調査員2名体制・8時間からの実働を基本としています」のように、前提条件つきで具体的に書けば、審査上の問題を起こさずに具体性を出せます。金額についても、最低料金だけを大きく見せるのではなく、どこまでが含まれてどこから追加になるのかを明示するほうが、結果的に相談後の失注を減らします。
士業や専門職の広告では、業界団体の規程や広告審査の運用が細かく定められている領域があります。探偵業には日弁連のような統一的な広告規程はありませんが、表現の考え方は共通する部分が多く、隣接領域の点検項目を流用すると抜け漏れが減ります。専門職の広告表現を体系的に点検したい場合は、以下の記事が参考になります。
重要事項説明と料金表示の整合
探偵業では、契約前に依頼者へ重要事項を説明し、契約時には書面を交付することが求められます。この手続きの存在は、広告とLPの料金表示にも影響します。LPで示した料金と、実際の説明時に提示する内訳が乖離していると、相談は取れても契約時に破談になり、悪い口コミにつながるためです。
広告文の段階で料金に触れるかどうかも、この整合の問題として考える必要があります。最低料金だけを広告文に出すと、クリックは増えても相談段階での期待値ギャップが広がります。金額を出すなら、時間単価なのか一件あたりなのか、何名体制での金額なのかまで含めて、誤解の余地が少ない形にしておくほうが、結果として無駄な相談対応を減らせます。
実務的には、LPの料金セクションに「調査員の人数」「実働時間」「機材費・交通費の扱い」「延長時の単価」の四点を書いておくと、相談段階での期待値がそろいます。これらを書くと料金が高く見えて相談が減るのではないかと懸念されがちですが、実際には減るのは受任に至らない相談だけです。
また、料金表示を明確にすると、広告の自動入札にも良い影響があります。受任確率の高い相談だけがコンバージョンとして蓄積されるため、入札アルゴリズムが学習する対象の質が上がるからです。相談件数という表面的な指標が下がっても、受任件数と粗利が上がるのであれば、その変化は成功と評価すべきです。
少額予算でも案件の質を上げる配信設計
少額予算では、狙う範囲を広げるほど成果が悪化します。月20万円から30万円という予算規模で探偵事務所の広告を成立させるには、地域・時間帯・キーワードの三つの軸で徹底的に絞り、単価の高い相談から順に取りにいく構成が現実的です。全国配信で一般語を広く拾う構成は、この予算帯では成立しません。
地域と時間帯で無駄打ちを削る
地域設定でまず見直すべきは、実際に調査員を派遣できる範囲との一致です。対応エリア外からの相談は、断るにしても対応工数がかかり、クリック単価はそのまま損失になります。本拠地から実働で向かえる範囲を地図上で確認し、その外側は除外する。この作業だけで無駄クリックが一割から二割削れるケースがあります。
時間帯については、コンバージョンの発生時刻を最低でも一か月分見てから調整します。探偵事務所では夜間から深夜にかけての反応が強く出やすい一方、受付できない時間に配信していると獲得できない着信だけが増えます。受付可能な時間帯に予算を寄せるだけで、同じ予算のまま実質的な獲得件数が増えることは珍しくありません。
デバイス配分も確認が必要です。個人向けの相談はスマートフォンが圧倒的に多く、法人向けはPCが中心になります。キャンペーンを相談種別で分けていれば、それぞれのデバイス比率に合わせて入札調整ができますが、統合したままでは調整のしようがありません。ここでも分岐設計が効いてきます。
キーワードを温度で三層に分ける
キーワードは、相談の緊急度と具体性によって層を分けて管理します。最上層は依頼直前の語、中間層は検討中の語、下層は情報収集の語です。少額予算では最上層に予算を集中させ、中間層は限定的に、下層は原則として配信しないという判断が基本になります。
| 層 | キーワード例 | 想定される状態 | 予算配分の目安 | マッチタイプ |
|---|---|---|---|---|
| 依頼直前層 | 浮気調査 相談 無料/探偵 ◯◯市/企業調査 依頼 | 依頼先を決める段階 | 60〜70% | 完全一致中心 |
