Google広告レポート保持期限変更ガイド|37か月制限で失う前にやる保存設計と分析フロー

Google広告のレポートデータには、これまで長期間さかのぼって参照できるという前提がありました。ところが2026年6月1日から、その前提が変わりました。時間・日・週単位といった細かい粒度のデータは、過去37か月分までしか参照できなくなり、それより古い履歴は管理画面やAPIから取り出せなくなります。数年分の細かいデータをいつでも見られるという状態は、もう当たり前ではありません。
この変更は、日々の運用を派手に変えるものではありません。だからこそ、気づかないうちに「過去のデータが取れなくなっていた」という事態に陥りやすい、静かなインパクトを持っています。前年同月比の分析、数年スパンの季節性の把握、アカウントの引き継ぎ時の履歴確認など、長期データを前提にしていた業務ほど、後から影響が効いてきます。いま何もしなければ、37か月より前の細かいデータは、時間の経過とともに自動的に失われていきます。
この記事では、レポートデータ保持ポリシー変更の具体的な内容、影響を受けるシステムや経路、運用にどう効いてくるのか、そして履歴が消える前にやっておくべき保存設計までを、Googleの公式情報をもとに実務目線で整理します。なお、本記事は執筆時点(2026年7月8日)に公表されている情報にもとづいています。運用の際は、必ずGoogle広告ヘルプの最新情報をあわせてご確認ください。
目次
Google広告のレポートデータ保持ポリシー変更とは
今回の変更は、Googleが2026年5月にGoogle Ads Developer BlogおよびGoogle広告ヘルプセンターで告知したもので、レポートデータの保持期間に上限を設ける内容です。2026年6月1日以降、Google広告が収集する時間・日・週単位(1か月未満の期間)のレポートデータは、過去37か月分まで参照可能となります。一方で、月次・四半期・年次といった、より粗い粒度の集計データは、引き続き11年間参照できます。細かい粒度のデータほど保持期間が短くなる、という点がこの変更の核心です。
告知は開発者向けのブログと、一般の広告主が参照するヘルプセンターの両方で行われました。開発者向けの案内は、APIやスクリプトを使ってデータを扱う人に向けた技術的な内容を含みますが、ヘルプセンターの案内は、管理画面を使う一般の広告主にも同じ制限が適用されることを示しています。つまり、エンジニアが関わる自動連携だけの話ではなく、日常的にGoogle広告を使うすべての運用者に関係する変更だということです。自社にエンジニアがいるかどうかに関わらず、内容を把握しておく必要があります。
ポイントは、粒度によって扱いが分かれることです。日別や週別のような細かいデータは37か月で参照できなくなりますが、月次以上にまとめた集計データは長く残ります。つまり、細かい単位での過去分析は制限される一方、大きな傾向を見る分には従来どおりの期間を確保できます。この設計を理解しておくと、何を細かい粒度で残し、何は集計で足りるのかという、保存の優先順位を判断しやすくなります。
37か月という数字は、ちょうど3年強にあたります。多くの企業では、前年比・前々年比あたりまでは細かく振り返りたいというニーズがあるため、その範囲はぎりぎりカバーされる設計だといえます。しかし、それ以上さかのぼって細かく分析したい場合や、数年単位のイベント・季節性を日別で比較したい場合には、この上限が壁になります。自社の分析が37か月の枠に収まっているか、それとも超える場面があるかを、一度棚卸ししてみることをおすすめします。
何がいつから変わったのか
変更の適用開始は2026年6月1日です。この日以降、37か月より前の細かい粒度のデータは、Google広告のインターフェースやAPIから取得できなくなります。注意したいのは、これは「これから溜まるデータ」だけの話ではなく、既存の過去データにも適用されるという点です。37か月という参照ウィンドウは時間とともに移動していくため、対応を先延ばしにすると、いま見られている古いデータも順次参照できなくなっていきます。
また、リーチとフリークエンシーに関する指標は、さらに短い3年間のみ参照可能とされています。動画やディスプレイのブランディング施策で、到達や接触頻度を長期で追っていた場合は、この3年という制限にも留意が必要です。データの種類によって保持期間が異なるため、自社が重視している指標がどのルールに該当するかを、あらためて整理しておくとよいでしょう。ブランディングを長期で評価する施策では、この3年という制限が思わぬ盲点になり得るため、早めに退避の対象に含めておくのが賢明です。
変更内容の詳細(37か月ルールと11年ルール)
変更内容を粒度ごとに整理すると、次の表のようになります。自社がどのデータをどの粒度で分析しているかを思い浮かべながら、影響範囲を確認してください。細かい粒度ほど保持期間が短いという原則を、まず押さえておくことが大切です。
| データの粒度 | 参照可能な期間 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 時間・日・週単位(1か月未満) | 37か月 | 日次の運用改善・週次レポート・短期の傾向分析 |
| 月次・四半期・年次 | 11年 | 長期トレンド・前年比較・年次報告 |
| リーチ・フリークエンシー | 3年 | ブランディング施策の到達・接触頻度分析 |
この表からわかるのは、月次以上の集計であれば11年という十分な期間が確保される一方、日別や週別で過去を振り返りたい場合は37か月が上限になる、ということです。たとえば、3年前の特定の週の配信状況を日別で細かく見たい、といった分析は、時間の経過とともにできなくなります。細かい単位での長期比較が必要な業務ほど、早めの備えが必要だと理解してください。自社の分析が月次集計で足りているなら影響は限定的ですが、日別・週別の粒度に踏み込んでいるなら、対応の優先度は高くなります。
粒度ごとの保持期間まとめ
- 時間・日・週単位:37か月(1か月未満の細かいデータ)
- 月次・四半期・年次:11年(集計データ)
- リーチ・フリークエンシー:3年
どのシステム・経路が影響を受けるか
この保持期間の制限は、Google広告の管理画面だけでなく、データを取り出すさまざまな経路に影響します。具体的には、Google広告の管理画面、Google Ads API、Google広告スクリプト、そしてデータ連携に使われるBigQuery Data Transfer Serviceなどが対象です。どの経路で取り出しても、37か月より前の細かいデータは取得できなくなるという点を理解しておく必要があります。管理画面で見られないだけでなく、自動連携の仕組みでも同じ制限がかかります。加えて、Google Analytics Data APIを通じて取得するデータにも同様の考え方が及ぶとされており、複数の経路をまたいでデータを扱っている場合ほど、影響範囲を正確に把握しておくことが求められます。
特に注意したいのが、APIやデータ転送サービスを使って外部のデータ基盤へレポートを自動的に蓄積している場合です。これまでは「必要になったらAPIで過去分を取り直せばよい」という運用が成り立っていましたが、37か月を超えた期間については、取り直すこと自体ができなくなります。つまり、過去データの再取得を前提にした運用は成り立たなくなるということです。自動連携でデータを溜めている場合でも、その連携がいつから始まっているか、抜けている期間がないかを確認しておくと安心です。
ダッシュボードツールを使っている場合も注意が必要です。Looker Studioなどの可視化ツールは、多くの場合その場でGoogle広告からデータを取得して表示しています。つまり、ツール自体がデータを保管しているわけではなく、元データが参照できなくなれば、過去のグラフも表示できなくなる可能性があります。可視化はあくまで見せ方の仕組みであり、データの保管とは別物だという点を理解しておく必要があります。長期の可視化を維持したいなら、可視化ツールとは別に、元データを蓄積する仕組みを用意しておくことが欠かせません。
影響を受ける主な経路