| 検討層 | 浮気調査 費用 相場/探偵 料金 比較 | 料金と条件を比較 | 20〜30% | フレーズ一致 |
| 情報収集層 | 浮気 サイン/自分で証拠 集め方 | 依頼を検討していない | 0〜10% | 配信停止または少額検証 |
この分け方で重要なのは、情報収集層を完全に捨てるという意味ではない点です。予算に余裕が出た段階で、記事コンテンツと組み合わせて中長期の接点として使う価値はあります。ただし少額予算の局面では、直近の受任に結びつかない層への配信は、優先順位として最後に回すべきです。
層を分けたら、それぞれを別のキャンペーンまたは別の広告グループに置き、予算の上限も個別に設定します。同一キャンペーン内に温度の違う語を混在させると、クリックが集まりやすい情報収集層に予算を持っていかれ、依頼直前層の露出が削られるからです。予算配分を意図どおりに保つには、構造そのものを分けておくのが最も確実な方法になります。
除外キーワードの整備も同じくらい重要です。「探偵 求人」「探偵ナイトスクープ」「探偵 漫画」といった無関係な検索語は、探偵領域では大量に混入します。検索語句レポートを週次で確認し、除外リストを育てる作業を運用のルーティンに組み込んでください。
入札戦略とデータ量の折り合い
コンバージョン数が月に十数件という規模では、目標コンバージョン単価などの自動入札は学習が安定しません。まずはコンバージョン数の最大化で母数を確保し、月間30件程度の実績が積み上がってから目標単価型に切り替えるのが安全な順序です。データが足りない状態で目標値を厳しく設定すると、配信そのものが止まります。
相談種別ごとにコンバージョン価値を設定している場合は、コンバージョン値の最大化を検討する余地があります。企業調査の相談に高い価値を、情報収集目的の相談に低い価値を設定すれば、入札は自然と単価の高い相談を優先します。ただしこれも、価値設定の根拠となる受任実績のデータが手元にあることが前提です。
価値の設定は精緻である必要はなく、受任実績の平均粗利をもとに相談種別ごとの相対比を決めるところから始めれば十分です。企業調査を10、浮気調査を6、情報収集目的の相談を1、といった粗い比率でも、すべてを1として扱う現状よりははるかに機械の判断が改善します。半年ほど運用して受任データが溜まったら比率を見直し、実績との乖離が大きい種別から調整していきます。入札戦略の高度化よりも先に、コンバージョンの中身を分けて価値を付けることのほうが成果への寄与は大きいと考えてください。
地域密着型の事務所であれば、検索広告と並行してマップ枠の露出も検討する価値があります。「◯◯市 探偵」のような地域名を含む検索では、地図の枠が上部に表示されるため、検索広告だけを見ていると露出機会を取りこぼします。地域検索まわりの出稿設計は以下の記事で整理しています。
ハーマンドットができる専門職リード獲得支援
株式会社ハーマンドットは、探偵事務所のように相談単価が高く、相談内容によって成約確率が大きく変わる業種の広告運用を支援しています。件数を増やすことではなく、受任につながる相談を選んで取りにいくことを設計の起点に置く点が、一般的な運用代行との違いです。相談の分岐設計、電話計測の実装、着地ページの検証まで一貫して対応します。
相談分岐を前提としたアカウント再設計
既存アカウントをお預かりする場合、最初に行うのは検索語句とコンバージョンの突き合わせです。どの検索語からの相談が受任に至っているのかを実データで確認し、相談種別ごとにキャンペーンを再編します。この段階で、統合されていたフォームをどう分けるか、既存のランディングページのどこを流用できるかまで含めて設計します。
再設計の初期は、コンバージョン件数がいったん減ることがあります。情報収集目的の相談を意図的に落とすためです。この局面では、件数ではなく相談から見積もり提示に進んだ割合と、見積もりから受任に至った割合を追いかけます。評価指標を件数から受任額へ切り替えることが、この設計を成立させる前提条件になります。
電話とフォームを同じ台帳で見る