- Google広告の管理画面(レポート・ダッシュボード)
- Google Ads API・Google広告スクリプト
- BigQuery Data Transfer Serviceなどの自動連携
なぜGoogleはこの変更を行うのか
背景を理解しておくと、変更への向き合い方が定まります。広告プラットフォームが扱うデータ量は年々膨張しており、細かい粒度の履歴を無期限に保持し続けることは、システム側の負荷やコストの面で現実的ではなくなってきています。今回の変更は、こうしたデータ保持の合理化の一環と考えられます。細かいデータは相応の期間だけ、集計データは長期間という設計は、多くのユーザーの実用に配慮しつつ保持コストを抑える、バランスを取った落としどころだといえます。
重要なのは、これが一社だけの動きではないという視点です。データ保持のあり方は、プライバシー規制の強化やクラウドコストの上昇といった業界全体の潮流のなかで見直しが進んでいます。今後、他の広告媒体でも同様に保持期間を制限する動きが出てくる可能性は十分にあります。だからこそ、Google広告への対応にとどまらず、媒体に依存しないデータ保持の考え方を自社に根づかせておくことが、長い目で見て効いてきます。今回の変更を、データ管理全体を見直すきっかけと捉えるのが建設的です。一つの媒体の仕様変更に個別対応し続けるより、自社でデータを持つ体制を整えるほうが、結果的に手間もリスクも小さく済みます。
なぜこの変更が運用に効いてくるのか
一見すると、37か月ぶんの細かいデータが残るなら十分なようにも感じられます。しかし、広告運用の現場では、意外と長期の細かいデータを使う場面があります。たとえば、前年同月比を日別で比較して施策の効果を検証する、数年前の同じセール期間の配信パターンを参考にする、複数年にわたる季節性の変化を細かく追う、といった分析です。長期の細かいデータは、精度の高い意思決定の土台になっていることが多いのです。
季節性の強いビジネスでは、この影響が特に大きくなります。年末商戦、決算期、行楽シーズンなど、毎年決まった時期に需要が動く商材では、過去数年の同時期を日別で比較することが、予算配分や入札の判断に直結します。細かいデータが失われると、こうした季節施策の精度が落ち、経験と勘に頼る場面が増えてしまいます。データにもとづいて動いてきた運用ほど、履歴の喪失が意思決定の質に響くという点を意識しておく必要があります。
広告主への報告という観点でも、長期データは欠かせません。代理店が成果を説明する際、数年にわたる推移を示せることは、信頼を積み上げるうえで大きな意味を持ちます。細かい履歴が失われると、こうした長期の説明資料が作れなくなり、報告の説得力が下がってしまいます。過去との比較で成長を語れるかどうかは、データが残っているかにかかっています。だからこそ、報告に使うデータもまた、退避の対象として計画に含めておくべきです。
また、アカウントの引き継ぎや監査の場面でも、過去の履歴は重要な資産です。代理店を変更するとき、インハウスへ運用を移すとき、あるいは過去の運用を振り返って改善点を探すとき、細かい履歴が残っているかどうかで、判断の質が変わります。履歴が失われてしまうと、「なぜ当時この施策を打ったのか」「どの時期に何が効いたのか」を後から検証できなくなります。データは、失ってはじめて価値に気づく類の資産だといえます。だからこそ、消える前の対応が肝心になります。
さらに、機械学習ベースの自動入札やアルゴリズムの評価においても、長期の細かいデータは判断材料になります。ある入札戦略が本当に機能したのかを検証するには、導入前後を細かい粒度で比較する必要があります。細かい履歴が失われると、こうした過去施策の妥当性検証が難しくなり、同じ検討を一からやり直すことになりかねません。長期のデータは、過去の学びを未来の意思決定に活かすための橋渡し役を担っています。だからこそ、細かい粒度のデータを計画的に残しておく価値があるのです。
履歴が消える前にやるべき保存設計
もっとも重要なのが、必要なデータを37か月の制限にかかる前に、別の場所へ退避しておくことです。ポイントは、何を・どの粒度で・どこに保存するかを決めることです。すべてのデータを闇雲に溜めるのではなく、後から本当に必要になるデータを見極めて優先的に保存するのが現実的です。日別のコンバージョンや費用など、意思決定の根拠になるデータを中心に、退避の計画を立てましょう。
退避を始める前に、まずは自社がどんな分析を行っているかを棚卸しすることをおすすめします。日常のレポートや意思決定で、どの指標を、どの粒度で、どこまでさかのぼって見ているのかを書き出してみると、本当に守るべきデータが見えてきます。使っていないデータまで無理に残す必要はありませんし、逆に見落としている重要データに気づくこともあります。この棚卸しが、過不足のない退避計画の出発点になります。手を動かす前に、守る対象を明確にしておくことが、効率的なデータ保全につながります。
退避のタイミングは、早ければ早いほど有利です。37か月より前のデータは、いま動けば取り出せますが、待てば待つほど取り出せる範囲は狭まっていきます。理想は、過去分の一括退避と、今後分の継続退避を並行して進めることです。過去分については、いま参照できる範囲をできるだけ早く書き出しておき、今後分については定期的に溜め続ける仕組みを整えます。この二段構えで、過去と未来の両方のデータを守れます。まずは過去分の退避を優先的に済ませ、そのうえで継続の仕組みづくりに取りかかるのが、無駄のない進め方です。
保存先には、いくつかの選択肢があります。それぞれに向き不向きがあるため、自社の分析スタイルやリソースに合わせて選ぶのがよいでしょう。以下に代表的な保存先を整理します。
| 保存先 | 向いているケース | 留意点 |
|---|---|---|
| BigQuery | 大量データの蓄積・SQLでの分析 | 初期設定と運用に技術的な知識が必要 |
| スプレッドシート | 手軽に始めたい・少量のデータ | データ量が増えると重くなる |
| Looker Studio | 可視化・定期レポートの自動化 | 元データの保持は別途必要 |
| CSVエクスポート | とりあえず退避したい | 再利用しやすい形で命名・保管する |
もっとも堅牢なのは、BigQueryのようなデータ基盤に日次でデータを蓄積し続ける仕組みを作ることです。とはいえ、すべての事業者がそこまでの体制を組めるわけではありません。まずはスプレッドシートやCSVで重要なデータを定期的に書き出すところから始め、必要に応じて基盤を強化していくのが現実的な進め方です。大切なのは、完璧な仕組みを目指して着手が遅れることよりも、失いたくないデータを今すぐ退避し始めることです。着手のタイミングが遅れるほど、失われるデータは増えていきます。長期のデータ活用を見据えたMMMなどの分析については、以下の記事も参考になります。
退避するデータの範囲を決めるときは、「後からもう一度取れるか」を基準にすると迷いません。月次以上の集計は11年残るので、優先度を下げても構いません。逆に、日別・週別の細かいデータは37か月で失われるため、こちらを優先的に退避します。キャンペーン別・広告グループ別・キーワード別といったディメンションのどこまでを残すかも、分析でよく使う切り口に合わせて決めておくとよいでしょう。すべてを完璧に残そうとすると運用が続かないため、使う可能性の高いデータに絞って確実に残すのが、現実的なバランスです。
保存設計で決めておくべき3点
- 何を残すか:意思決定の根拠になる指標を優先する
- どの粒度で残すか:後から細かく見たいものは日別で退避する
- どこに保存するか:リソースに合わせて基盤を選ぶ
退避を続けるための運用ルールをつくる
データの退避は、一度やって終わりではなく、続けることに意味があります。今日時点のデータを退避しても、明日以降に新しく溜まるデータをそのままにしていては、また同じ問題が繰り返されます。そこで重要になるのが、退避を日常の運用に組み込むことです。単発の作業ではなく、継続する仕組みにすることで、はじめて長期のデータ資産が育っていきます。月に一度の書き出しでも、自動連携でも、続けられる形を選ぶことが肝心です。