探偵事務所の支援でとくに効果が大きいのが、電話とフォームの相談を同じ台帳で管理する仕組みです。電話は電話帳、フォームはメール、という分断があると、どのキーワードからどの相談が来たのかを最後まで追えません。コールトラッキングと問い合わせ管理を接続し、広告のキーワードから受任までを一本の線で見られるようにします。
台帳を統合するときに決めておきたいのが、記録する項目です。相談日時、相談種別、流入経路、初回対応者、見積もり提示の有無、受任可否の六点があれば、広告の判断に必要な分析はほぼ賄えます。項目を増やしすぎると現場が入力しなくなるため、最初は最小構成で始め、運用が定着してから増やすほうが確実です。台帳が埋まらない仕組みは、どれだけ設計が正しくても機能しません。
この仕組みが動き始めると、広告の判断が一気に楽になります。どのキャンペーンが受任を生んでいるのかが数字で見えるため、予算の増減を勘で決める必要がなくなるからです。現状のアカウントで何が計測できていて何が抜けているのかを整理したい場合は、ハーマンドットの無料相談フォームからお気軽にご連絡ください。
まとめ|探偵事務所の広告は相談の分岐から設計する
探偵事務所の検索広告で成果を安定させる鍵は、運用テクニックではなく、相談を受け取る前の分岐設計にあります。浮気調査と企業調査を同じ無料相談で受けている限り、どれだけ入札を調整しても相談の質は揃いません。逆に、分岐さえ作れば、少額予算でも受任額を伸ばせる余地は十分にあります。
着手の順番としては、まずランディングページとフォームを個人向け・法人向けに分け、次に電話の計測を正しく実装し、最後にキャンペーンとコンバージョン価値を相談種別ごとに整理する、という流れが取り組みやすいはずです。広告の入札設定を触るのは、この三つが揃ってからで遅くありません。順番を逆にすると、変化の原因が特定できないまま数字だけが動くことになります。
- 浮気調査と企業調査は、検索時間帯・デバイス・意思決定者・単価がすべて異なる。キーワード群、ランディングページ、フォーム項目、受付体制の四点を分けることが出発点になる
- 浮気調査領域は匿名性と即時性が命で、電話が主導線になる。LP掲載番号からの発信計測と通話時間のしきい値設定がないと、広告の評価そのものが成立しない
- 探偵業法にもとづく届出と標識の掲示は、義務であると同時に最も強い信頼表示になる。2024年4月の改正内容を踏まえてLPに反映する価値が高い
2026年8月17日時点で公開されている業界データを見る限り、探偵領域の主要キーワードのクリック単価は600〜2,500円という高い水準にあります。この単価を回収するには、クリック後のすべての接点を相談種別に合わせて設計するしかありません。広告文で差がつかない業界だからこそ、着地後と受付の設計に投資したほうが確実に効きます。まずは自社のフォームが相談種別を判別できる構造になっているか、電話が正しく計測されているかの二点から点検してみてください。
まずは無料で広告アカウント診断を
株式会社ハーマンドットでは、探偵事務所をはじめとする相談型・高単価業種の広告アカウント診断を無料で承っています。現在の管理画面を拝見し、相談種別ごとのキャンペーン構成、コンバージョン計測の実装状況、除外キーワードの整備状況、着地ページとフォームの整合性を確認したうえで、優先度をつけた改善提案をお渡しします。
まだ広告を出していない事務所からのご相談も歓迎です。対応エリアと調査体制、受付可能な時間帯を伺ったうえで、どの相談種別から取りにいくべきか、初期予算をどこに配分すべきかを整理してお伝えします。診断結果だけを受け取って自社で実装いただく形でも構いません。ご相談はお問い合わせフォームから承っています。
初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。現状のアカウントを共有いただければ、その場で改善余地の大きい箇所をお伝えします。相談種別の分岐設計から電話計測の実装まで、実務レベルで踏み込んだ話ができますので、まずは現状の課題を整理する場としてご活用ください。