運用ルールを決める際は、担当者が代わっても回るようにしておくことも大切です。誰が、いつ、どのデータを、どこに退避するのかを手順として明文化しておけば、属人化を防げます。退避のタイミングを月次のレポート業務と紐づけておくと、忘れずに続けやすくなります。また、退避したデータが正しく保存されているかを定期的に確認する点検も、ルールに含めておくと安心です。仕組みは作って終わりではなく、動き続けているかを見守ることまでが運用です。
もし社内にデータ基盤を扱える人材がいない場合は、無理に高度な仕組みを目指す必要はありません。まずは重要な指標をスプレッドシートへ定期的に書き出すだけでも、何もしないより格段に良い状態です。できる範囲で今すぐ始めることが、将来のデータ喪失を防ぐ最善の対策になります。体制が整ってきたら、少しずつ自動化や基盤の強化へ進めばよいのです。完璧を求めて動けなくなるより、不完全でも動き出すことを優先してください。
引き継ぎ・監査・アカウント診断への影響
データ保持の制限は、アカウントの引き継ぎや監査の場面で特に効いてきます。代理店を変更するとき、これまでの運用履歴を細かく確認できることは、新しい担当者が状況を正確に把握するうえで大きな助けになります。ところが、37か月を超えた細かい履歴が失われていると、過去の施策の経緯や効果を追いきれず、引き継ぎの質が下がるおそれがあります。運用を移す予定がある場合は、移行前に必要な履歴を退避しておくことが欠かせません。
アカウント診断や監査でも、過去データは重要な材料です。現状のアカウントがどう作られ、どんな施策を経てきたかを振り返るには、履歴が残っている必要があります。診断の精度は過去データの厚みに支えられているため、細かいデータの退避は早めに手を打っておきたいところです。アカウントの状態を客観的に点検する診断の進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。過去の履歴を活かした診断は、これからの改善の出発点になります。
特に、複数の担当者や代理店を経てきたアカウントほど、過去の経緯が分かりにくくなりがちです。そうしたアカウントでは、細かい履歴が残っているかどうかが、現状を正しく理解できるかを大きく左右します。運用の引き継ぎや代理店変更を検討している段階であれば、移行の前に必要な履歴を退避しておくことを、チェックリストに加えておくとよいでしょう。過去を振り返れる状態を保っておくことが、次の担当者の判断を助けます。
効果測定・長期分析をどう維持するか
保持期間が制限されても、効果測定や長期分析を諦める必要はありません。大切なのは、Google広告のデータに依存しきるのではなく、自社側でも必要なデータを蓄積する仕組みを持つことです。データの保管を媒体任せにしないという発想が、これからの分析基盤には求められます。コンバージョンや売上といった重要な指標は、広告媒体の外側でも記録・管理しておくことで、媒体の仕様変更に左右されずに長期の分析を続けられます。
効果測定の設計そのものを見直す良い機会でもあります。何をコンバージョンとして計測し、どの指標を長期で追うのかを整理し、それを自社のデータ基盤に蓄積していく。この土台があれば、媒体側の保持期間がどう変わっても、自社にとって必要な分析は維持できます。効果測定やコンバージョン計測の考え方については、以下の記事もあわせてご覧ください。測定の設計を固めておくことが、データを守る第一歩になります。
長期分析を維持するうえでは、広告データとビジネスデータをつなげておくことも有効です。広告の費用やクリックといった媒体側の数字だけでなく、実際の受注や売上、顧客の継続率といった事業側のデータと結びつけて記録しておけば、媒体の保持期間に左右されない自社独自の分析資産が育ちます。媒体が持つデータはあくまで一部であり、それを自社の文脈でつなぎ直して初めて、経営に効く分析になります。データを守るという発想は、単なるバックアップではなく、自社の分析基盤を育てる取り組みだと捉えると前向きに進められます。
代理店に確認しておきたいデータ保持の体制
運用を代理店に任せている場合、データ保持への対応がどうなっているかを確認しておくことをおすすめします。今回のような仕様変更に対して、必要なデータを退避する仕組みを持っているか、長期のレポートを提供できる体制があるかは、代理店の運用管理の品質を映します。データを守る体制まで見られる代理店かどうかが、これからの選定では重要な観点になります。仕様変更を待たずに先回りして対応してくれる代理店であれば、安心して長期の運用を任せられます。
確認しておきたいのは、必要なデータを定期的に退避する仕組みがあるか、長期のレポートを求めたときに提供できるか、仕様変更が起きたときに自発的に案内してくれるか、といった点です。これらに具体的に答えられる代理店であれば、データを守る体制が整っている証拠です。逆に、こうした問いに曖昧な回答しか返ってこない場合は、いざというときに必要な履歴が残っていないリスクがあります。データ管理まで含めて運用を任せられるかを、見極めの基準に加えてください。
ハーマンドットでは、100社以上の広告運用支援で培った知見をもとに、媒体の仕様変更を運用に反映しながら、必要なデータの退避や長期レポートの設計まで含めて支援しています。データ保持ポリシーの変更に対しても、失いたくない履歴を早めに退避し、長期の分析を継続できる体制づくりをお手伝いできます。代理店のレポートや管理体制の見極め方については、以下の記事もご確認ください。データを守れる運用体制を持つことが、これからの広告運用では強みになります。
よくある誤解と注意点
この変更をめぐっては、いくつか誤解が生じやすいポイントがあります。ひとつは「すべてのデータが37か月で消える」という思い込みです。実際には、月次以上の集計データは11年間残るため、長期のトレンドを見る分には問題ありません。制限がかかるのは、あくまで時間・日・週といった細かい粒度のデータです。粒度によって扱いが違う点を正しく理解しておけば、過度に不安になる必要はありません。
もうひとつは「まだ先の話だから急がなくてよい」という誤解です。37か月の参照ウィンドウは時間とともに移動していくため、対応を先延ばしにするほど、失われる古いデータが増えていきます。いま参照できている数年前のデータも、放置すれば順次取り出せなくなります。対応は早いほど、守れるデータが多いという性質を持つ変更です。まずは自社にとって重要なデータを洗い出し、退避の計画を立てるところから始めてください。
三つ目は「GA4やほかのツールを見ているから大丈夫」という思い込みです。Google広告のレポートデータと、GA4などの分析ツールのデータは、計測の仕組みも保持のルールも異なります。片方を見ているから安心とは限らず、それぞれで必要なデータが確保できているかを別々に確認する必要があります。複数のツールを併用している場合ほど、どのデータがどこにどれだけ残るのかを整理し、抜け漏れがないかを点検しておくことが大切です。ツールごとの前提を混同しないことが、確実なデータ管理につながります。
まとめ:消える前に、必要なデータを自社で守る
Google広告のレポートデータ保持ポリシー変更は、日々の運用を大きく変えるものではありませんが、長期の細かいデータを前提にしていた分析や引き継ぎに、後からじわじわ効いてくる変更です。媒体のデータ保持に依存しきるのではなく、必要なデータを自社側で守る発想への切り替えが求められます。この変更をきっかけに、自社のデータ管理を一段見直しておけば、今後ほかの媒体で似た動きがあっても慌てずに済みます。対応を急ぐほど、失われるデータを減らせます。要点を最後に整理します。
- 細かい粒度は37か月、集計は11年。時間・日・週データは37か月、月次以上は11年、リーチ・フリークエンシーは3年で参照が制限される。
- 過去データの再取得はできなくなる。管理画面もAPIも同じ制限がかかるため、必要なデータは消える前に退避する。
- データ保持を媒体任せにしない。重要な指標は自社の基盤に蓄積し、引き継ぎ・監査・長期分析に備える。
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